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憂歌団


憂歌団
[生聞59分]

もうジャケットからして素晴らしい。



ブルース・バンドを独自の解釈で和訳して
憂鬱な歌を奏でる団体だから憂歌団。

生聞というのはLIVEという意味だろう。
それが59分収録されてますよという
これ以上ない親切な説明。


飄々とした木村のマイクチェックから始まる。

"ワンツースリー…"

"ワンツースリー…"

"ワンツースリー…"

(客) ワンツースリーしか知らんのか?

"……ワンツースリー"

(客席) 爆笑

そこから一気に1曲目の
[マディ・ジャンプス・ワン]に雪崩れ込む。



原曲のマディ・ウォーターズの
バージョンより早いスピード感。

ちなみに原曲のバージョンは此方↓




マディ・ウォーターズという人は
ブルースの神様で勿論本名では無い。
訳すと"泥水"という意味。凄い芸名。

ちなみにローリング・ストーンズは
この人の[Rollin' Stone]という曲から
バンド名を付けている。


生聞59分に話を戻すと
リル・グリーンの[If I Didn't Love You]の
カバーも秀逸。



その他にも[10$の恋]や
八方塞がりの悲しい男を歌った
[シカゴ・バウンド]
(この曲は好き過ぎて友達と2人で
演ったLIVEでも歌った事がある。)



狂気の[パチンコ]



加山雄三をオチョくった
木村が歌うと更に名曲に聴こえる
[君といつまでも] (間奏の語りが最高)



放送禁止になった[おそうじオバチャン]



ネガティブをポジティブに
変換して踏ん張る[嫌んなった]




代表曲というか名曲が
ギッシリ詰まっている。

良い意味で緩くて
ユーモアが存在して少し泣ける。
そんな素敵なLIVE盤。

憂歌団には22才の頃にハマった。
ちょうどバンドブーム終了間際の頃で個人的に
少しバンドサウンドに疲れていた時期だった。

"天使のダミ声"と称される木村の歌声。
花岡の安定感の在るベース。
島田のブラシの効いたタイトなドラム。
そして何と言っても内田勘太郎の
超絶なブルース・ギター。

個人的に
国内ナンバーワンのギタリストだと思う。

ギターソロを弾く場合
エレキはアンプの力で多少誤魔化せるけど
アコギの場合は残響音も少なく
誤魔化しが効かない。だから逆に難しい。

スリリングで温かい音色で
カルピスの瓶を割ったボトルでの
スライド奏法など変幻自在に使い分ける。

この人のようには弾けないけど
この人に憧れてChakiのギターまで買った。



数年前。
錦糸町に在る錦糸公園のフェスで
木村さんのソロを見た事がある。

相変わらず酒を小脇に抱え
客からの[パチンコ歌え!]の野次に
[しぇ-ーへん!コッチにはコッチの段取りが
あるんじゃ!アホ!ボケ!カス!(*`ω´*)ノ]と
元気に応対していた。

こんな感じで↓酒のおかわりばかりして
なかなか曲に行かない。それでも木村さんと
客のやり取りは最高に面白かった。



ステージが終わって
CD購入者に向けてのサイン会が行われた。

その時の木村さんは先程と打って変わって
シャイな少年のような笑顔で応対していた。

残念ながらドラムの島田さんは
悲しい別れ方で他界してしまったけど
いつまでも歌い続けて欲しい。

そしてまだ憂歌団を聴いた事ない人は
ぜひ聴いてみて欲しい。
違う世界が広がるよ。



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