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君たちはどう生きるか

実家の父が差し出した本
「君たちはどう生きるか」の漫画版

ジブリで取り上げるとか取り上げたとか、以前ニュースで見てから気になっていたものの、まだ読んでいなかったので、実家から借りてきた。

私の父としては、今年中学に上がる孫に向けて渡したつもりだと思うが、息子は絵だけパラパラめくって読んだ気になっている。そして、私はといえば、まさに今自分が感じていること、40を超えて気づいたことをこの本では書かれていて、しっかり息子に読んでほしいと思いながらも、私自身もとても気付かされることが多いなと感じた。今、この文章を書いている時点では半分までしか読んでいないが、とても思うところがあったので書き記しておこうと思った。

この本は漫画で構成されているものの、少年とおじさんの手紙のやりとりがあり、その手紙を読まされる形になるため、漫画ほどさくさく読めるわけではない。その手紙のやりとりの中にあった文章から、一つ引用したい。

この物語の主人公、コペル君が見つけた法則として、「人間分子の関係、網目の法則」というものが登場する。これは、自分が何気なく使っている身の回りのあらゆるものが、自分の手に届くまでに、たくさんの目に見えない人たちが関わっていて、網目のようにつながって世界を覆っているという世界の構図を発見したコペル君が、その法則に名前をつけたもの。おじさんとの手紙のやり取りでも、「その関わる人たちがどんな人か分からないし、関わっている人もどんな人に使われるか分からない」旨の話があった。それは今も変わらないし、昨今では、搾取の問題もあり、生産関係のサプライチェーンにおける透明性を問われるようになってきている状況がある。

この話の中で、私は思った。

ここにポッドキャストの可能性がある。

私が2021年からポッドキャストの可能性を感じはじめて、今もなお、ポッドキャストの可能性を底上げしていきたいと思っている中で、音声コンテンツを使ったマネタイズという文脈での活用を考えるよりも、マネタイズではなく、ただただ声を発信し続けることに意味があると強く感じている。ただ、どのような形でその思想をインストールしていくのが良いのかを模索していることが多かった中で、このサプライチェーンの中、つまり、「人間分子の関係、網目の法則」において、目に見えなくなって感じることができなくなっている「人間の存在感」を付与していくことにポッドキャストの潜在的価値があると思った。

もちろん、サプライチェーンの中の人たちがポッドキャストで配信をしているからといって、その全ての声どころか、一人の声すら聞くことはないかもしれない。

ただ、「みんな自分達の声を発信している」という事実を感じれているだけで、全く違う世界に変わるのではないかと思った。自分も自分の生産活動において感じていることや届けたい思いを発信しているし、いつもお世話になっている取引先も自分達の考えを発信している。それが当たり前になっていけば、その先の見えない人たちも、聞こうと思えば聞ける声を発信している安心感が生まれたり、普段、お世話になっている取引先も、より信頼感のある取引ができるようになるのではないかと思う。自分達が勝つための駆け引きをするには、なるべく秘密にした方が良いこともあるだろうが、世界全体の最適解を模索するためには、お互いの本音に近い声を聞ける世界の方が良いに決まっている。

ここまで書いていて理想論だったり、多くの人がそのような世界を望まないのではないかという考えももちろん思うけれど、方向性としては間違っていないと思えるので、その方向での現実的な落とし所を考えていきたいと思った。

というわけで、「君たちはどう生きるか」から始まった今日の話は、「音声配信の可能性を底上げすることに力を注ぎたい」と思っている自分の生き方の一つのヒントになったという話に帰着し、今年の思考のスタート地点と言ってもいいものとなった。

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