『帆船みらいへ』体験航海と親子で海あそびin家島

 COVID-19の騒動がなかなか収束しない中、昨年までとは全く違った状況で夏休みを迎えることになりました。
 そんな中で始まったGotoトラベルに対する反応も人様々で、日常での仕事や家事のやり方や、外出、外食等に対する行動も、個々の気持ちや考えがあることと思います。
 自分としては、東日本大震災直後の自粛ムードから特に意識するようになったのですが、経済を回す(…と言えるほどのお金を動かしてるわけではありませんが)ためにも、自粛ムードのある時ほど、安全に考慮し、できる範囲で積極的に外出・外食・買い物を楽しむように心がけています。
 そんなわけで、8月の9~10日にかけて、姫路へ出かけてきました。仕事でもプライベートでも生まれてこの方全く接点のなかった姫路ですが、今回訪問することになった目的は、“『帆船みらいへ』体験航海と親子で海あそびin家島”です。
 ツアー自体は日帰りのプログラムなのですが、集合時間が朝の8時となっており、福岡在住の身としては前日からの移動が必須となります。
 9日の朝の新幹線で姫路を目指して出発。指定席での車内の乗車率は3割を超えて5割以下といったところでしょうか。ガラガラとまではないまでも、おそらくこの時期としてはそうとう低い状況が続いているのではないかと思います。いつまでこの状況が続くんでしょうね…
 博多から2時間ちょっと、お昼前に姫路駅に到着しました。
 姫路駅の周辺にはホテルももちろんですがゲストハウス的な宿泊所もあるようで、自分としてはそんな所を利用してみたい気持ちもあるのですが、今回は時期も時期だけに見知らぬ人との接触は避けた方がよいだろうと、姫路駅を出てすぐのホテルを予約しました。。
 手荷物をホテルに預け、まずは昼食を。
 姫路駅周辺をぶらついて「華膳」というお寿司屋さんに入ってみました。
 自分が注文したのは「あなご寿司」。一応、姫路名物のひとつにあなごがあるとの下調べはしていたので注文してみたのですが、江戸前でも地元の福岡でもあなご食べるもんな…いや、まあ、ふっくら大きなあなごで美味しかったです。
 さて、観光…いろいろ観光名所はあるのでしょうが、姫路初心者の自分としてはとりあえず姫路城に行ってみることにします。姫路駅から徒歩でも20分程とのことですが、当日はやたらと暑かったのと、翌日のイベントがメインなので、体力温存のためバスで移動することにしました。
 駅前からバスに乗るとふたつ目のバス停が姫路城近くのようです。
 バスを降り、姫路城への入り口の橋を渡り進んでいきます。広場を進んでいくと目の前に姫路城の全景が。個人的にはこれくらい見たらもういいんじゃないかなって気もしますが、ここからが本番。
 ここに入園チケットの売り場があり、より先へ進みたい場合はチケットを購入することになります。チケットを購入して中に入ると、この先は1時間以上歩くことになるが飲料水の販売はここにしかないことを案内するスタッフの声。確かに知らずに入ると、この暑さの中で飲み物なしでは辛いことになりそうなので、ミネラルウォーターを購入して先へ進みます。
 曲がりくねった通路や坂道、階段、門などを越える道程は暑さもあってなかなかの難所。自分は島原の出身で島原城には10回と言わず訪れたことがありますが、気軽に歩ける島原城とは全く違った雰囲気です。
 20分程歩いたでしょうか、天守閣へ入るとの表示が見えてきました。
 入り口で履物を袋に入れ城内へ入ります。城内はロープや手すりで順路が定められており、その案内に沿って進んでいくのですが、それゆえに地上6階建ての姫路城をくまなく歩くことになるため途中で引き返すことはできません。
 手すり等は付けられているものの、築城当時の勾配の急な木造の階段が続くコースは軽い登山と言えるくらいにはハードでした。こんなの、絶対当時城勤めしてた人でも足滑らせて落ちて怪我する人いただろ…
 「白鷺城」の別名があるという優雅なイメージしかありませんでしたが、まさかこんなハードな見学コースが待ち構えているとは。明日の家島ツアーを前に、軽く「姫路城くらいは見ておこうかな」くらいの心構えで訪れたのですが、いやはや大変な目にあいました。
 あ、それに加え、スカートを履かれる方はくれぐれも丈にご注意くださいませ。

 姫路城見学を終え、一旦ホテルへチェックインに戻ります。
 ホテルの部屋でひと休みした後、夕食のため、また姫路駅周辺を散策。駅前の居酒屋で姫路おでんと姫路の地酒を堪能してきました。

 翌朝、姫路駅前を7時過ぎに出るバスに乗り姫路港へ。
 6時半からのホテルの朝食を食べる余裕はないので、コンビニで購入したサンドイッチやカップ麺での朝食となりました。自分が食べたのはコンビニで売っていたカップ麺「まねきのえきそば 天ぷら」。これも(カップ麺ではない本物が)姫路名物のひとつのようで、この辺りでしか売られていない品のようです。和風だしに中華麺というのが特徴のようで、カップ麺もなかなか美味しくいただけました。
 姫路港へ着き、しばらくすると添乗員の方と合流。体温の測定や同意書へのサインなど手続きを済ませていきます。
 今回のツアーにはA・Bふたつのプランがあり、自分が申し込んだのはBプラン。午前中に家島へ高速船で移動し海あそび。お昼のバーベキューを楽しんだ後、午後に「みらいへ」での体験航海となります。(Aプランは午前中に体験航海、午後に海あそび)
 ツアーの予定では定期便の高速船での移動となっていましたが、当日は人数の都合かチャーター船での移動に変更。本州側からすると家島の裏手にある港へ行き、そこから車で海あそびの会場へ移動することになるとのことでした。
 前にも書いたように自分は島原の出身で船にもよく乗っていたつもりですがその海は有明海。瀬戸内海もそれがちょっと広がったくらいだろうと思っていたのですが、船が動き出したら波の大きさが桁違いです。
 突き上げ、横揺れ、船が一瞬浮いて船底が海面に打ち付けられて…当日は天候もよく、風もそれほどなかったのにこれほどとは。同行した周囲の人は特に気にする風でもない様子だったので、この辺りで船に乗るとこれくらいの揺れは当たり前なのでしょうね。

 30分弱で家島の港へ到着。車で移動して家島B&G海洋センターで海あそび開始です!
 カヌー、SUP、ウィンドサーフィン、シュノーケリング、魚釣り…思い思いの遊びを楽しみます。が、海辺は砂浜ではなく、滑らかな石が集まった岩場なので裸足やビーチサンダルでは危険です。しっかり足を保護できるマリンシューズの着用をお勧めします。(自分はCrocs状のゴムサンダルでしたが、海あそび後は足の裏に痛みを感じ、数日は歩くのに違和感が続く状態でした)
 お昼は、「アイランドハウスいえしま荘」へ移動し、家族ごとの席でのバーベキュー。肉・野菜・魚介満載のネタが用意されており、(年代・個人差あるとは思いますが)個人的には食べきれず申し訳なく思うほど盛りだくさんの内容でした。
 さて、そんな海あそび&バーベキューですが、海あそび終盤の辺りから徐々に風が強くなってきています。
 添乗員さんや現地スタッフとのやり取りを聞いていると、午前中の海あそびで楽しめたカヌー等も午後からは風と波が強いため利用できなくなるようです。(代わりに何か他のアトラクションを用意するようでした)
 体験航海の方はどうかと心配していましたが、そちらは特に問題なく予定通り実施できるとのことで、乗船のために港へ移動します。
 ところが、港へ着いても「みらいへ」の姿は無し。波が高くなってきて港への接岸ができないため、別の船で島を離れ、会場で「みらいへ」へ乗船するとの説明がありました。
 船から船への乗船!
 ちょっとワクワクしますよね。
 …というわけで、行きの船とは違うチャーター船に乗り込み港を出たのですが、そこからの揺れがもう遊園地のアトラクションを越えるレベル。家島行きの船でも未体験の揺れでしたが、それを遥かに超える揺れが続き、内心ドキドキするほど。
 まぁ、それでも大手旅行会社の主催するツアーで転覆の危険があるような行程はないだろうと自分を落ち着かせ揺れの大きさを楽しむ気分で過ごしていると、ふと揺れが小さくなってきていることに気づきました。
 おそらく瀬戸内海の内でも風向き等により波が穏やかになる海域があり、その辺りへたどり着いたのでしょう。周囲を見回すと「みらいへ」の船体も見つけることができました。
 それからしばらくし、船は徐々に「みらいへ」へ接近。舳先を「みらいへ」の船側につけた状態で、無事に「みらいへ」に乗船することができました。

 乗船後、案内役の「なみ」さんから船上でのルールや体験航海での予定の説明を受け、いよいよ体験航海開始。
 手荷物を船室に置いたら甲板に全員集まり、まずはメインマストの帆を開きます。「ツー・シックス・ヒープ!」の掛け声に合わせてのエアロープ繰りで練習の後、実際にロープを引くのですが、まぁ、素人の集団なのでロープ繰りも一定ではなくフラフラ…最中は帆の開き具合を確認する余裕もありませんでしたが、そこは慣れた船員さんたちがうまく補助してくれたのでしょう、「ホールド!」の声で手を止めた後、横後方を振り向くと白い帆が大きく風を受けている様子が見えました。
 続いて前方の帆を開くことに。
 こちらは甲板がやや狭くメインマストほど大勢で引くことができません。最初はなるべく参加している子どもたちに場所を譲ろうとしていましたが、風もだんだん強くなってきておりかなり力がいるだろうとの案内があり、自分もロープを手にしました。いざ始まってみると引くのにもその状態で維持するのにも渾身の力を籠めないとなりません。
 ようやくロープの固定が完了し手を離した時には掌がこわばっているほど。その様子に気づいたらしい船員さんが「大変だったでしょ?」と笑いかけてくれました。
 その後のロープワークを応用した、紐を使った飾り作りでは、船乗り研修真っ最中の日焼けしたごつい兄ちゃんたちが太い指で器用に紐を操りながら子どもたちに飾りの作り方を教えてくれます。
 その体験が行われている船室は風下側に位置しており、風と揺れが少しずつ大きくなる中、船窓の外は海面が触れんばかりの近くに見えます。船内を見回っていた案内役の「なみさん」がちょうど船室を通りがかり、「今日は窓の外が水族館みたいになるかもしれませんね」と言いながら通り過ぎていきました。
 教えてくれていた研修生に、「窓が海面に届くほど傾くことはたまにあるんですか?」と尋ねてみると、「自分が乗船してからはまだ一度もないですね…」との返事が。いつから乗っているのかまでは聞いていませんが、研修生でも初体験になるくらいの経験ができるかもしれないと思うと、ちょっとワクワクしてきます。
 その後も体験プログラムは、ブリッジでの操舵体験、甲板でのココナッツカーリングと続いていくのですが、風と揺れはさらに強くなってきており、何かにつかまっていないと足元がふらつくほどですし、参加者の中には船酔いで動けなくなる人もちらほら出てきているようです。さらに風上側の船側に波が打ち付け、時おり甲板まで波しぶきが飛んできて、波しぶきの洗礼を受けている人も。
 体験プログラムも終盤。舳先へ向けて張ってあるネットの上(下は海面)に乗ってみるというものです。上記の通り風が強い状態でもあり危険もあるのでどうしましょうかとの確認もありましたが、現場だけでも見てみたいので、ひとまず見に行って説明を聞くことになりました。
 説明を聞いていると、これまでになかった大きさの波が船側にぶつかる音が。
 はっと見上げると、頭上数メートルに渡って立ち上る水しぶき…ではなく水の壁。
 あ、これ、ダメなヤツだ…
 直後、感覚的にはもっと長く感じましたが実際には1秒くらいでしょうか、風上側の右舷から巻き上がった海水が頭上から降り注いできました。
 もう頭から右半身側ずぶ濡れです。
 思わず大笑いしましたよね。
 いや、まあ、船に乗るんだし海の様子によっては濡れることもあるだろうとは思ってましたが、まさかこれほどの大波を被ることになるとは。
 当然のことながらネット上に乗る体験はお流れに。
 個人的にはそれ以上の体験(?)ができたので不満どころか大満足です。
 その出来事の後、「こんな中で案内するのも…」と前置きしつつも、帆船みらいへTシャツを販売していることをアナウンスする「なみさん」、いいキャラクターだと思います。
(今回は新幹線移動で荷物を増やしたくないので購入しませんでしたが個人的には欲しいので通販で買おうかな)

 目的地の姫路港へ近づき、今度は張っていた帆をたたみます。
 帆をたたむと揺れも落ち着き、後は穏やかな航海で姫路港へ着岸。体験航海も終了です。
 同行者の中には船酔いで辛そうな人もいたのでどちらがいいのかは人それぞれでしょうが、個人的には午前中に海あそびをめいっぱい楽しめて、午後からは荒れ気味の海での乗船体験ができ、Bプラン選んで正解だったな♪…の気分です。
 まぁ、天候はその時次第なので、当たりも外れもコントロールしようもないですけどね。

 姫路港からバスで姫路駅へ。
 姫路駅から博多駅へ新幹線で移動。
 途中、福間駅で人身事故があり博多~小倉間の電車が動いていないので、自宅の香椎までどうやって帰ろう…なんてこともありましたが、それはツアーとは別の話になるので、ここに書くのは止めておきましょうか。
 COVID-19はまだ落ち着かない状況ですし、例年の夏休みや里帰りはできませんでしたが、アウトドアだし思い切って申し込んでみた今回のツアー、めいっぱい楽しめました。
 姫路と帆船みらいへへの新しい縁もできましたし、また機会があれば縁を深めるような旅程を組んでみたいですね。


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