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プリフールとはいえ、うーむ

幼少時から嘘つきは泥棒の始まりと爪にタコができるほど言われてきていますので、思い返しても嘘をついた記憶がありません。私の正直者エピソードを物語エピソードるこんなエピソードがあります。

あれはいつの頃でしたかな、小学校の頃、給食にホタスミパスタが出たんです。ホタテのスミなんて珍味を小学校の給食に出すなんて渋いですよね。教員のリクエストがあったのかもしれません。東京湾を思わせる淡く灰色みがかったホタスミパスタは見た目もきれいで食欲をそそるものでした。香りも富山湾の海洋深層水を凝縮したように濃厚。当然、味もハワイ沖の……すみません、重要なのはここではありませんでした。まだ今日は食事をしていないもので。

クラスの給食係が一人ひとりに取り分けていきます。最近うるさいでしょ? 数グラムでもズレていたら問題になりますもんね。まだ、私の頃は一桁台は四捨五入で良かった。それでも一人当たり二百グラムと決められていましてね。オーバーすると警報がなりますから。怖いもんです。

でもね、今もあるかは分からないですけど、おかわり券が月に三枚支給されるんですよね。これを使うとおかずが余っている場合、おかわりができる。まあ、希望者が多い場合は争奪戦になるんですけどね。

私も当然、ホタスミパスタおかわり争奪戦に……参加できなかったんですよ。考えなしに使ってその月はもう一枚も残っていなかった。そもそもの資格がないわけです。

早々に平らげて皿まで舐めて、後は爪を咥えているしかなかったんです。そう思っていたんです。

でもね、机の下におかわり券が一枚落ちていたんですよ。これを使えば争奪戦に参加できて、ひいては滅多に食べられないホタスミパスタをおかわりできるかもしれない。そう考えたら悪い考えがわいてきましてね。

でも、そうしなかったんです。ほら、私は嘘をつけないでしょ?
「おかわり券が落ちていました。僕が見つけましたけどどうですか?」って正直に申告したんです。

結局、そのおかわり券はクラスメイトのSPM-ハ型君がおかわり争奪戦に参加するため移動した時に落としたものでした。

一応、お礼は言われましたけどね。それだけです。別におかわり分を分けてもらえたなんてこともなかったです。まあ、そんなことは国が許してくれないですからね。そもそもハ君も争奪戦に敗れて生きているのかどうかさえ分からなくなりましたから。

爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!