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ムとクウとカラッポ

時代のお引っ越しに向けて、自分自身を整理しようと改めて考えたみた。私はこれから何をどうしたいのだろう…

1年前、ある人に言われた。「なりたい自分を思い描きなさい。それを神様に繋ぎますから…」
そう言われて、私は何も思いつかなかった。そのあまりの真っ白さに、自分が一番びっくりした。

結構長いこと生きてきて、いろいろあって、その度にしっかり考えてきた。夢も希望もあって、何度も打ち砕かれて、それでも何とか前を向こうとあがいてきた。若い頃よりは落ち着いて、それなりに自分を生きられるようになってきた。でもまだ完全に満足しているわけでもなく、答えが出た気もしていない。
それなのに、“なりたい自分”の姿が出て来ない。

何を目指していたのか…
何を望んでいたのか…
何を手に入れたかったのか…

地位、名誉、お金、仕事、健康、長寿、家庭、恋愛、美、若さ、幸せ…
一般的な願いの全てを考えてみた。でもどれにも「これ!」とひとつ選ぶほどの決め手がない。

ここまで無の境地になった私は、一瞬「悟ったか!」と思ってみたりもしてみた。でもどうやら違うらしい。『煩悩がない』『超越した空』というよりも、ただただ本当に最初から何もない空っぽ感の方が強く、そのあまりの虚しさにショックを受けた。

私ってカラッポだ…

1ヶ月後、もう一度聞かれた。神様の前で、今度は何とか『なりたい自分』を見つけ出さなくては…
私は手を合わせ、目を閉じ、眉間にシワを寄せて、何とか自分の腹の底にある思いを絞り出した。それは視界ゼロの底なし沼の中から、小さな石をひとつ拾い上げるような感覚だった。

「学びたい… 」

やっとの思いで絞り出した答えに、また自分が驚いた。結局辿り着いたのは、もう既にその道を歩いていた自分…

これは進んだんだろうか。それとも振り出しに戻ったんだろうか。
せっかく神様にお願いできるチャンスだったのに、この答えで良かったのか…
もっと欲張って、もっと望めば、別のスゴい世界を見ることもできたかもしれないのに。

でもやっぱりいくら考えてももう出てこない。そしてその後の私は、それ以外のものへ思いが、徐々に、もっともっと薄れていった。
やっぱりあの願いは本心だったんだろうか…
そして叶っているということだろうか…
十牛図を読みながら思い出した。

結局今日も学んでいる。

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