ハロハナ・セキュリティクリアランス3の内幕

アドベントカレンダー(裏)12月7日
この文章は、*フタハナ*ハロウィン(通称ハロハナ)を取り扱います。


*Contents*
1.はじめに
2.身の上話(初日~二日目)
3.誰もが取り扱う『情報』
4.個人取引
5.過去の個人取引例(ティメア・スコルネア)
6.過去の個人取引例(モニカ・ポステルニク)
7.身の上話(ターニングポイント)
8.陣営間取引『マカロニスタン』
9.奇跡から発生する絆(ワ・ノーガとタラハシー)
10.奇跡から発生する絆(ジャック・リーチ)
11.陣営戦(蘇生と暗殺)
12.陣営戦(デッドライン)
13.ハロハナ・セキュリティクリアランス3の内幕
14.善意と悪意と懺悔
15.見殺し
16.セキュリティクリアランス4
17.『絆』を作るためのロール

◆はじめに

この文章には度々『情報』だとか『陣営』だとか
そういった手合いの表現が出てきますが、
これは*フタハナ*というゲームに
外部ツールありきで挑むことを推奨する内容ではありません。

また、データ面を詰めてより効率的な攻略を促すものでもなく、
何かの出典や、
検証によって得た有益な情報を提供するものでもありません。

では何について書くのかというと、
『情報というものを取り扱ったロール遊び』について、
既に知っていて「何をいまさら」という方や、
そういったやり取りをご存知なかった方まで、
改めて「こういった遊び方がある」という事を周知・提案するものです。

たのしいことはみんなできょうゆうしたいんだ。


◆身の上話(初日~二日目)

その前のちょっとだけ身の上話します。
興味ない人は次の段落まで読み飛ばしてください。

No.100 コルノーラル・クロモドーリス・アンナエというキャラクターは、
元々キラー路線でプレイする予定でした。
ある仕様と特定条件を満たしたときの爆発力が欲しくてバディ候補をFlowerに絞り、食料集めもそこそこに武器を回収し、
積極的にKillを取る予定でした。

ただしそれは四日目辺りからの予定で、
見通しの甘さと判断ミスからその予定をかなり早い段階から繰り上げる必要が出てきました。
No.159 ジョアン・ゼパムにも武器を集めるようロール上でお願いしてしまったのです。
かじる→手当ループもロールの性格上できない二人にとってこの判断は致命的で、すぐに二日目辺りから安全圏を下回ってしまいました。
こうなるともうKillを取って無理矢理稼ぎ、その戦果を彼女に分けるしかありません。

装備もまともに整っていない状態で、大太刀蛍丸だけ回収し、その日から足切り後平均2Kill取っては
物資を分配し、自分はマップの特定位置でBlood状態をやり過ごすという事が日課となりました。

◆誰もが取り扱う『情報』

さて、そうは言っても早い段階からKillばかりしていると抑止力に目をつけられてしまいます。
実際早い段階からNo.21 ネバーカムより警告を受けていました。

そこで今回の肝ですが、『情報』を使ったやり取りで物資を稼ぐ事も検討しました。
『情報』といっても大仰なものではなく、恐らく皆さん活用されているものだと思います。

「どこの誰誰が危険だ」
「あそこにラプターがあった」
「あいつが花を探している」

といった実際にゲーム上で役立つものから、

「〇〇と××はデキている」
「あの二人は放っておくと大変なことになる」
「あいつの願いはその身に降りかかる呪いを払うことだ」

といったフレーバー的なロールまで、『情報』はあまねく場で自然発生し、個人・陣営問わずやり取りされています。

1:1のメッセや周囲ロールの会話もコネクション形成に必要な『情報』なので、フタハナでロールをしたことがあるPLなら必ず一度は取り扱った事があるはずです。

ハロハナにおいては
・食料の重要度が上がった
・七色のブーケ素材である花が出回るようになった
・装備の分布がはっきりと区別されるようになった
ことから、これらの取引がかなり盛んに行われていました。

◆個人取引

1.バディ・またはバディ以外の人間とバディを組み、物資などを融通する。
2.あるいは回復・状態異常の解除を受ける代わりに対価を支払う。
3.はたまたフレーバー的な秘事の対価をアイテムで支払う。

1:1の取引にはいろんな形がありますが、この時アンナエは主に1、または2を行っていました。
余った武器を渡す代わりにカルビ肉を得る。
使う予定のない花を渡す代わりにカルビ肉を得る。
そうやって、Killを取らなくてもジョアン・ゼパムを安全圏に押し上げる工夫をしていました。

序盤から無理をした代償として、既にジョアン・ゼパムの花びらは減っていましたから、足切り後の"狩り"では可能な限り単独で動くように心がけていました(それが後々失態を招きますが)
結果として迎撃に遭い、蘇生をしてもらう代わりに折角得たカルビ肉を支払うという局面もありました。

日中はカルビを集め、時にコネクションを広げつつ、時に取引を行い、
そして深夜になれば狩りを行う。これを三日目の夜まで続けていました。

こういったやり取りはハロハナ以前からも頻繁に行っていました。

◆過去の個人取引例(ティメア・スコルネア)

くびふたつのティメア・スコルネアは、フタハナ初参加ということもあり、
基本的にバディとのみロールを行っていました。
しかし放埓な性格であることをロールに反映するため、一夜限りの関係を持つこともあり、時にはバディ持ちの子を篭絡する事もありました。

そういった行いが大きな諍いを生んでしまい、
キラーが動き始めていたこともあって島は随分と剣呑な雰囲気に包まれてしまいます。
そんな行いをしていたティメアが無事で済むはずもなく、
バディと離れていた僅かな隙を突かれ、当時のバディ・ベナトを逆に篭絡されてしまいました。

奪還のため戦う必要がありますが、2VS1では勝ち目が薄いため、
最低限の武器を確保した後、当時のNo.2 ティンに取引を持ちかけました。

内容は「食料をあげる代わりに、その狙撃銃のスコープで彼女たちの居場所を教えてほしい」
問題なく成立したわけですが、これだけでは彼の現在地から狙撃銃の射程範囲に居るかどうかしか分かりません。
なのでそのログを取得した後、篭絡したPLに
「居場所を見つけたロールはしたが、持っている武器を見ることはできないか」
打診してみました。

当然ですがお相手はそれを拒否する権利があるというか、呑む理由がありません。
しかしそのロールを評価していただいたのか、部分的に所持武器を開示していただけました。

結果として、その情報が決め手となり、
ティメアは篭絡した犯人とベナトを次々に撃破していきます。

◆過去の個人取引例(モニカ・ポステルニク)

くびみっつでは魔術師や殺戮者、Flowerが追加されましたが、
メテオの脅威はたちどころに周知され、いわゆる魔術師狩りのムーブが起きていました。
迫害の対象となった彼らは、恐らく裏で結託しているだろうと読み、
魔術師キャラクターへ手当たり次第にメッセージを送ることにしました。

その内の一件がヒットし、魔術師組の首謀者の名前を知る事となります。
この時点でモニカは私兵集団を募り、彼らに協力することで
「迫害を正当化する連中の"罪"に"罰"を与えてあげよう」と目論むようになりました。

その中の手段のひとつとして、モニカはまず単独で動いている人物をKillしました。
その後、「蘇生してあげる代わりにボクたちと一緒にあそぼうよお」と煽動しました。
このようにして得た協力者と共に魔術師組と合流しましたが、
首謀者の暗殺や主要メンバーの脱落などが相次ぎ、最終的に二勢力は壊滅します。

加えて、当時別所でやり取りした秘匿回線や、
指名式処刑を推進していた『風車の唄』経由で情報が漏洩し、
当時のバディ・エリスリナとのイベントが終わった後にバディ諸共暗殺されてしまいました。

◆身の上話(ターニングポイント)

話はハロハナに戻りますが、アンナエのキラーとしての日々は長く続きませんでした。
三日目深夜直前。アンナエに少しでも尽力しようと取引にでかけたジョアン・ゼパムが
足切り直前というタイミングで殺害され、デッドラインを割ってしまったのです。

同志かいばーの記載『Flowerのススメ』記載の通り、Flowerにとっての取引は生還において重要なウェイトを占めますが、あのタイミングで彼女とバディ解散するのはいくらなんでも自殺行為でした。
同氏の記載された『終盤』(この場合その日の終わり)における立ち回りができていませんでした。

このまま蘇生しても食料の補填が間に合わない恐れがあったため、
アンナエは真っ先に一人殺害し、食料を得ました。
しかしそのせいで蘇生用のAPが足りなくなり、
なりふり構わずシャウトで助けを求めます。渾身の命乞いです。
なんとか蘇生してもらい、食料を分け与え、デッドラインから復帰したと思ったのですが、

どうやらその時既に"審判"は終了しており、ジョアン・ゼパムは脱落者として読み上げられてしまいました。
この瞬間、アンナエのやる事は決まっていました。
「必死に生きあがいて、もしそれでもダメならその時は──」
アンナエは慟哭しながら、せせら笑う聴衆を殺害しました。
ロールを回しながら、次に殺す相手を探していました。
そうやって襲って、襲って、いつか自分が死ぬまで襲うつもりでした。

ジョアン・ゼパムが死亡するなら、約束に従ってアンナエも死ぬつもりだったからです。

しかし、No.79 アスの独断により、寸でのところで『七色のブーケ』を手渡され、ジョアン・ゼパムは奇跡的な生還を果たしました。

翌日メッセにより知ったのですが、彼こそが後にアンナエの運命を大きく変えた陣営
『マカロニスタン』の一員だったのです。

◆陣営間取引『マカロニスタン』

個人取引例は過去の事例も含めいくつか挙げてみましたが、
本格的な陣営間取引はくびみっつで私兵と魔術師組を結託させる時以来の事でした。
同じ目標を持つ陣営の益を増進させるために、個々の損得を廃した取引が、
『マカロニスタン』の秘匿回線では頻繁に行われていました。

バディ救済の恩義に報いるため、そこから最後の日まで彼らに尽くす事を決意したアンナエは、そこでアイテムソナーやラプターなどの物資を借り受け、一人でも多くを救うために『七色のブーケ』の材料である花を集めていきます。
No.45 ケイト・リーパー率いる『マカロニスタン』にはネバーカムも所属していた時期があり、後半に提供されたブーケにはアンナエ達が集めた花により構成されています。

それ以前から目立っていたネバーカムに代表として渡してもらった方が
違和感がなかったということもありますが、
「どの陣営に誰が存在するか」ということは文字通り命に係わる情報なので、アンナエはシャウトに出ず、ひたすら裏方に徹することとなりました。

具体的には花集めがそうですが、今誰がどの花を持っていて、
誰が次の日を越えられそうにないかを管理も自発的に担当することとなりました。
(めちゃくちゃ忙しかったです。常に複数人とメッセや秘匿回線でやり取りしていました)
これによりデッドラインを割っているメンバーをブーケで救出し、
残りのメンバーで助け合うサイクルが早い段階から形成されていきました。

◆奇跡から発生する絆(ワ・ノーガとタラハシー)

このころになると、最早アンナエは死ぬわけにはいかなくなりました。
くだんの奇跡もそうですが、No.223 イブキ No.224 シロナとの取引を
奇跡の前、三日目日中に行っており、「偶然足許に咲いていた花」を渡すことで彼らの生還に貢献できた一幕があったのです。
その時託された言葉と装備・物資、「必ず生きて帰ってこい」という願いを受け、直後『マカロニスタン』にジョアン・ゼパムを救われたアンナエは、二重の約束に縛られて最早キラーとして動くわけにはいかなくなりました。

さらに、『マカロニスタン』所属後、例の奇跡を見てくれていた方々から
助力を得た事により、その傾向はより一層強まります。

初日から友人として付き合っていたNo.83 ワ・ノーガ
彼女は早い段階でデッドラインを割り、命乞いをする一幕に直面していました。
アンナエが何かできたわけではないですが、No.149 タラハシーが彼女を救って以降、二人がバディになった事をアンナエは知っていました。

奇跡以前"狩り"がうまくいかず、窮していたアンナエは、
返り血に塗れた状態でワ・ノーガと再会することになります。
魔術師である彼女は狩りやすく、その時本気で手にかけようか悩みました。
しかしアンナエの前にタラハシーが立ちはだかった事により、
アンナエは「友達は狩りたくない」という理由を告げ、ワ・ノーガ襲撃を思い留まります。

その結果として以後二回に渡り、彼女たちが脱出するその日までタラハシーから花や食料などの支援を受けることになりました。

◆奇跡から発生する絆(ジャック・リーチ)

奇跡を見てくれていたのは彼らだけではありませんでした。
No.73 ジャック
彼は生還確定したわけでもないにも関わらず、「御前の未来に祝福を」と告げ、食料や手持ちの花ほぼ全てを譲渡してきました。
アンナエはその彼の行動に破滅的な意志を感じましたが、危険な時間帯であることを理由に、早々に追い返されてしまいます。

それ以降は『マカロニスタン』の活動に奔走していましたが、どうしても気がかりだったアンナエはケイト・リーパーに相談します。
「もし仲間がみんな生き残れそうだったら、自分のブーケを彼に渡し、自分は七日目に行く」

しかし、六日目はそう甘いものではありませんでした。
異常に吊り上がるデッドライン。多くの人がブーケを集め、物資を他の誰かに託していたという、自分たちもやっていた事柄を勘定に入れていなかった事が招いた失態でした。
すぐに当初の見積では残留組の食料が足りない事に気づき、その計画は打ち切る事をケイト・リーパーに伝えます。

しかしケイト・リーパーはその意志を汲んだのか、自前のブーケをジャックに譲渡しました。
ジャック・リーチは既に現実では死亡した人物であるため、ブーケを受けても生還はせず、その場で血だまりのような花畑になってしまいました。

◆陣営戦(蘇生と暗殺)

陣営の強みは、物資の融通や蘇生の柔軟性など多岐に渡りますが、最大の武器は「誰と誰が組んでいるのか分からない」ということです。
実際に早い段階からキラーとして暴れてきたキャラクターをしつこく討伐している
『マカロニスタン』メンバーも居ましたが、
即座に復活する様子を見て業を煮やしていました。

ぼくはその犯人を知っていました。
何故なら五日目辺りから動き始めていた別のキラーを"暗殺"するために、別陣営との陣営間取引で共同戦線を張る事を知っていたからです。
(実際にロールでやり取りをしていたのはケイト・リーパーですが)
(勿論それを知らないアンナエにカミングアウトはさせていません)

いかに強いキャラクターであろうと、大人数から同時多発的に襲撃を受ければ必ず壊滅します。
アンナエが序盤の"狩り"で一晩に三人以上は殺さなかったのも、過去に経験した"暗殺"を回避するためでした。(かなりギリギリでしたが)

結局五日目のキラーはリークされた情報を得たのか、
作戦実行の三十分前にブーケによる脱出を行いました。
彼女たちの拠点近くの周囲ロールにより、どこから情報が漏れたのかはおおよそ特定していますが、実際に情報がリークされていたのか、それが決め手で脱出を踏み切ったのかは分かりません。

◆陣営戦(デッドライン)

見積の甘さから招いた『マカロニスタン』残留組の危機は深刻なものでした。
六日目夕方に、陣営外の人物にブーケを譲渡するムーブがあった事も相俟って、肝心の構成員が脱出するブーケが不足していたのです。
アンナエは彼らを救うため、自らもキラーに舞い戻り他の人を代わりに脱落させようともくろみました。
しかし各所でに暗躍する複数人のキラーに狙いをつけるのは難しく、そうしている間にも次々と仲間が殺害されてしまいます。
蘇生しては殺され、また悲鳴が聞こえる。
陣営戦のクライマックスはさながら戦争の様相を呈していました。

唯一取れたキルですら、"迎撃"。システム上迎撃によるキルでは食料を奪えない為、そこでAPが尽きたアンナエは万策尽きてしまいます。

如何に強固な陣営であろうとも、情報の扱いの甘さひとつで壊滅し、敗け戦に転じてしまう経験はくびみっつ以来の二度目でした。


◆ハロハナ・セキュリティクリアランス3の内幕

ここまでは誰にでも話せる事実をもとにした内容です。

ツイッター上でも何度も呻き、供述したアンナエのドラマです。

しかしこれらが全てではなく、ぼくとアンナエは確実に生還するために
情報のレベル付けをして管理していました。

・セキュリティクリアランス1:シャウト
 誰でも参照可能な情報です。
 重要度の高い情報を扱うには適していません。
 目立つことができるので、
 コネクション形成やイベントの導入に適しています。

・セキュリティクリアランス2:周囲ロール・公開回線
 その気になればだれでも参照可能な情報です。
 限られた人員だけのロールや、
 リークされても困らない情報の取扱いに適しています。

・セキュリティクリアランス3:秘匿回線
 『マカロニスタン』の秘匿回線『アントノフ製造所』が該当します。
 基本的にメッセでその回線名を周知されるため、
 リークがあった=内通者が居る事を示します。重要度の高い情報を、
 選定されたメンバーに一括で伝える時に適しています。

・セキュリティクリアランス4:極秘情報
 ゲーム上は1:1のメッセ。人によっては外部ツールでの連絡。
 対話相手の明確な悪意がない限りリークされることのない情報です。

四日目からは、『マカロニスタン』の『アントノフ製造所』での活動がアンナエの全てでした。
アンナエは恩義に報い、一人でも多くを救うために尽力しました。
しかしそれは、決して他のメンバーが持っていた利他の心や愛ではなく、あくまでもジョアン・ゼパムやイブキとの約束を果たすための手段でした。

◆善意と悪意と懺悔

アンナエが率先して現メンバーが所持する花状況を管理した理由は二つあります。
・今必要な色を明示化し、時間ロスを防ぐ
そして
・自分が脱出するための花を確保する

先ほど、アンナエはこの活動でデッドラインを割った人へ優先的にブーケを渡していたと記載しましたが、これにはひとつ"うそ"があります。
それはまだデッドラインを割っていないアンナエ自身に、比較的早い段階からブーケを揃えていたことです。
タラハシーやジャック・リーチから譲り受けた花はひとつ残らず『マカロニスタン』に献上しました。
それにより事実として数名の参加者を生還させることができました。
しかし、献上したというのは建前で、それらを実質的に管理することで事実上自分のブーケだけは何があっても確保できるように手配していたのです。

同志かいばーの『ハロハナPL録』を見る限り、どうやらあのブーケの材料は「ケイト・リーパーからアンナエに分配されていた」と
思われていたようですが、実際にケイト・リーパーがブーケを融通したのは
ジャック・リーチに対してであり、彼女自身は誰がいくつブーケを持っているか完全に把握してはいないようでした。

ケイト・リーパーは全体の取りまとめだけを行う方針で、管理が厳密でなかったこと。
六日目時点では自分の意思で七日目へ進もうとする者が多かったことから、さしたるトラブルになることもなく、アンナエは自然な流れで自分のブーケの確保に成功しました。

◆見殺し

それでも、救えなかった若干五名のうち、一人二人を救う事はできたはずでした。
六日目は夕方からキラーが動き始めていたのですが、それでも花を集め練り歩いている人はいましたし、そうしているメンバーも居ました。
しかしアンナエは自分の身を守るため、ギリギリまで花捜索を再開しませんでした。

脱落が確定したネバーカムは、自分と、受け取り拒否したリーリアのブーケを見ず知らずの参加者に譲渡しました。
アンナエも自分のブーケは確保しています。
その気になれば、自らの命と引き換えに誰か一人なら助ける事ができます。
No.27 リーヴァは初日から交流がありましたし、彼のバディ・No.113 ウィステリアには何度も助けられました。

しかしアンナエは結局自分のブーケを手放しませんでした。
アンナエは約束を守るという建前をもって、彼らを"見殺し"にしました。

◆セキュリティクリアランス4

ハロハナ終了後、多くの参加者と交流が盛んになり、彼らの体験談も聞く機会が増えました。
彼らが何を考えてプレイしていたのか。
どういう陣営が存在し誰が所属していたのか。
装備ごとの内部データやグリッジ的な仕様。

この手の話は今回が初めてではなく、盆ハナ、くびみっつ、くびふたつでも
フタハナ終了後の情報収集は欠かさず行ってきました。
詳細は伏せますが、皆さんの記憶にも残っているであろう出来事の裏でも、
水面下での陣営戦が奏功して成功へ至ったという話も聞いています。

偶然の産物やロールの結果によって生まれたドラマももちろんありますが、
そういった『情報』を駆使して成立したドラマがある事もまた事実です。


冒頭で記載した通り、これは*フタハナ*というゲームに
外部ツールありきで挑むことを推奨する内容ではありません。

また、データ面を詰めてより効率的な攻略を促すものでもなく、
何かの出典や、検証によって得た有益な情報を提供するものでもありません。

──ですが、それらを否定するものでもありません。
*フタハナ*というゲームは、皆さんが作成されたキャラクターの命が懸かったゲームです。
命は重いものであり、それはバーチャルの世界であろうと軽くなるものではありません。
大切な自機と、愛する者、仲間の命を守るためにあらゆる手を尽くす事は生物として当然の事です。

どこまで厳密に身を守り、どこで命を懸けて、どこであえて危険な橋を渡り……どこで死ぬのか。それとも生き残るのか。
それをある程度コントロールするために『情報』というものは必要不可欠です。

ただし、これまで記載した話を読んでくださった方なら、『情報』というものが「他を出し抜くために使う武器」だけではないと分かってくださるのではないかと信じています。

◆『絆』を作るためのロール

というのも、これも前述したとおり、ロールをする以上『情報』は必ず付きまといます。

あの人はどういう設定を持っており、
何が好きで、
何が嫌いか。
自分とどんな話をしたか。
何を共にしたか。
これからどう生きるのか。
これからどう死ぬのか。

相手を知ることは、絆を育む過程で必要不可欠です。
相手を知れば知るほど、同じドラマでも重みが違ってきます。

*フタハナ*に限らず「相手に興味を持つ」事がロールの始まりであり、より多くの人に目を向け、それらを掘り下げる事ができるのであれば、特に難しい事を考えるまでもなくドラマは自然発生するものだと信じています。

事実として、『四日目の奇跡』は自分の意思や計算で起こしたわけではなく、その場に居合わせた人達から発露した"愛"を受けて発生した、『みんなで起こしたロールによるドラマ』だったのですから。

@TsukumoShiki

この記事の内容の信頼性について検証が求められています[要出典]。



◆おまけ:人の心

これまで参加したくびふたつ、くびみっつ、盆ハナは
生死やドラマの違いこそあれど最後までバディと連れ添っていました。

しかし今回、四日目の件からバディと離れ離れになり、
仲間こそ居れど独りで過ごすことが増えたのは初めての経験でした。

隣に居るはずのバディが居ないという事は、
戦術面でも勿論ですが、それ以上に精神的にくるものがありました。

アンナエがそのことについて弱音を吐くロールは
六日目の劣勢時までありませんでしたが、
言いしれようもない心細さは常にかかえていました。

マカロニスタンに来てくれたNo.88 チヨ子もまたバディを失っており
彼女の場合殺戮者であるバディとの死に別れでした。
出会った当初は彼女が助かるとは微塵も思っていませんでしたが、
マカロニスタンで共に活動するにつれて、
愛とはなんなのか。それはどこにあるのかというところで
かなり共感を持てるロールを回していた事が記憶に新しいです。

結局、チヨ子とアンナエはブーケによる脱出に成功しました。
その後初代フタハナとなったタラテラの奇跡により、
チヨ子のバディも生還を果たすことができました。

それらはとても喜ばしい事で、
誰もが望んでいたハッピーエンドになったと思います。


ただ、ここにきてチヨ子とアンナエで決定的な差が生まれてしまいました。
愛を知ったチヨ子は、最後まで他人を手にかけることがありませんでした。
しかしアンナエは、ジョアンとの生還のために何人も手にかけました。

アンナエが助けた命によって、助からなかった命も勿論あります。
そもそも四日目の奇跡の段階で、助かったジョアンちゃんとはまた別に、
助からなかった29人の犠牲者がいます。

そんな彼らも今では奇跡により皆復活を果たしています。
繰り返しになりますが、それらはとても喜ばしいことです。

では、果たしてアンナエは誰かを救う事ができたのでしょうか。
ただただ奪うだけに終始したのではないでしょうか。
人を殺し、仲間を見捨て、そうして自分の手で得た生還は……
その実自分の力でなくとも"結果的に"は得られるものとなりました。

もしもアンナエがこれまでやってきたことが
全て"無駄"だったのだとしたら、誰も救えていないのだとしたら、
アンナエは最後まで"共食いのウミウシ"だったということになります。

それらを踏まえた上で、
アンナエはこれからどのように生きていくべきなのか。
ぼくはハロハナが終わって一か月が経とうとしている今現在でも、
その事について考えています。考え続けています。


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