ぬきたし 感想

導入(ネタバレ無し)

「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳(わたし)はどうすりゃいいですか?」、通称「ぬきたし」をプレイしました。
↓公式サイト
https://qruppo.com/products/nukitashi/
タイトルから分かるようにR-18作品。
萌えゲーアワード2018金賞シナリオ賞・ニューブランド賞受賞作品。
シナリオ賞受賞作品だけあって、いい意味でぶっ飛んだシナリオが売りでした。

※作品の内容上ここからは下品な単語が目白押しです。


世界観について(ネタバレ無し)

果てしなくバカな世界観で真面目に少年漫画的王道シナリオを展開する」という表現が的確だと思う。

STORY(公式サイトより)

青藍島…ここは通称『ドスケベ条例』によって変態的交尾が許可されている楽園(パラダイス)。そこに転校してきた主人公『橘淳之介(たちばなじゅんのすけ)』は、誇り高き童貞であると同時に、骨の髄まで処女厨であった。
だがドスケベ条例は彼の通うことになった水乃月学園も例外でなく、「セックスしないことは校則違反!そして同時に条例違反!即逮捕・即尺八・即プレイ!」規律を絶対遵守させる生徒会と風紀委員会、通称"SS"の魔の手から、淳之介は逃れられるのか……!?
仲間と共に童貞を死守せよ!淳之介の戦いが今はじまる!

ジャンル(公式サイトより)

ビッチなんかに絶対負けたりしないスタイリッシュ逃亡&バトルADV


..いや真面目なシリアスシナリオゲーなんすよマジで。
あらかじめ用意されている舞台がバカなだけで、登場人物達はみんな真剣だし、生きることに必死。
一応舞台は現代日本で、ドスケベ条例が適用されている青藍島があるというだけの設定なため「元々全員が頭のおかしい世界」ではない。
内容がセックスなだけで、根幹は「マイノリティの抑圧・弾圧」が主軸。
マイノリティを排斥した先に平和はあるのか、マジョリティをマイノリティ側に叩き落とした先に幸せはあるのか。そこに恋愛とバトルを混ぜ込んだような、そんな感じのシナリオ。
掲げているテーマや展開自体はエロ要素がなくても成立している。

淫語関係のギャグ・パロディがめちゃくちゃ多く、無駄に凝った言葉遊びが多いため笑いには事欠かない。
このゲームをやるとしばらく下ネタへの抵抗感が0になるので日常生活への影響は十二分に注意した方がいい。


以下ネタバレ全開。

シナリオ展開について

まず感じたのは、ルート毎に起こる異なるイベントにおいて、シナリオ展開上の違和感や矛盾がほとんど見えない、ということ。
ルートの分岐は3人のメインヒロインの誰を選択したかで決まるが、それ以降のシナリオは選択したヒロインに絡んでいるものばかり。
「何故このルートではこの登場人物がこういった行動を取ったのか?」という疑問の殆どが自然と解消されるように出来ている。
例えば、美岬ルートでは序盤から手嶋が登場するがその理由はダッチワイフの消費が激しかったからであり、その根本的な原因は美岬が提案した"ドスケベ狼少年作戦"が祟って郁子に正体を知られたせいである。
例えば、ヒナミルートでは序盤にSSへ加入するシナリオが展開されるが、その原因はヒナミとユキが襲われた事件から情報収集の流れになったからである。
こういった細かいシナリオ展開の辻褄合わせはライターの腕の見せ所であり、感嘆すべきだと感じた。

また、各ルートのラストバトルの相手やヒロインとの関係性など、あらゆる要素が被りがなく対称性を持っていることも大局的な視点から見て美しいと感じた。
もちろん物語として話の内容やヒロインの属性を散らすのは読者を飽きさせないために重要だが、それが徹底されているように思う。

主人公である淳之介のキャラも各ルートでブレておらず、行動力があり他人を見捨てられない熱血漢として描かれる。
そんな淳之介と結ばれるため、どのヒロインも形を違えど「淳之介を支える」という点では共通していた。上手いのはマンネリを感じさせずに違和感を消しているところだろう。

奈々瀬ルート

初期から登場し迸るほどの正妻オーラを放つ奈々瀬に抗えず初見は迷わず奈々瀬ルートを選択した。結果的に最高の選択だったと思う。

淳之介曰く「人の勘違いを正せない性格」である奈々瀬のルートは、誤解・相互理解を軸として展開された。
外見から「奈々瀬はビッチである」と誤解したままである淳之介に対し、訂正することなく「今度こそ支えてあげたい」と寄り添う奈々瀬。
淳之介がドスケベ条例を恨む根本的な原因が過去に出会った名前も知らない少女=奈々瀬であると発覚したことも含めて、その在り方は正妻としか言いようがない。
淳之介への二人称も「淳」と唯一呼び捨てでしかも略称。この時点で他のヒロインでは正妻レースに割って入れないんだよなぁ。

奈々瀬のNLNS内での役割が斥候なため、「奈々瀬がピンチ→淳之介が助けに入る」の流れが非常に多い。二人三脚で戦う構図が自然に成り立つので上手いと思った。

このルートを読んでいる最中は知る由もなかったが、メインヒロイン3人のルートは敵組織であるSSの幹部3人とそれぞれペアになっていた。奈々瀬ルートは生徒会長の冷泉院桐香。粘膜接触した相手の内面を読み取る異能を持ち、執拗に淳之介を理解したがる彼女は正に理解を求めない奈々瀬の対ヒロインとして相応しかった。

奈々瀬が淳之介の過去に密接に絡んでいるため、このルートでは淳之介の復讐に強くスポットが当てられていた。
ドスケベ条例の頂点に立ち青藍島民への復讐を行うことが現実的となった時、淳之介の決意を固めたのは最愛の奈々瀬の言葉だった。

自分の最奥の内面は、大切な人だけが知っていればいい。

2人の出した答えは桐香と相反するものであり、怒涛の最終決戦の展開はめちゃくちゃ熱い。

このルートのラスボスは当然桐香。
お互いの主張をぶつけ、「"アリアドネー・プロトコル"、起動!!」のセリフとともに流れ出すalea iacta estがカッコ良すぎる。
これまで敗北してきた桐香の羅漢銭(コイン投げ)に対して勝機を探る淳之介。
おいおいバトル漫画か?
決着の着き方もシナリオ中盤からの伏線を活かしていたため文句なし。

初めて読んだ時は、桐香を倒しもう一波乱起こると予想していたので、あっさり条例廃止まで繋がったことで少々肩透かし感があった。
しかし改めて読むと「淳之介と奈々瀬の物語」としてはこれ以上ない綺麗な終わり方だったように思う。
文乃ルートでは奈々瀬ルートの続きのような展開があるが、それは文乃ルートの項で。
桐香の姉は絶対登場すると思ったのに結局どのルートでも出なかった。

ギャグとシリアスの配分も良く、王道シナリオが展開されるいいルートだった。後のルートで敵対するキャラクターがほとんど登場しないため、最初にやっておいて良かった。
「お前はエロゲの主人公か」と奈々瀬にツッコむシーンが多々あるが、絶対奈々瀬側も同じこと思ってる。
奈々瀬が淳之介の過去に絡んでる設定は他のルートでも変わらず存在しているのだが、影から淳之介を支える選択をした姿がここで描かれているため矛盾も生じにくい。

読破後のおまけシナリオで桐香が完全に愛人ポジに収まってて笑った。
まあ桐香の淳之介への感情はなんか普通の恋愛感情っぽくもないしこれで満足なのかもしれない。
あの特殊なプレイを手伝う奈々瀬も奈々瀬だろ..

好きなセリフ

淳之介「慣れている自分が怖い」
淳之介「おっ、おおきすぎぃ・・・アッー!アッーー!」
奈々瀬「・・・うぅるさいっ」
再び、彼のことを支えてあげよう。
どんなことがあっても、彼の助けになってあげよう。
アタシだけは、彼の理解者になってあげよう。
あの時できなかったことを、今こそ━━
美岬『たちばんさん!』
『勃ちっぱさん!』
『橘さん!!!』
『なんですかあのプレイは!?』
『いつそんな変態の扉を開けたんですか!?』
(中略)
『わたしもいまからオなんーしまさ』
『いまあなる』
淳之介「愚問だぞ、奈々瀬!前にも言ったはずだ!」
(中略)
「俺たちNLNSは、仲間全員が無事帰るために━━!」
(中略)
お前と作った組織だからだぁあああ!!
ここで萎えるな。
(中略)
全身に力を入れろ。
(中略)
身体の奥底を、熱く燃やせ。
淳之介「ただ、俺は・・・・・・」
自分を信じろ。仲間を信じろ。
「唯一、俺だけは」
熱い血を、駆け巡らせろ。
「どんな中でも、良識を持った、残りの2割になりたいと━━」
身体が、全身が勃起するように。
淳之介「そして、その2割を守りたいと━━!」
奮い立て。勃ち上がれ。
「そう、心から思ったんだ!!」
そして、戦え━━!
「"アリアドネー・プロトコル"、起動!!」


美岬ルート

奈々瀬ルートをプレイした段階で既に美岬がネジの外れたキャラクターであることは判明していたので、面白そうだと思い美岬ルートを選択。これまで出てきたキャラクターは、「ドスケベ条例に適応した人間」「適応できず抵抗する人間」のどちらかであったため、価値観は生粋の青藍島民であるにもかかわらず私情で条例から逃げている美岬の存在はイレギュラーだった。シナリオもギャグもヒロインの頭の中もぶっ飛びまくってるのになかなかどうして展開が熱い。

今回のペアヒロインは郁子。執拗に淳之介を付け狙ってくる。
余裕がなくなると声を荒げるのが戦闘狂ぽさが出ていて良い。
日本刀を常備していたり、生身で普通に崖を駆け降りたり、バーサーカーモードなる奥の手を仄めかしたり、どう考えても登場する作品を間違えている。可愛い(個人的な見解)。
中盤でNLNSに加入し仲間となるが、戦闘要員が増えたことの安心感がはんぱなくて笑った。

奈々瀬ルートでは一切出てこなかった手嶋が本格的に登場。あまりにも怪しすぎて裏切ったことに驚きはなかった。
自慢の鋼のイチモツで老若男女を洗脳し、青藍島を支配しようと動き出す手嶋。
対抗すべく淳之介も自分のイチモツで被洗脳者と性産的行為を繰り返し洗脳を解いていく諜報戦が始まる。
頭がおかしくなりそうなあらすじだ..。

淳之介が美岬にしか一切興奮しなくなったことで、視界に映る人間全員が美岬に見えるようになるメルクオリア・プロトコルが開発された時は爆笑した。

ラストバトルは、愛の庇護を受けた淳之介と愛情を受けたことのない手嶋のタイマン。
いくら愛の補正がかかってるとはいえ銃弾普通に避けるのおかしくないですか?
文乃の意図を汲み取っての「これで五分だな」で流れ始めるalea iacta est。おかしい..俺はバカゲーを読んでいたはずでは..

このルートでは、紆余曲折を経てSSを手を組み、仁浦に恩を売り穏便に条例撤廃を成し遂げる。敵対組織との共闘は少年漫画の特権。このゲームのルート分岐は根本的に終着点が違うことを認識させられた。

このルートのテーマは、「孤独」だったように思う。影の薄さから無視され続けてきた美岬、シナリオ中盤でSSから脱退させられ淳之介に拾われる郁子。彼女らを認め、居場所を作る淳之介の度量が伺えるシナリオだった。
敵である手嶋も、淳之介の見立てでは自分を認めて貰いたかったのだと述べられている。この手の表現を創作でする時は大抵真実なので、公式設定として捉えていいだろう。

全体的にギャグ要素が目立つが、熱いところはちゃんと熱く、いい意味で愛が全てを破壊する様は潔さすら感じるルートだった。
奈々瀬が淳之介と同じ価値観を持つヒロインだったのに対し、美岬は青藍島独自の価値観から淳之介に影響され(比較的)まともな価値観に染まっていくヒロインだったのがプレイヤーに飽きさせない工夫を感じた。
僕はビジュアル的に郁子が一番好きなので唯一シナリオクリア後のおまけシーンが無いことにブチ切れてます。
結果的に郁子が最も(性的に)真人間になったことが面白い。恋は人を変える。


好きなセリフ

淳之介「畔は、何か弱点とかってあるのか?」
美岬「やっぱりアナルですかねぇ」
淳之介「俺とセックスしてください!」
礼「は、はあ!?何を言っている、こんな時に・・・!」
(中略)
礼「だ、誰が・・・ええい分かった!見せればいいんだな!?ほ、ほら・・・くぱぁ!!」
淳之介「なっ・・・うわっ・・・ほ、本当に見せないでくださいよ!」
美岬「崖だなんてお笑いですね。そんなもの━━」
たかが90度の下り坂ぁああああああああああああああああ━━━━━━━━━━っ!!
郁子「うふふ・・・お待ちになっても据え膳の花。けれどお預けもそろそろ終わり・・・♡ 鯉口切って、いざ睦言を交わしましょう?」
淳之介くーん♡淳之介くーん♡淳之介くーん♡淳之介くーん♡(メルクオリア・プロトコル起動音)
奈々瀬「淳・・・アンタ、散々この島の人間はおかしいおかしいって言ってたけど・・・今この島で一番おかしい人間、アンタだと思うわ」
淳之介「ありがとう」
手嶋「イカれてんだよテメェはよおおおおぉ!!」
淳之介「ああイカれてるともさ!愛っていうのはそういうもんだからな!!」


ヒナミルート

2つのルートを終え、残ったヒナミルートを選択した。
そのはずなのに何故か礼ルートが始まった。

このルートの前半ではSSにスパイとして潜入するというありそうでなかったシナリオが展開される。インポってこの世界でも普通に自称していいもんなんだな..。
ヒナミの幼馴染みである礼がペアとなっていることは明らかだったが、こうもド直球に好感度を上げていく展開は予想外だった。
家族思いで特撮好き年上ヒロイン..あざとすぎる..。
このゲームで「ヒロインと付き合ってると噂され必死に否定する」シーンが見られるとは思わなかったよ。
共通ルートやこれまでの個別ルートでもチラホラ話は出ていたが、男女間が「付き合う」こと自体は普通らしい。恋愛感情と性欲を完全に切り離した世界..こええ..。
SSの仲間や礼と仲を深めることで、彼らを裏切っている事実を割り切ることが出来なくなる淳之介。裏切りが露呈し礼と完全に仲違いした際には記憶混濁まで起こす始末。完全にライナー・ブラウンじゃんこんなの。

このルートの主軸は間違いなく「自己犠牲」であろう。仲間を守るため、精神的負担を一手に引き受けようとする淳之介と、自分を大切にしろと諭すヒナミ。ヒナミの年上ロリ属性はただのギャップ狙いで終わるはずがないと思っていたので、メインヒロインの中で唯一の年上である"格"を見せつける告白シーンは普通に感動しちゃった。ヒナミから告白されるまで、淳之介が明確に好意を自覚していないのも年上の包容力の裏付けになっててよい。
自分の心を押し殺し、ヒナミや淳之介を守る孤独な戦いを続けていた礼。二人に裏切られ、対峙し、精神のタガが外れかけたその時、ヒナミに初めて出会ったあの日━━ヒナミに救われたあの日と同じ椅子で救われる礼。突然泣かせに来るなよ..
このシーンが含まれるチャプターのサブタイトルが「0(レイ)に至る道」なんだよな..

恒例となった最後の死闘の相手は、仁浦。
SSに潜入する展開から仁浦とのコネクションを作り、どちらが野望を成就させるかの勝負にまでもつれこませるシナリオ運びが上手い。
「勝つのは私だ」で流れ始めるalea iacta est。敵のセリフで流れ始めるのは初だけど、カッコいいからヨシ!
SSの訓練を受け、ハンドガンとアリアドネー・プロトコルを装備した淳之介を持ってしても近寄ることすら出来ない日本刀使いの仁浦。人間やめてる奴多すぎるだろ..。

元凶である仁浦を倒し、尚且つ条例によって命を繋いでいた礼をも救う道を選んだ淳之介。最終決戦直前にヒナミが言った「みんなで笑い合えるような終わりにしようね」を実現させ、礼と3人で笑い合うラストは素晴らしいものだった。
おまけシーンは相変わらず(プレイの)レベルが高い。もう一夫多妻制の国に行った方がいいんじゃないかな..。

このルートでは美岬ルートのラスボスである手嶋は前座扱いであり、一回登場して退場。美岬ルートを先にやってて良かった..

シナリオの完成度が高く、非常に満足できるルートだった。
個人的には最高のルート。
敵対ヒロインと一度同じ陣営になることで、より素直に好感度を上げていくシナリオに組めたことが大きいように思う。
このルートに限ってはペアヒロインがヒロインレースに勝ってもおかしくないような話だった。
ところで、礼のつけてるヘアピンが漫画的表現の汗にしか見えなくて、「礼の全ての顔グラが困り顔に見える」呪いにかかってるんですけど同じ人いないんですかね。

好きなセリフ

くっ、犯せ・・・!(チャプタータイトル)
ヒナミ「うあぁーっ・・・!癖っ毛のことは言わないでよぉ・・・気にしてるんだからぁ・・・!」
美岬「はあぁーっ!?なんで気にしてるんですか!この期に及んでまだ上乗せするつもりですか!?」
奈々瀬「・・・アホ毛なら美岬にもあるじゃない?」
美岬「これは毎朝セットしてるんですぅー!」
ヒナミ「私、巻き込まれたなんて思ったトキないよ・・・!橘くんの言ってること、今はすごく分かるもん・・・」
俺は━━誰も傷つけまいと思いながら。
「好きな人とじゃなきゃやだよ・・・好きな人のそばにいたいよ・・・好きな人がつらそうだったら・・・力になってあげたいよ・・・!」
彼女に、こんなにもつらい思いを━━━━
「私は・・・橘くんのことが大好きだからぁ・・・!」
淳之介「だったら━━なぜヒナミを守ろうとした!?」
「ヒナミだけじゃない!俺のことを知っても、あんたは性行為を強要しようとはしなかった!なぜだ!?」
礼「そんなもの、決まっているだろう・・・」
淳之介「なんだ!?言ってみろよ!!」
礼「こんな思いをさせたくなかったからだろうが!!
礼「お前は私と同じだった・・・この島に馴染めず、性を貪ることを嫌った・・・だが、道を違えた。お前は抵抗する道を選んだ!」
「私だってそうしたかった!その道を選びたかった!でもできなかった!そうしなければ・・・私は誰も守れなかったんだ・・・!!」
(中略)
「それなのに、この現実に・・・倒せばすべてが丸く収まるようなご都合主義の悪者なんて・・・存在してくれないんだよ!!」
礼「今更引き返して・・・それで、誰がこんな私を受け入れてくれる・・・?どんなに嫌でも、つらくても・・・私の居場所は・・・もうここにしかないんだ・・・!」
ヒナミ「・・・あるよ
「礼ちゃんの居場所だったら・・・ずっと、ここにあるよ」
さすが日本全土ドスケベ化計画なんて無茶苦茶を言い出す男だ━━頭がおかしいやつは剣の腕までおかしいらしい。
たとえ、この男の言うように━━俺に、人を支配する圧倒的な力があったとしても。
淳之介「そんな力を行使した先に━━」
ヒナミの笑顔はないんだよ!!


文乃ルート

どう考えても文乃周りの伏線が未回収だったため、文乃ルートが存在することは勘付いていた。3つのルートを読み切ることで解禁されたため、満を持してラストのルートへ。
このルートでは文乃が序盤から登場し、更には他の3ルートではオチとなっていた条例撤廃のその先まで展開される。
3ルートのシナリオに近い展開も組み込んであり、更に深く踏み込んだ情報公開がされることもあったため総合的なグランドルートと言っても差し支えないルートだった。

奈々瀬ルート関連
全体的なシナリオ運びが奈々瀬ルートのそれに近い。文乃を保護し、桐香を倒し文乃を引き渡す流れは同じである。
そこから全国の晒し者になった文乃を救出するかどうかは、偏に淳之介の恋愛感情が奈々瀬に向いているか文乃に向いているかであろう。もちろん防人老人の本名を知っていたり手嶋から情報を引き出したりと細かい差はあれど、この奈々瀬ルートとの展開の差異は必然だった。

文乃の出自と桐香の出自が繋がり、掘り下げが増えた。相変わらず桐香の姉は出なかった。
「桐香は本当は自分のことを理解してもらいたかった」という真相は、マジで分かってなかった。ちょっと理解が及ばない人間すぎてもう考察を諦めてたよ..

美岬ルート関連
美岬ルートではキーマンだった健蔵おじいちゃんが登場。今回はもっとやべーもん(戦闘機)を修理する。それを乗りこなして撃墜されたら自転車に乗り換えて平然と戦線復帰する美岬も意味わかんねぇだろ..。

このルートでも郁子に序盤から正体を知られているが、さほどつっかかってこない。"バーサーカーモード"が媚薬を摂取して人を切るだけでイく状態であると明示される。その情報要る?
てっきり両親を含めて親族がいないのかと思っていたが、虐待され島にやってきたらしい。そういう話に弱いからやめてくれ。

手嶋が短小だったという淳之介の見立てが正しかったことが判明。鍛えたところでそんなにデカくなるもんなんですかね?

ヒナミルート関連
SSに潜入する展開がある。相変わらず礼の好感度を上げ始めるし、お下がりのハンドガンも貰う。淳之介タラシすぎるだろ。
真の意味で共闘する展開はヒナミルートにはなかったため、最終決戦で乱入してきた時は歓喜しながらセーブポイント作った。

裏風俗問題が序盤の鍵となる。SS潜入から裏風俗潰しまで多少の展開の差異はあれど大筋は同じ。ヒナミルートではそのまま退場した手嶋が今回は淳之介の師匠ポジに収まるといういい役を貰っている。ただの敵だった悪党を魅力的なキャラクターに仕上げるのは大好物です。

固有シナリオ関連
正直なところ文乃はビジュアルもキャラ付けもあんまり好きじゃないのだけど、最終ルートだけあって絆を深めるシーンも多く素直に感動した。
生い立ち、他ルートではほとんど見えなかった人間性、贔屓目に見ても変態にしか見えない高レベルプレイ、などなど掘り下げが多くてイイネ。むべむべ。

先の3ルートで謎に包まれていた防人老人が本格的に登場し暗躍する。
奈々瀬ルートでは条例崩壊後に文乃が青藍島に訪れている描写があるためさほどひどい扱いを受けてはいないと思っていたのだが、どうやら淳之介に恋をした文乃としていない文乃では展開が違ったようだ。
島民への復讐に心血を注ぐ防人老人はまさに「闇に呑まれた淳之介」そのものであり、最終決戦でもそのことが触れられる。

※追記
上の段落、記憶を頼りに書いたのだけど読み返したら奈々瀬ルートで文乃を見かけるようなイベント存在しなかった。は?
頭美岬かよ..

最終決戦は仁浦、防人との三つ巴。境遇は違えど、怒りから、後悔から、絶望から島に執着してきた男達の殺し合い。
唯一、愛した女が影で支えてくれている淳之介が勝つのは当然至極。
あとから思ったけどこれ義理の3世代親子の身内争いじゃん.....

ところで、文乃は作法を母から習い、母は祖母から習ったという。
防人の血が流れているのは祖母ではなく祖父のはずなので、
祖父(防人老人)→祖母→母(文歌)→文乃というルートを経由して防人の作法が伝わったことになる。あの老人にそんな精神があるようには見えねンだけど?

全てにケリをつけた淳之介が望んだのは、島民全員の幸福。
マイノリティを排斥せず、かといってマジョリティの権利を奪うこともせず、誰もが手を取り合い自己を持って笑い合える世界。これが全てを見てきた淳之介の選択であり、ここまでプレイしたルートの総決算とも言える。
薄々気づいていたが何故か全てのヒロインとフラグを立てており、彼女が1人(文乃)、明確に好意を向けてきているのが4人(奈々瀬、美岬、郁子、桐香)、自覚はなさそうだが好意はあるのが2人(ヒナミ、礼)とまさかのハーレムエンド。処女厨がそんなんでいいのか?全く気付いていない淳之介。お前はエロゲの主人公かよ。

ゲームタイトルにある「貧乳(わたし)」が文乃なのかヒナミなのか悩んでいたのだけど、結論が出ない。
扱いを考えれば文乃なのだけど、口調やシナリオ展開を考慮するとヒナミでもおかしくない気がする。
文乃はシナリオ開始時点で自分のやるべき事を見定めていたので「どうすりゃいいですか?」とはならないだろう。
ただのタイトルに考えすぎ?むべむべ。

好きなセリフ

空早漏太郎「孕めオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァーッ!」
美岬『はぁ・・・はぁ・・・!たっ、橘さん!エロ本って、エロ本ってどのようなものを読んでたんですか!?』
『やっぱり処女エッチものですか!?それとも案外オナニーの時だけはギャル乱交モノを読んでいたり・・・!?分かります分かります、おかずは性癖と別物ですよね!』
(中略)
うっさ、こいつ・・・。
全員「ピース!」「んほぉおお!」「ぽーい・・・!」「いえーい」「ぴ、ぴーす・・・」
幾重にも辛酸を舐め、七難八苦を超え、艱難辛苦の果て、満願成就に至る
奈々瀬「ま・・・付き合いが長いだけで、彼女面なんてできないわよ、ね・・・」
それは、一振りのバイブであった。
仁浦「ほう、そういう使い方もできるのか、ダッチワイフというのは」
だから、わたしは浮かべるのでした。
文乃「━━・・・どうかお幸せに、わたしのご主人様」
あなたに、とても下手くそだと言われた笑みを。
礼「何をしている、橘。お前にはやることがあるんだろう?」
郁子「さぁ、先に行って。・・・もし無事だったら前の続きをしようね、ダーリン?」
淳之介「ああ━━すまない!」
俺は駆けていく。
かつて敵であった人たちに、背中を預けながら。
郁子「━━・・・お待ちになっても据え膳の花。けれどお預けもそろそろ終わり・・・」
「・・・鯉口切って、いざ睦言を交わしましょう?」
礼「我らが版図の逆賊どもよ。我が主君の名の下に、落花繽粉と散り消えるがいい!」
(中略)
桐香「糸が紡ぐは冷泉の檻。緊張の舞う納涼の箱━━」
「━━さぁ、肢体が散っても踊れるか試しましょう?」
防人老人「若造が、その程度で世論を動かした気になりおって━━!」
淳之介「動かしたのは俺じゃない、文乃だ!」
「お前が用済みと切り捨てた小娘の声で、世界は動き始めたんだよ!!」
山間を超え、反対側の山の頂点。
文乃「言いつけを破り・・・申し訳ございません、淳之介さん・・・」
狙撃手は、そこにいた。
その距離、実に2264メートル━━

まとめ

マジで面白かったです。
「バカゲーの皮を被ったシリアスゲー」なことだけ知っていたのだけど、パワポケシリーズのようなシナリオ分岐によってシリアス部分が露呈するものをイメージしていたのでド直球王道は想定してなかった。
さほど考察の余地が多い作品ではなかったのではしょったシーンが多いけども、1から10までぶっとんでて笑えました。

キャラ好み度
ヒナミ≧礼≧郁子>>美岬>奈々瀬≧文乃>桐香
ルート好み度
ヒナミ>美岬>文乃>奈々瀬

ちょっとヒナミ&礼が強すぎたね...だけど淳之介の正式な嫁としては奈々瀬が一番だと思います。

ぬきたし2も買ってあるので読んだら感想書きます。

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