フィクション

寂しさにおぼれそうになったときに
僕は詩的になる

例えば全ての星々が僕に瞬いたとしても
例えば大気をこの肺いっぱいに溜め込めたとしても
世界の髄まで愛し抜けたことにはならないし

例えば君に心を許したとしても
例えば想いを口遊んだとしても
僕は虹を架けられずに立ち尽くしてしまう

君が遠くを見つめて何かを点滅させたとしても
声を聞けない、聞かせてくれない
君の声を聞くにはこの星は眩しすぎる
8分だって待ってくれやしないから

だったら誰にも見つからないよう
光のない星に行こう

大丈夫
もともと僕はけっこう闇も愛せる質だし
君と一緒なら影も生まれやしないだろう

そしたら君はこう言うんだ
光も影もない世界では虹がかかることもないのでしょう?

そうならどんなに素敵だろう
君の世界がいつでも天空の瑞祥に彩られていることよりも素敵なことなどないのだけれど

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