合法的赦しを乞う
〈364字〉
起きた時から、なんなら眠る前から、何もしたくなかった。
やるべきことを本気で放棄しようか悩んだくらい。
結局やるべきことのうちひとつは放棄し、ひとつは最大限後回しにする結果となってしまった。
道中も行きたくないし帰りたかった。
結局行ってからも帰りたかった。帰りたかったというか、何もしたくなかった。起きているのが苦痛だった。
帰り道。安寧。
ふと、帰りたくないことに気づいた。
結局家に帰ったところで目的ある行動をしなければならない。その生活の中にありふれた義務的要素さえつらい。
結局、合法的に何もしなくても許されるのは今、帰り道だけなのだ。あと何駅、がもう少なくなってきた頃にようやく気づいた。
柔らかい長椅子に腰掛けて小さな画面を好き勝手見つめるこの時間に自由が詰まっていることに気づいた。
この時間だ。この時間があと数時間続けばいいのに。
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