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FIGHT OR FLIGHT


中3の時。
長渕やアルフィーばかり聴いていた自分に
クラスメイトの大塚君が[そんなの聴いてちゃダメだ]と
1本のカセットテープをくれた。

大塚君はボ・ガンボスの"どんと"と
ジョン・ライドンを足して2で割ったような
少しハーフっぽい短髪天パの不良だった。

自分は真面目でも不良でもなく
RCの歌に出てくるような彼女が教室で
教科書を開いている時に屋上で
タバコを吸っているような奴だった。



ちなみに3年間。
1回もプールの授業に参加した事は無い。


ある時。
給食費か何かのお金が入った封筒を
教室で落としてしまい運悪く他の不良に拾われた。



その時[やめろよ。返してやりなよ。]
と助けてくれたのも大塚君だった。


マクセルのカセットテープに録音された
モッズのファーストは衝撃的だった。

よくストーンズのサティスファクションの
イントロにヤラれたと上の世代の人は言うが
そんなモンじゃなかった。

1曲目の[不良少年の詩]の不穏なイントロ。

そしてマイナーコードで疾走する
やたら曲間の短いロックンロール。

[TWO PUNKS]の日本ではない
ここではないどこかの異国の抒情性。

アルバムのトータルタイムは40分にも満たない。
まるで全10曲が1曲のような錯覚に陥る。

10代の苛立ちや孤独と不安。
モラトリアムの闇の真っ只中
焦燥感で溢れるこのアルバムに何度も救われた。

バイクに乗るかギターを買うか
迷ってた時期でギターを選択する事を
決定づけたアルバムだった。

14才だった僕が初めて手にした
ロックンロールだった。

あの時の大塚君。
今でもロックンロールを聴いていますか?

僕は今でも聴いているよ。







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