「期待」

我々は期待している。
ありふれた毎日が続くことを。
我々は期待している。
努力せずとも全てが手に入る夢物語を。
我々は期待している。
見返りを求めない無償の愛とやらを。

人は夜な夜な泣き崩れ、
ある時は悲しんでいる人間から目を背け、
自らの正義を振りかざす。
これらは間違いと言わざるを得ない。
否、そういった感性を忘れたくないという
1つのエゴなのだろう。
間違いを続ける我々は今日ものうのうと
飯を食らい、我の為だけに奔走する。
なにか漠然としたものに後ろ髪を引かれながらも。だ。
そんな我々が磨き上げたのは人を傷つける術だ。
地獄の業火を知らぬ我々は真っ直ぐ真下へ歩を進める。
救いようのない、出口も見当たらぬ程長いトンネルの中で、我々は互いに愛を伝え合いこの暗闇に溶け込んでいる。
さながら敵から逃れる為木の葉に擬態する羽虫の様に。