見出し画像

My First 100mile Challenge HK168 〜人生で最も有意義な8分間〜

トレイルランニングを2019年3月に初めて経験し


8月にモンゴルにて開催されるステージレース
[GOBI March 250km]を完走し

10 月に初のトレイルレース K100(50km in韓国)を走り


12月に香港にて100mile(168km)をぶっ通しで走るレースHK168に行ってきた。




人生初の100mile

一言で、「最高」だった。









My first time of 100mile 

つまり、100mile童貞を開放した記録を残そうと思います。

※大変申し訳ございませんがReal my first 童貞の話につきましてはニーズがなく、多くの方の気分を害する可能性がございますので記事にできません。

深くお詫び申し上げます。
そして、長いです✨














まず、そもそも、なんで100mileレースに参加することになってしまったかと言うと。

GOBI March250kmが終わり、チキンハートランニングチームが本格的に発足したのだが、その練習会の時に、英樹さんが

「直樹、次は香港100mile行こうぜ」






僕 「100mile,いいですねぇ~」





「いいですねぇ~」が口癖の僕は、とりあえず「100mile」という言葉だけを認識し、二つ返事をした。





「それ、いつなんですか?」

と聞くと。





「11月末、今年のな。」





「(は!?今年!?)..........いいですねぇ~~。」



「年内にマイラー(100mileを完走したらマイラーという)になれたら、絶対自信つくし、最高ちゃう?」

と言われ、僕は



「最高ですね!!!」

いや、まじで最高だ。


その勢いで、モンゴルの時と同じノリで酒の力を借り

「Pochiった。」





「はい、完走。」でハイタッチ。



ノリが、軽すぎる。。





僕らにとって、海外レースに参加することのハードルは、風俗に行くハードルよりも低い。高さで言うと、70cmぐらい。

ちょっと助走があれば余裕で越えてしまうハードルなのだ。







ちなみに風俗に行くハードルを高さで表すと、180cm。

越えるのは、至難の技である。。。








そんなこんなで、あっさりとエントリーしてからは

とにかくHK168 100mileレースを意識した練習になり

時間があれば、街の中で急な坂やら、長い階段を探しては、チームメイトと走りこんだ。









仕事終わりに高尾山に行き、ネクタイをヘッドライトに変え、

ナイトトレイルを走ってから、Mt.Takao Bace Campに泊まり

翌日高尾山から出社したりもした。


(ちなみに、平日高尾山ナイトトレイルは、カラオケオールのちょうど4倍最高です。)








走り終わってから、クラフトビールを片手に、レースの作戦会議をするのも最高で。

過去のレース記録やPodCastで情報を集めては、持参する服や食料を考え、「あーでもない、こーでもない」を繰り返す。





香港に行ったことがある人に香港トレイルの話を聞いたり

ニュースで香港の情勢を見て、ビビったり。。






「香港のトレイルはきついよぉ~?」とか
「今、香港行くの?危なくない?」とか
「初100mileが香港ってなかなかクレイジーだね。」



みたいな現実的な意見も多くて。

レースに参加して、完走するハードルは、思ったより高いのかと思わざるを得なかった。。





でも、逆にハードルが高くて、可能性が低いってことは、達成した時はまさに「至福」に出会うことができるのだ。との思考に変換される我々は、スタートラインに立つ日まで、走って飲んでを繰り返した。






出来る限り、可能性が低い方が燃える






デモに巻き込まれる事を避ける為に
参加辞退する人ばっかりで、スタートラインに立つの
俺らだけちゃうん!?入賞やん。

とさえ思っていた。








ちなみに、トレランを初めて1年以内に香港にて100mile童貞を捨てれることは

北川景子で童貞を卒業できるのと同意なのである。
おい最高かよ。











早くレースのことを書きます。

レース前日、羽田空港での空港泊を一泊かまし、香港直通の飛行機に乗って現地に到着する。




この時期に香港に行く。という正気を保てない人、もしくは、どうしても香港に行かなければならない理由を持っている人は少なくて、空席の多い機内では3列シートを占領し、横になって寝ることができた。





後にも先にも、飛行機で横になる経験はこの先ないだろう。。






スタート地点近くのゲストハウスにチェックインをして

早速、気候を確かめに、街を走りに行く。


最高すぎる。レース前のワクワクと、ワクワクとワクワクで、「最高」しか言葉が出てこない。(興奮状態)








寝れるか不安だったが、翌日のレースに向けて準備をして

早めに就寝。









レース当日、スタート時間は15時(日本との時差はちょうど1時間)

168Km(Full)部門の参加者は130名と少し。

スタート15分前からぞろぞろと集まりだす緩い感じもなかなか良い。



集まってくる人はみんな強そうで
みんな慣れたランナーなんやろな〜と思いつつ
僕は、とにかく「楽しんで、楽しんで完走」を目指すのみ!
の意気込みのテンション。


さぁ、いよいよ最高のレースの始まりだ。







ちなみに、今回のレースHK168は
168kmの山々を制限時間48時間でゴールを目指す。
登って下ってを繰り返す訳だが、総合登り標高は
なんと約12,000m
12キロ真上に伸びる感じなのである。


100メートルに1つぐらいの間隔で
コースのマーキングがされているのだが
前回韓国のレースでロストしたことから
今回はスマホにGPXデータをダウンロードして
迷ってもすぐに分かるようにした。







同じような服を着た二人が
陽気に並走をする。

僕らは今、最高のチャレンジの最中にいる。という実感と共に「最高、最高」と言いながら山を登ったり下ったりを繰り返す。

香港の山は、兎にも角にも、階段。
目を凝らして遠くの山を見ると
チャックの様な線がいっていて
それ、全部階段。
日本の山とは大違いで、なかなか硬いセメントで出来ていて、「これが香港トレイルの正体か」と思いながら
足を上げ続ける。

たまに牛や野犬、猿が現れたりもした。







10kmを過ぎたあたりから
周りのランナーとの差が空き始めて
ヒデキさんのバックに入っているスピーカーから音楽が流れ始める。






今回のレースでも、色んな音楽に救われた。

特に竹原ピストルが最高で

必要なのは走りつづけることじゃない。
走り始めつづけることだ

という歌詞を熱唱しながら、二人で走った。



約10kmに一度訪れるチェックポイントで
水やフルーツを補給して、次のポイントを目指して走り始めつづける。


CP2.CP3と、どんどん日か落ちていき
ナイトトレイルパートに入っていく。

チェックポイント3回に1回程のペースで
今回の協賛である日清食品のカップラーメンが置いてあって、僕はほとんどのポイントでカップラーメンを食した。






エイドで何を補給するのかも
ロングレースの楽しみの1つで
ラーメンやコーラ、チョコレートなど
普段バカ食いできないものを貪り食った。





CP3を越えたあたりから登りがきつくなってきて
僕の前から流れる音楽が、どんどん遠くなっていく。







今回は無理をする
と決めているヒデキさんに置いて行かれてしまった。








ここからは、孤独パート。
走り始めて12時間以上が経っていた。





歌をうたったりしながら走っていても
途中でハッと睡魔に襲われたり
「一旦止まれば?」と囁きが聞こえてきたりする。







100km地点を越えたあたりで
やたらと陽気に話しながら進む、3人のフィリピン人ランナーと出合い、彼らについていきながら集団で走る時があった。




英語で話していないから、会話の内容は分からないが
とにかく陽気で楽しそう。
彼らと走っていたら、ちょいちょい気になる足の痛みも感じずに走れた。



彼らと一緒に走り始めて2時間程たった時のこと
真っ暗の山の中で一人のランナーが
「そろそろ一旦寝ないか?」と提案する。



「俺たちは少し寝るけど、お前もどうだ?」
と言われ、甘えがでたのか、即答YES。



ぢゃ、何分寝るのか?という話になり
一人が「15分だけ寝よう」と言い
もう一人が「いや、寝過ぎだ、5分。」
「ほな、間を取って10分か?」とああだこうだが始まり

「お前はどうだ?」と言われ
かなり眠かったから、1時間ほど寝たいと思ったが
「8分寝よう」

と言う、なぜか、満場一致で8分に決定。

みんなで1つのベンチを共有し、アラームをかけ
それぞれの寝方で目を閉じる。





あの時の睡眠は、今まで経験したことのない睡眠だった。
特に夢を見たわけでもなく、とにかく深く深く何かに沈んでいく感じがした。






8分後、アラームが鳴り、みんな無言で立ち上がる。
「よし、行くぞ」と言って、また走り始める。






不思議と、体がスーパー軽い。
夜はかなり寒いのだが、寒気が一切無い。
体がリセットされ、最高のリスタートがきれた。







あの時の8分間の経験がもう一度できるなら
20万円は払えると今でも思う。







体を回復させた僕は、再度ペースを上げて
孤独走りを始めた。
フィリピンランナー3人組、ありがとう〜!








2回目の昼が来ても僕のテンションは変わらずハイ。



途中で出会うランナーに
ぐっどらっくぅ〜!!!
言いながら順位を上げていく。







僕の陽気さについてきてくれた
香港人ランナーと一緒に飲んだ冷たいコーラ、
最高やったなぁ〜

走っていたら、不思議と「ありがとう〜!」
の思いが湧き上がってくる。




一緒に走ってくれるランナーや
チェックポイントで応援してくれる人
ここまで引っ張ってくれたヒデキさん
遠くで応援してくれるチームメイトに向けての
ありがとうの感情。
ゴビのレースと同じく、幸せを噛み締めながら走った。







2度目の夜が訪れる。
もう、走り始めて30時間経過している。





大きな山々を超えて行くわけだが
山頂に着いた時の景色は、いちいち最高で
辛いとか、しんどいとか、弱音を吐いている暇がなかった。


100mileに挑戦する前は
「相当しんどいんやろなぁ〜」と思っていたが
実際は、楽しくて仕方がなかった。



もちろん、楽ではなかったが
最高の苦しみだった。



これは結果論ではなく、走りながら、不思議だなぁ〜
と思っていた。




事前に苦しみを受け入れてしまったからこそ
楽しむためにどうすべきなのか、を考える脳みそになっていたんだと思う。


言うなれば「開き直る」ことを実践したレースだった。








ゴールまで、あと10数キロになった地点
夜12時頃のこと、幻覚が見え始めた。
俗に言う、「宇宙との交信





「あれ?デカい亀がおる!」と思ったら
普通の岩やったり、「蛇や!!」と思ったら
木の根っこやったり。。
葉っぱが手に見えたり。。
いちいち、「ワー!!」とか「ギャー!!」と叫びながら
暗闇の中を進んでいった。




ヘッドライトで照らされているのは、せいぜい自分の先方3メートルで、次に何がくるのか、どんな動物(幻覚)に会えるのか、不安になりながら足を進めた。






そんな中、だんだん意識が朦朧とし、
走っている感覚が無くなり、目の前の景色がただ押し寄せてくるだけ。
自然のランニングマシーンの上で足を上下しているだけの感覚に陥った時のこと。

ヘッドライトの明かりが、1段階暗くなる。






ハッと目が覚めた瞬間だった。
ヘッドライトが暗くなることは、充電が残り少しということを意味する。

「嘘やろ、電池交換したやん。この中でライトがなくなったら洒落ならんて。」

と、思った瞬間僕の思考は「ライトが消えるまでにゴールする」の1点に絞られた。
そして、ザックに入れている行動食やジェルを一気食いした。





すると、今まで重かった体は軽くなり。
ひたすら上り下りを全力疾走できた。

「この力はどこから湧いてくんねん、ラッキー♪」
おまけに、かりゆしを全力で歌いながら
死にそうになっているランナーをぐんぐん抜かした。

最終チェックポイント。







そして、ゴール。



38時間32分。総合12位。
最高の苦しみだった。最高に楽しかった。

とうとう、マイラーになってしまった。


あ〜疲れた〜、と思いつつ、なかなかテンションが高く
眠りにつけそうにない。
とりあえず、らーーめんっ!!









ヒデキさんは総合7位。
さすが過ぎる。
本当に凄い。







翌日、55kmレースを完走した
トモちゃんとおっくんと乾杯。

これまた最高だ。











レースが終わってからのこと。
100mile走ったけど、怪我はなく
筋肉痛もほぼほぼ無しで、2日経てばまた走れる状況になっていた。



「意外といけるんだ。」
と思ったとともに、足を引きずりながら歩くヒデキさんをみて。



「僕は自分を追い込めなかった。」
と思った。





完走できたのは嬉しいけど
まだまだやれた。
次は絶対に勝つ。



勝ち負けではないけど、自分の限界をみたいと思った。
正直、今回のレースでは限界を感じなかった。






僕には伸びしろしかない。
ただ、追い込めなかった自分と、追い込んだヒデキさんとの差はかなり大きい。





もう一度、100mileを走るために鍛え直すしかない。
もっと速く、強くなりたい。
そして、全力で楽しみ続けたい。








そして僕は
プロトレイルランナーになる。と決めた。









まさか、社会人になって、また何かのプロになりたいと思うなんて、想像もしてなかった。






やるからにはプロを目指した方が楽しいやん?
というのと、副業でアスリート。はなんかカッコいい。

もちろん、会社員としてもスーパービジネスマンを目指して本気で取り組む。








とはいいつつ、トレイルランニングは
サッカーや野球みたいにプロチームが無いわけで
プロって何なのか、なぜプロになりたいのか。を自分で定義づける事ができる。

おもろすぎる!!





年内、プロになる意味をうだうだと考えようと思います。
(ほぼ応えは出てるので、追々報告します)







とにかく、苦しいことをクレイジーに楽しむことを全肯定して、応援される人間になります!!!







そんなことを感じた、最高の100mileでした。
これからの人生が楽しみでなりません。






長々とした文でスミマセン。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?