月明かり

月明かりを頼りに大きく跳んで
昨日できた水たまりに落ちた
可笑しくて笑ってしまう
凍えた街に何もない

溶けていく春を心待ちにするのは年が明けてからなのか
冬を満喫する世相にうんざり
寒さが身に沁みて中身まで凍結しそう
心が動かなければもうそうなのかな

月明かりに照らされたバレエダンサーは
血溜まりを飛び越えようとして転げて
笑い転げて真っ赤に染まる
照らされた満月が真っ赤に染まる
私たちは血みどろの世界に立っている

純粋さを失ってそれでも恋焦がれる月への憧憬
もうこんなの病だわ気から生まれた私の病
今更どうにかできるものでもない
月に照らされて咲く花がこの世にあったら無機質ね

そんな人間になれればよかった

かもしれない

紡ぐ言葉すら失って茫然自失になって
暗がりに引きこもりそのまま闇に溶けてしまえば
月の住人になれるかな 
なりたいな

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