少しのこと

少し深呼吸をして辺りを見渡すと
都会に溢れた雑踏はまるで悲鳴のようだった
人間の業があちこちで渦巻いていて
物思いに耽る暇さえないというところだ
目を瞑り続けた先にあるものが暗闇だと絶望する時は
きっと一人になることさえできないのだろう
日陰が陽光を遮断するような自己愛を防ぐ何かがあれば
突き刺さる視線にすら耐えられるのに
そう思うよ

小さな自尊心が感情の混沌が青い空に吸い込まれてくれれば
私の身体は少しだけ軽くなるのに
現実問題昨日の夜に暴食した私の身体はジャンクフードの匂いで充満している
まるで渋谷の雑多のよう新宿の感情の宿痾のよう
暴飲暴食と自暴自棄をセットにして売っているファストフードのよう

少しだけ本を読んでみようかな
少しだけ優しい音楽に耳を澄ませてみようかな
少しだけこのくだらない詩を書き連ねてみようかな
少しだけ汚い声で歌を歌ってみようかな
少しだけこの時期にしか溢れない緑葉を見上げてみようかな
風が吹いてせせらぎのように葉が鳴って
私はまだ歩ける気がする
立ち止まることができない二十日ネズミの私たちの鼓動は
何をしててもしてなくても
溜まり続ける苛立ちがあろうとなかろうと
どうしようもない行き場のない感情を抱えて
動き続けることだろう

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