月の裏側

寄り添ってくれたらって思うのだけど
いつも私から近づいて遠ざけて離れてまた近づいて
無機質に笑うその表情が
何か嫌なことあったのかなって不安にさせる

世の中が1ミリでも他者を思い遣って生きられたら
平和というものはありふれて人混みに紛れてしまうと思う
だけれども利己的な生き物がまやかしのように笑うから
私たちは互いに刺しあうのだろう

見えない不安が他者多様な街に隠遁して
真夜中が暗がりから襲ってくる
求められるって嫌な気持ちにならないから
私は馬鹿みたいに嬉しいって思ってしまう
本当のことはないのかもしれない
笑顔も悲しみも全部人工
華やかさや煌びやかさやまやかしさえも人工
本当の喜怒哀楽はもう月の裏側に置いてきて
どこからももう見えない

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