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『Sea of Stars』 感想



前書き

90年代JRPGを多分にリスペクトした作品として話題になっていた『Sea of Stars』をクリアしました。
一人用RPGです。

公式サイト
Sea of Stars - A retro-inspired turn-based RPG (seaofstarsgame.co)


実績を41/42まで取得し、残る1つは条件上2周目で取るのが妥当だと思われるので、ほぼ遊び尽くしたと言っていいと思います。
ここまでやるのにプレイ時間33時間ほど。やりこみ要素無視でサクサクプレイなら25~30時間ってところかな。

私はsteamでプレイしましたがいろんなハードから出てます。

発売からまだあまり日が経っていない作品なので、記事の前半ではシナリオ上のネタバレは無しで評価レビュー的な書き方をして、後半でネタバレ込みの感想とか書きます。興味ある人は前半だけでも読んでって。


戦闘システムが最高

早速なんですが一番このゲームで良かったとこです。
逆にここが刺さらない人だと結構評価落ちるんじゃないかな~と思います。
いろんなレビューサイトでも説明されていますが、基礎システムの解説をします。

コマンド選択式のターン制なのですが、往年のJRPG達のいい所全部つけたんかってくらい、システムが盛り盛りです。
ベースは『クロノ・トリガー』のウェイト設定に近いかな?


プレイヤーパーティは3人までで、行動可能なキャラのコマンドを選択して即時行動を起こす形式です。

どのキャラから動かすかは自由で、3人とも行動するとリセットされて再度全員が行動可能になります。
また、パーティが4人以上になるとコマンドで即時入れ替えが出来ます。入れ替えでは行動権利は消費しないので、状況に応じてパーティメンバーをぐるぐる回しながら戦っていくことになります。

敵の頭上には時計のようなマークが浮かんでいて、数字が記入されてます。
プレイヤーのキャラが1人行動する度に数字がカウントダウンされ、0になると即時行動してきます。
上の画像だとどちらも②なので、パーティのうち2人は先制行動、1人は後出しの行動になります。

また、左側の敵にはハンマーのマークと火の玉のマークがついてます。これはいわば「大技待機状態」です。
表示されている属性で攻撃することでマークが消え(作中用語で言うと『ロック』を『破壊』)、全てのロックを壊すことで敵の行動が中断され1ターンパスとなります。全て壊すことが出来なくても、敵の攻撃の威力を下げたり後述する「コンボ」用のエネルギーを溜めることが出来るためなるべく壊していくことになります。

ここまで説明した内容だけでも、1ターン中に取りうる選択肢が鬼のように多いです。
大量に出現したロックを破壊しきるルートを探したり、ロック破壊を諦めて回復や取り巻きへの攻撃を優先したり、ロックをある程度壊しつつ全体攻撃したり、次のターンへの布石として耐えを重視したりといろんなことが出来ます。
常に考えて行動を選択していくゲーム性なので、頭を使って戦いたい人には刺さるし、脳筋で戦いたい人には不向きだと思います。


敵/味方問わず全ての行動にはAボタンを押すことでクリティカルになるタイミングが存在します(作中用語では『強ヒット』『強ブロック』)。例えば通常攻撃はヒットする瞬間にAボタンを押すことで多段攻撃に派生します。敵の攻撃を被弾する瞬間に押せば強ブロックとなりダメージが減ります。
マリオRPGシリーズリスペクト。

更に一部スキルでは強ヒットを成功させ続けることで連続攻撃となったり、Aボタン長押しで威力が上がるようなものもあります。
マリオ&ルイージRPGシリーズリスペクト。

通常攻撃を使用するとMPが3回復し、『生マナ』と呼ばれるアイテムがストックされます。
キャラの最大MPが低いゲームなので、MPの回収がかなり大きな意味を持ちます。
生マナは消費することで通常攻撃に属性が付与されたりスキルの効果が上がるため、ロック解除にも影響します。

ロック破壊や強ヒット成功などで『コンボ技ポイント(CP)』が溜まっていき、それを消費することで2キャラクター共同の強力なスキルが撃てます。
テイルズシリーズやクロノトリガーなどリスペクト。

MPもしくはCPを消費することで『究極技ゲージ(作中用語が見つからなかったので命名)』が溜まり、フルに溜まるとスキルの中でもとりわけ特別な究極技が撃てます。

他にも細かい仕様やテクニックが存在しますが、基礎システムとしてはこんな感じ。
とにかく管理するリソースが多いです。
ホント楽しかった。


難易度はやや高めです。が、やりごたえがあるという意味で死にゲーではないです。
実際私が完全クリアまでに全滅したのはミスと回復アイテムケチりが噛み合ってしまった1回と、ボスに完全初見殺しを食らった1回の計2回だけでした。
難易度を下げるシステムがあるため、苦労するならそれを活用することもできます。


シナリオは王道

闘いを運命づけられた二人の主人公が、冒険を経て世界を救おうとする物語。
捻り要素は薄くひたすら王道です。
順当に熱いし順当に盛り上がる。

勇気・友情・冒険・挫折・覚悟、そういうの好きでしょ?


全体の構造は文句ないですが、細部はちょっと気になるとこもあります。
新しい単語が出てきて特に説明が無いまま進むことが結構あるので混乱します。そういう場合話しかける必要のないモブの会話がヒントになってたり、よく探索しないと見つけられないアイテムによって発生するサブイベントで解説されたりします。

海外発のゲームなので翻訳の問題であろう違和感もそこそこありました。
例えば、直前に出た固有名詞を突然彼と呼んだり、セリフからキャラクターのテンションが読み取れなかったり、相槌が若干不自然だったり。
先述の知らない単語が出てくる問題も、翻訳の妙である可能性はあります。
一般的な日本人の感覚ではそうは呼ばないだろ、みたいな。

キャラの口調などは良く翻訳されていて、全く違和感なかったので相当頑張ってるとは思います。キャラ崩壊とか日本語として破綻とかはしてません。


ドット絵・BGMが良く出来てる

高クオリティにまとまってます。
クロノトリガー世代なのでめっちゃ懐かしい気分になれました。
ただしクロノほど飛び抜けてるわけではないです。平均点は高いタイプ。
その中でもプレイ中に「おおっ」と思ったのは

  • The Frozen Peak(Day)-フィールド曲

  • Triumph Encompassed-ボス曲

  • Encounter Elite! 2.1-ボス曲

  • Might of Necromancer-ボス曲

あたりかな。

サントラ買いました。9時間あって笑う。



探索・ダンジョン攻略はテンポ悪め

マップが広い、ダッシュが無い、雑魚にエンカウントすると逃げられない、通常攻撃を活用する前提のバランス、などが噛み合って若干テンポは悪いです。戦闘が楽しくないとやってられないかもしれません。

謎解きが多いです。先に進むための様々な仕掛けが用意されており、そこそこ時間を食われます。

ダンジョン攻略に関しては「分岐路の先を全て攻略したら本命の道が開く」というギミックが何故かやたらと多くほぼ全てのダンジョンにあるレベル。
まあ一度攻略した行き止まりにはもう行かなくて済むので行き帰りが楽になる利点はありますが、あまりにも似たような構造。


問題のやりこみ要素

やりこみ要素がいくつか用意されています。
ミニゲームとして『ホイールズ』というボードゲームが用意されてたり、釣り堀で釣りをして回復アイテムの素材となる魚を釣ったりできます。

コンプリート要素として実績(PS版だとトロフィー?)も用意されていて、こちらは本筋にほぼ関係無いので完全に自己満です。
一つを除いて。

このゲームに一つだけ罠があって、別にやらなくていいだろうと思われていたやりこみ要素の一つが最後の最後で本筋に関わってきます。
私みたいなやりこみ大好き人間は何も苦に思わなかったんですが、ここで脱落する人間が相当数いるんじゃないかと危惧してます。

このゲームを十二分に楽しんでもらえないのは本当に悲しいので、何に気を付けるべきかを記事後半のネタバレ解禁直後に記載します。
やりこみ要素は好きじゃないけど本筋が不完全燃焼のまま終わらせたくはない人はそこまで読んでください….


総評

RPG好きならやれ。



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ネタバレ解禁感想

まず前述したやりこみ要素の件ですが、各地に散らばる『虹の巻き貝』を60個全て集めることが真エンドの条件の一つになってます。
なので、普段から探索を念入りにしておくか、取得した巻き貝をメモしておくなどを推奨します。
検索すれば"ほぼ"全ての場所の一覧は出てきます。もう少し時間が経てば完全な一覧も出るかと。
ちなみにゲーム内でも終盤になれば「このダンジョンに巻き貝あるよ」くらいの情報は確認できるようになります。

ネタバレ無しここまで。


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「ガール死にそう死にそう」って思い続けてたらホントに死んだ。
そして真エンドでの蘇生の仕方がまんまクロノトリガーでくっそ笑った。

幼少期から口にしてた眠り竜を鎮めるどころか従えてしまうガールの度量はすげぇ。守護神となったヴァレアとゼイル、英雄となったガール、伝説を語り継いでいくチークスとさわやかなエンドで良かったです。

ノーマルエンドは展開唐突すぎて、真エンドが無かったらわりとガチで怒り狂ってた可能性があります。何で勝ったみたいになってんだよ!黒幕倒さないで溜飲下がるわけないだろ!!
悪に魂を売ったブルバガスとエルリナに救いはないんだね…


散々匂わされてたセライの出自が終盤で判明したけど、何で海賊やってたんだとか海賊メンバーへの説明はどうしてるんだとかが何も解説されなかったのは残念でした。
もっと掘り下げてくれ!

セライの世界に到達した時、BGMやUIがアレンジされたものに変わる演出に震えました。異世界に来た感ヤベェ。


戦闘に関しては気になる点はあれど概ね満足。
ヴァレアとゼイルが二人とも最後まで主力になりうる性能なのがいいね。

ヴァレア・・・唯一の月属性ソース。単体スキルでもコンボでも火力源になれるので重宝。常に前衛出してるくらいには頼ってた。
初見でぶっ壊れかと思ったルナシールドはそうでもなかった…

ゼイル・・・唯一の陽属性ソース。軽い回復を持ってたり陽炎弾の火力が高かったりで器用なサブアタッカーみたいな立ち位置だった。
ガール加入前、ガール一時離脱の間は唯一の回復役だから丁寧に動かしてた。

ガール・・・範囲技を覚えるのがやや遅れる影響で、序盤は回復役か生マナ生成要員にしか使ってなかった気がする。ぶん投げで位置調整して陽炎弾か三日月斬りもやってたかな?
セライ加入後は基本後衛で回復か打撃属性が欲しい時のピンチヒッター。
セライ柔らかいし。
レシュアン加入したら出す頻度減ったなぁ~と思ってたら死んで離脱。

セライ・・・錯乱撃って安全な時だけ通常攻撃するアサシン。
毒の疾風がなんか難しい。
究極技の習得が早い影響で一番演出を見たかもしれん。

レシュアン・・・露骨に強いけど単体火力は出せないから常に前に出すというほどでもなかった。
毒/幻魔のロック破壊や全体回復もこなせる2人目のゼイルとしてかなり扱いやすかった。
究極技がぶっ壊れ。

ベ=スト・・・唯一の蘇生スキル持ちが特徴なのは分かるんだけど、そんなに死なないゲームだからあまり使わなかった。暇な時にMP余らせるの勿体ないし殴らせるか~って出すくらい。
幻魔属性が既にレシュアンがいたのが悪い気がする。


私が他の価値に気づいてないだけかもしれないけど、究極技の格差ひどすぎないですか?
基本的に各属性の全体大ダメージだけのはずなのに、レシュアンのだけ味方全回復+敵の行動3ターン遅延がついてるの流石にレシュアン以外にゲージ回すメリットがない…どれも演出かっこいいんだけどな。


唯一達成してない実績の「匠の一手適用下でボスを10体倒す」を達成するために、二周目もやります。
ついでに巻き貝の場所とか全部メモれたらいいんだけど手間かかるからどうしようかな。



めっっっちゃ楽しんで遊べました。最高のゲーム。
刺さる人には刺さるだろうな~って思います。

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