お風呂めんどっち

学生の頃、とてつもなくお風呂に入るのが面倒くさかった。入ってしまえば髪を洗い、体を洗い、ムダ毛を剃り、お風呂に浸かる、というのを流れるように終わらせていくだけ。だがその工程をとても長い時間をかけなければならない。学生の頃のニキビ肌改善のため繊細に行われる洗顔も、鏡を直視してどうしても気になってしまったニキビを潰す時間も、脱毛をしていない10代女子のムダ毛処理も、まあ時間のかかること。入浴が終わってからも、YouTubeやGoogleから強いれた知識によるこだわりのスキンケアに時間をかけ、さらにはドライヤーで髪を乾かさなければならない。そんなことを想像したら「お風呂入ってー!」という母の怒鳴り声にもできる限り反抗したくなる。そして今、21歳。1時間を有に超えていた入浴は今や30分、早ければ20分で終わる。大きな成長である。食事、睡眠、運動、あらゆる事に気を使い、家族にさえ見られるのが嫌だったニキビ肌はど改善され、お金を貯めて脱毛したことでムダ毛処理をすることもほとんど無くなったし、入浴後のスキンケアは最低限のことしかしなくなった。ドライヤーの使用時間大した変化はないが、ドライヤーに対する面倒くささは前より小さい。社会に出て仕事を始め、家を出て一人で暮らす経験もして、ドライヤー以上に時間がかかり面倒くさい仕事や家事がたくさんあることを知ったからだろうと思う。もちろん今でも睡魔に襲われているときのドライヤーの時間はちょっとした戦いではあるのだけれど。それでも、10代の頃に比べたらドライヤーなんて屁の河童だ。
実家に出戻り、家には高校生の妹と弟がいる。彼らが部活で大量に汗をかき、家に帰宅する頃には汗は乾いてしまっている。汗の乾いた肌、疲れている体。もちろん私は「お風呂入りなよ」と声をかける。返事は大抵、「えー」「今無理」である。もちろん彼らの入浴時間は1時間。さっさとお風呂を終わらせてくれ、それより何よりはやく身体をきれいにしてくれ。そして私は叫ぶ、「早くお風呂入ってよー!」


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