今年一年を振り返って

この記事はMastAdbentCalender24日目の記事である。

普段、自分は「アーティストとは?」「俺の制作スタイル(`・ω・´)」みたいなことは極力語らないようにしている。
どちらかと言うと、「普段から酒しか飲んでねぇ」「適当でよくね?」のような自虐しか言わない痛い学生である。
しかし、せっかく年末を迎え、大学の同学科の人々が自分の生き方や成果物を報告しているので、同じようなことを書く気になり、筆を握っている。

さて、この記事は普段自分が溜め込んでいる鬱憤を吐き出し、自身の成果物を自慢する為の物であることは、前もって断っておきたい。

一年の振り返り・成果報告
この一年は自分がアート活動に真面目に取り組むきっかけになったような年だった。
以下が自分が今年行ってきたアート活動である。

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作品、展示会を追いながら一年を振り返りたい。

”CLUB” (mAstival出展)
今年に入って初めての展示会だった。
先輩である都築さんにアドバイスを頂きながら、同期の大森功太郎と共に展示を行った。
この時、展示会と言うものに対し適当なスタンスであり、作品はほとんど形にならなかった。
今の自分と比べると、アート活動はほとんどお遊びのようなものであった為、後悔はしていない。(主催の都築さん、展示を一緒にしていた方には頭が上がらない。)
会場に来て、他の人の作品をみて「やばい!」と思い、展示スペースをオラオラと設営したことは覚えている。

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当時の自分にしては割とうまくやった方だと思っている。

この頃から「アーティストになるぞー!」的なことを考え始めた。

”蝉-Canon” (MediaAmbitionTokyo2019出展)
研究室の先生のご好意で、MAT2019に出展させていただいた。
この時、展示した作品は去年に制作した”蝉-Canon”。

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「BioPunk」
コンピュータ単体で、生物単体で、できないことが生物とコンピュータの掛け合わせで可能になる。だが「身体に電極を刺し電気刺激を与え行動を制御する」という行為は、一見するとグロテスクで、ディストピアを想像する人も少なくはない。しかし、そのような行為は必ずしも悪いとはいえない。「アート」として「技術が浸透していくときに拒絶されうるか?」という感情の側面を考えることは「BioPunk」の実現を考える上で重要だ。
「セミ」が「パッヘルベルのCanon」を奏でた。セミという生物は日本では身近であり、部屋の外に出るだけで「BioPunk」を考えるきっかけになる。そして、音楽とは人間の感情と強く結びつくものであり、感情的な面から作品をみる事を促す。普段、セミの音は不快感を与える。しかし、本作品では独奏に加え四重奏であっても、うるささを感じず、どこか物悲しささえ感じるかもしれない。

この作品は自分がアートに興味をもったキッカケであり、作品の出来については割と満足している。
「もっと展示会に出たい!」「いっぱい展示する方がカッコいい!!」などと思っていた気もする。
そして、展示会の誘いを断らずにめちゃくちゃ受けまくるようになった。
正直昔のこと過ぎて何を感じたかなど覚えていないし、いっぱい失敗もしたが、そのことをツラツラと武勇伝のように語るのもダサいのでさっさと次に行く。

MADにて"猫の先触れ"
同級生と芸専の先輩とともに作品を一つ制作した。
思い返すと、当時の自分は芸術や展示を手段にしていたと感じる。
それ自体が目的になっていないくせに、カッコつけて「芸術やってます」なんて言うものだから、作品や行動に一貫性や真のようなものがない。
自分の本心に素直にならないことが、どれだけデメリットになるかを今になって実感する。

TParty主催イベント”LaunchParty”にてVJ
自身が所属している団体TPartyでの主催イベントにて人生初のVJを行った。
https://twitter.com/commando1999/status/1126903768358932480?s=20
また、LEDマトリクスを使用したマスクを制作した。

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イベントの設営、作品制作を同時に行った為、イベントは形になりはしたが、自分の思い描いていたイベントの方向性と違う趣旨になってしまった。
別にこれも失敗とは思っていない。
完成品が創作段階からかけ離れてしまうことはよくありことであり、それもまた面白い部分の一つであるからだ。
しかし、創作段階からブレないようにすることは作品の一貫性を保つ上でも大事なことであり、自分はそこを目指すべきだと思っている。
原因は明確である。
主催と制作を同時に行ったからだ。
明らかに当時の自分には荷が重過ぎており、自身の作品制作に必死で、イベントの構想の共有を怠っていた。
これも「展示会いっぱいやってて忙しい方がカッコいい!」みたいな腑抜けた考えをもっていたからである。
しかし、これに懲りず8月まで展示会の予定を詰めてしまった。

”BioPunkの辺境” (平砂アートムーヴメント出展)
平砂アートムーヴメントでは、つくば寮の廃墟を用い部屋一室を使って展示を行ってよいとのことだったので、トイレの壁一面にグレイスコットの模様を貼り付ける作品”BioPunkの辺境”を制作した。

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テクノロジーなきBioPunkの世界
都会ではテクノロジーが信仰され、田舎では神秘が信仰されている。
田舎に住むBioPunkerが神秘に魅入られ夢を見た。
トイレの壁一面にグレイスコットモデルで生成した絵を貼り付ける作品。
部屋の中は水の滴る音と暗さで、まるで悪夢のような空間になっていた。

この頃は、よくメディアアートはその技術の感動されることが多く、コンテンツや表現自体に感動されることが少ない、とよく感じていた。
なので、技術は用いずにコンテンツや表現のみで作品を制作した。
やはり、技術を用いない分、作品として成り立っているか心配になることが多かった。
その為、展示期間中の色々後付けをしたり工夫をしていたが、今振り返るとこのままでよかった気がする。
しかし、まだこの頃は作品の見せ方についてもほとんど関心がなかった。

自身の作品 "ClockRoach" "MakeUp Cockroach" 共同作品 "Equality of beings" (ナナナナ祭出展) (KaMiNG SINGULARITY -aiが神になった世界- 出展)
またやってしまった。
展示会の為に新たな作品を制作し、完成度の低いものを展示してしまう。
渋谷の100banchで行われたナナナナ祭と、KaMiNG SINGULARITY -aiが神になった世界- に出させていただいた。
一週間と展示期間は長く、ほぼ毎日東京に止まって作品のメンテをしていた。
ようやく、この頃になって、周りのデザイナーの方から刺激を受け、作品の見せ方に興味を持つようになる。
アートなんて見せ方が5割占めるみたいなとこあるのに(あくまで個人的意見である)、、、
制作にお金を回しすぎて、貯金もそこを付き、毎日ご飯のおかずは30円の梅干しと蒲焼き太郎、水道費を払えないと親に泣きついたのは、今になっては懐かしい。
ちなみに、お金を使いすぎてしまう人は月の仕送りを分割し、毎週仕送りをしてもらうと人の生活ができる。(もちろん、毎週必ず送金してくれる母には頭が上がらない。)
この頃から、新作を作ったり、展示会を詰め込むこともやめ、完成度の高い作品を作ろうと考え始めた。

"蝉-Canon" (J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2019出展)
先述した作品”蝉-Canon”に興味をもってもらい、イノフェスで展示させていただいた。
今回は、展示スペースや会場の構想を全てやってくださった方がいて、自分は動画を作り直すくらいしかやることがなかった。
ここで、ようやく自身の作品やアーティストとしてのあり方を考える時間ができ、半年分の反省をできたと思う。
本当にNu Ink.の方々には頭が上がらない。

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学長にも来ていただき展示作品の説明も行うことができた。

小話〜電通インターン〜
ラボの先輩である大桃さんの誘いのもと、電通でインターンをさせていただいた。
自分にとって、この一年で割と大きかったことである。
デザインや広告、アートに対する姿勢などに対し様々なアドバイスをいただいた。
自分の作品がどのようにすれば他者に伝わるのか?
を真面目に考えるきっかけになった。
インターンに参加していた他のメンバーの作品やプレゼンのクオリティがすごく高く、自分の足りない部分、自分の得意な部分がはっきりとわかった出来事であった。

"ゆらぎ" part01担当
さて、ここで去年から密かに指導していたプロジェクトが学園祭で発表の機会を迎えた。
所属団体”TParty”、作曲してくださった紫苑さん、筑波大学ダンス部さん、クラファン協力者の方々、学祭実行委員の方々、協賛企業さん、撮影を行ってくださった小貫さんと新、あげればキリがないが多くの人の協力のもと作品を制作できた。
この作品では、同じTPartyのメンバーである横山と一緒にパフォーマンスのOP動画を作成した。

自分の担当した部分は学長のモデル作成、モーションの取得/修正、CG部分である。
Blenderを用いてモデリングすることは好きであるが、モーションや動画作成は初めての経験であった。
さらに、アーティストワークではなくクライアントワークを行ったのも初めての経験である。
TPartyのリーダーである奥山と学祭実行委員の溝辺が共同でステージのシナリオや世界観を考え、自分はそれになるべく即しながら自身の好きな表現を入れていった。
そして、電通インターンで学んだことを生かし、メンバーと協力しながらなんとか思い描くものを作成できた。
詳しい構想や草案、技術的な部分はクラファンのリターンで行うので、ぜひそちらを読んでいただきたい。

"COSMETIC ROACH" (CREATIVE HACK AWARD 2019 ファイナリストノミネート)
九月に提出していたコンペWiredのCREATIVE HACK AWARD2019のファイナリストにノミネートされた。

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ゴキブリを化粧品として捉える試み。
ゴキブリの手足を切り取り眉毛としてくっつける。
電気刺激を与えることで動かすこともできる。
「綺麗は汚い、汚いは綺麗」

この作品は正直今年1手がかかった。
なにせ、メイクなどやった事も興味をもった事もなかったからである。
七月のナナナナ祭で展示する為に制作していたが、完成度に納得いかず、ずっと発表していなかった作品だった。
正直、CREATIVE HACK AWARDに通った事も奇跡だと思っている。
どの様な場所に、どの様なゴキブリをつけるか?
どの様な電気刺激を与えるか?
メイクのデザイン
衣装のデザイン
やり始めるとキリがなかった。
初期に構想をきちんと練らないまま進んでしまった為、恐ろしいほど回り道をしてしまった。
コンペの結果は何も賞をいただけなかったが、それも頷ける。
作品に一貫性がないのでプレゼンができないのである。
一度距離を取る事の大切さを実感し、手を付けずに寝かしてあった。
最近、ファッションやメイクの勉強をしているので随時新作を出していきたい作品の一つである。
動く作品である為、動画も作成した。
作品のアウトプットの仕方の一端をようやく理解できたと思う。

今年やってきた成果の最後に、展示の機会はまだ無いが、新しい作品を12月に制作したので見てきただきたい。

CLOCKROACH

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頭のないゴキブリに電気刺激を与え時計にする作品。
ゴキブリを電気刺激で制御しようとすると自発的に動き制御しにくい。
しかし、頭を切り落とし脳を切除することで自発的に動かなくなりコンピュータによる制御が容易になる。
本作品では前足に電気刺激を与えている。
それにより、ゴキブリは回転し時計の針が進む。

下半期、人から作品がどう見えるか?ばかり気にしていて、世間体に合わせた文脈で作品を語ることが多かった。
しかし、この作品は世間体は全く気にせず、人からどう見えるか?も気にして制作できた。
COSMETIC ROACHで失敗した、全体像やゴールを見ないまま制作するようなこともせず、Blenderを使って完成像をシミュレーションしてから作品を制作した。
過去の作品の中ではきちんとしたものになったと思っている。
しかし、考え抜かれた思想があるかと言われると少し引っかかってしまう部分がある。
次の作品は練られた思想をもとに作りたい。
新作も二つ製作中なのでぜひ期待していただきたい。

ポートフォリオ
異能Vationの最終選考まで残ったが、落とされてしまった。
自分の作品のコンセプトは異能向きだと思うが、おそらく継続して活動しているか?と言うと部分が分岐点になったように感じる。
そこで、自分の作品をすぐに見せることができるように、継続していることを示すために、サイトとYoutubeチャンネルを開設した。
HP: https://yuga-tsukuda.amebaownd.com
Youtube: https://www.youtube.com/channel/UC4bipMqpb95-NF3SMQEgI0g?view_as=subscriber

一年を振り返って/来年の抱負
程度がどのようなものであれ、小手先の技術や作品を作る習慣はこの一年でつけることはできたと思う。
しかし、一流のアーティストと比較すると全てが劣っていることは自明である。
今年、一番言われた言葉は「もっとだ」であると断言できる。
所属ラボの先生に作品のアドバイスを聞きに行くと、必ず「全然ダメ、もっとだ!」と言われ続けてきた。
努力が足りないのか、こじらせ具合が足りなのか、作品に向き合い時間が足りないのか、、、全てが足りてないのは自明であるが、その中で自分の欠点を自覚できないと来年、飛び抜けた成長はできないような気がする。
何が足りないかは薄々勘付いてはいる。
これ以上工夫しようがない!思考しようがない!と言うレベルまで考え抜いたか?
と言われると自信を持ってうなづくことができないことが大きな理由な気がする。
目標を語ることは恥ずかしいのだが、一年後の自分がこの記事を見たときのために来年の抱負を綴っておこうと思う。
「ADAA、クマ財団、メ芸、異能Vation」
ラボの先生にも「三年でメ芸かスパクリ通った方がいいよ」と言われたので、来年は人生の分岐点となる一年になると思う。
一年後の自分が後悔しないような一年にしたい。

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