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読書|八月の御所グラウンド

冬の駅伝と来れば、対極にあるのは夏の野球。
二つのスポーツが、かつて開催場所で起きたある出来事と優しく絡み合う物語。

・十二月の都大路上下カケ
・八月の御所グラウンド

二つの物語の舞台となるのは京都。
全国高校駅伝とはなんぞや?
御所グラウンドとはどこぞに?
と思い調べてみた。


まずは全国高校駅伝
なるほど、このコースを彼女が走ったのだな。フムフム。

「とりまる」と思ったコースはここか!@第二区。

「とりまるじゃないよ、からすまる。よく見なよ」

十二月の都大路上下(カケル)/17ページ より


御所グラウンドはどこぞに?
Googleさんの力を借りるも見つからない。京都御苑のことか?
もしかすると 今出川グラウンド in 京都御苑?

おそらくコレですな


*以降ネタバレ有りマス ご注意を*
興味ある方は、このままお進みください。
立ち止まりたい方はここで一旦おやすみください😊



「十二月の都大路上下カケル」


サカトゥー(坂東の愛称)の楽観さ加減には目を見張るものがある。
まるで私だ。生きてくベクトルが同じ方向すぎる。
微笑ましすぎてシンクロしそう。コワイぜ。

応援する側、つまり補欠要員だった彼女。
ワケあって走者として任命される。
それも最終5区である。
# サカトゥー、そんなに嫌なら代わってやってもいいぞ。

無理だけどな、貴女、本の中の人だから。

出典:月のしずく つぶやき集

つぶやいていた私。
加えて言うなら私は高校生ではないのだよ。すまぬな、サカトゥー。
ちなみに私はサカトゥーのようなスーパー方向音痴ではない。
くっきりはっきりした空間認識能力、頭の中には正確な地図が存在する。
違いはそこだー!サカトゥー。
わかったなら駆け抜けろ!花の都大路を!
迷っていい、走れ!どこまでも駆け抜けるんだー!


「八月の御所グラウンド」


多聞たもんはやり手だな。

「タダより高いものはないのだよ、朽木君」

八月の御所グラウンド/72ページ より

先を見通す能力があるに違いない。
交渉能力がいたってスマート。

夏の暑さは段階があってだな…
暑い、暑すぎる、クソ暑い!なんてステップを踏んでいくのよ。
この物語は、カラっと晴れた八月のクソ暑い時期に野球やっちゃうのよ。

「なんでこんな時期に草野球なんてするの? 甲子園じゃあるまいし」

そんな疑問を抱いたアナタ。

正解

it's allright

でもねえ…
やらなきゃいけない理由ってのがこの世には存在するわけだよ。
だから彼らはやるのだ。
暑かろうが負けようが。

もしかして」を知るために。

えーちゃんのド真ん中ストレートのシーンは痺れたな。
ズドーーーンと響き渡る球の音。
スパっと空を切り裂く音。
手の出しようがなかったのだな、あの4番は。
パワー溢れる球音が聞こえてきたぜ、えーちゃん。

時代背景と背後に佇むシャオさんを護るという意味でもあのシーンは痺れる。
そしてこのシーンを起点に物語は水を得た魚のように展開していく。
そう、心、動き始めるってもんです。

物語の終盤を迎える送り火のシーンもまた良し。

「あなたには火がないから」

八月の御所グラウンド/75ページ より

物語冒頭で彼女に別れを告げられる朽木くちき
しょうがない。私もお主には火がないと感じた。すまない。
そして物語は進み、草野球をこなす日々。

京都の送り火はどんなものか調べてみた。

地図を見ると、お、これはサカトゥーも見てたんじゃないか? …なんてね。

送り火を眺めながら語らう多聞たもん朽木くちきの話が聞こえる。
真実に向かおうとする彼らが最後の試合に向けて歩み出す一歩が暗闇の中に眩しく光る。

一方で消えつつある送り火。
送り火を消したくない二人の思い、私はしかと受け止めたぞ。
これは朽木の中に小さな炎が灯る瞬間だったとも思う。

あー!なるほどー!今気づいた。
お主、朽ちた木だったか!
心配するな。火は灯るぞ。
ちゃんと天日干ししとくんだぞ!真夏のグラウンドでな。



最後のオマケ。
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