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夜明けのうた


【入院8日目(退院日)】

いよいよ退院。

頑張った。おれ。
おれ。頑張った。

退院の手続きや支払いで
カミさんがチャリで来てくれる。

まさかこの状態で
2人乗りで帰るのは無理なので
おれだけタクシー。

いや。タクシーで来て帰りは
また別のタクシー呼べば良いんじゃ?
と提案しても却下。

昔はココで言い合いになったが
最近は引き際を覚えた自分。偉い。


お世話になりました。501号室。


こんな時。誰かに
[もう戻って来るんじゃないぞ。]と
肩を叩かれたい気分だが誰も居ない。


常夜灯とウォークマン。



8日間。
24時間フル稼動してくれたエアコン。
(別名 : 生命維持装置。)

電気代の事とか恐ろしくて聞けない。
ギラギラ野郎に聞いたら請求されそうだから
聞かないで帰る。


テレビカード1枚¥1,000で買うも
結局あまり見なかったテレビ。


初日にカミさんと息子しか
座らなかったソファー。


オバチャンが毎朝
部屋の掃除してくれる間
ロビーで大人しく待つ空白時間。
パジャマ着てるの自分だけで恥ずかしかった。


青すぎる空



これだけ飲むんだから
効いてくれよな。


踊りたがっているのさ。
この可愛い靴が。


On The Road Again


保険でいくら補助できるか
まだ分かんないけど今回の出費金額。


最後ソファーに寝そべったった。
でも育ちは良いので靴は脱ぐ。


AM 8:45
退院前の最後の診察と
会計をロビーで待っていると
受付の中でギラギラ野郎が
ちゃんと朝礼をしてるのが見えて
不思議な安心感が芽生えた。

会計を済ませて
裏口に在る喫煙所へ。

1週間ぶりにシャバに出て吸ったタバコは
中2の時に初めて吸った時のようにクラクラした。
吸っていると喫煙所に入らず
こちらに背を向けて吸っている女性が1人。

いつもお世話になってた看護師さんだった。
出勤前の一服だったらしい。

色々お世話になりました。と言うと
[おめでとう御座います(*^O^*)オホホ]と
バツが悪そうに速攻で火種を揉み消して
去って行った。


これで
朝8時と昼12時と夕方17時の

"ご入院中の患者様にお知らせ致します。
 お食事の用意が出来ましたので3階
 食堂までお越し下さい"

や。夕方16時の

"ご入院中の患者様にお知らせ致します。
 これより診察を始めますので1階
 診察室前までお越し下さい"

の館内放送も聞かなくて済む。

次の術後診察は1週間後だ。

本当の夜明けが来る日の為に。
この歌を。


"時に悲しみに
 打ちひしがれて

 夜明けはやってくる
 悲しみの向こうに"

 宮本浩次
 [夜明けのうた]


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