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【SD】パドレス新監督にボブ・メルビン就任

しまった。2021年の総括が終わる前に新監督が決まってしまった。

サンディエゴ・パドレスは今月初旬に解任したジェイス・ティングラー監督の後任として、今季まで11シーズンもの間オークランド・アスレチックスの監督を務めていたボブ・メルビンと3年契約を結んだと報じられた。公式発表はまだなされていないが決定とみてよいだろう。日刊スポーツでも報じられている。松井秀喜とNYで食事したことがあるとか紳士だとか。

ちなみにパドレスにとって過去監督経験のある指導者の監督就任は1988年のジャック・マッキオン以来33年ぶりである。

メルビンの経歴は素晴らしく、シアトル・マリナーズから始まった18年の監督キャリアのうち地区優勝4回(アリゾナ・ダイヤモンドバックス1回アスレチックス3回)、ワイルドカード3回。直近のアスレチックスを指揮した11年間で三度のアメリカンリーグ最優秀監督賞を受賞。

落ちついた物言いながら実直なコミュニケーションと思いやりに満ちた心遣いが持ち味で、選手やコーチからも慕われている。前回パドレス監督候補のひとりで、今回の監督探しにも噂が上がったロン・ワシントン(ブレーブス三塁コーチ)も、今までコーチとして仕えた中でメルビンは最高の監督と絶賛している。メジャーとマイナーを往復したり、出場機会が減少する選手にもオブラートに包まず予めきっちりと役割の意味を伝えるため、不満がこぼれる事もないという。

感想

メルビンという選択は全くの予想外だった。近頃今季後半の低迷で叩かれがちだった隠密行動GMのA.J.プレラー面目躍如というところか。

マイク・シルト(前カーディナルス監督)、ルイス・ロハス(前カーディナルス監督)、マイク・ソーシア(前エンジェルス監督)、オジー・ギーエン(元ホワイトソックス&よりによってキューバ移民の多いマイアミでフィデル・カストロを称賛してえらいことになった元マーリンズ監督)ら一長一短な候補とのインタビューは報じられていたが、そもそもメルビンについてはインタビュー許可が出ていた事を知った時点でまず驚いた。アスレチックスは今年6月に2022年の球団オプションを行使したばかりで、来年もオークランドで采配を振るうと疑っていなかった。

しかしとあるブックメイカーでは10月8日時点でバック・ショウォルターブルース・ボウチーに次ぐ三番手のオッズが付けられていたので、見る人は見ていたということか。

アスレチックスが貢献者メルビンの移籍を許した理由としては、$3.5MM-4MMと噂される監督としてはリーグトップクラスの年俸が挙げられている。またメルビンの立場からすると、今後年俸削減を伴う再建期に入ると見込まれているため、3度目のチーム立て直しに嫌気がさした可能性があるという指摘がされている。

メルビンの戦術傾向はどちらかというと動きが少ない。リーグ平均を超えるのは三盗くらいで敬遠は少ない。ティングラー前監督と比べると大きな違いは二盗と犠牲バントの少なさか。アスレチックスフロントからの方針も影響してそうだが、アリゾナでも似た様な傾向だった。

なおコーチ陣だが、先に投手コーチとして前インディアンスアシスタント投手コーチのルーベン・ニエブラを招聘。またベン・フリッツ(今年ブルペンコーチと投手コーチ代行)とライアン・フラハーティ(QCコーチ)らは来季も何らかの役割でパドレスに残留する。残りはメルビン中心で組閣を行うだろう。

いずれにしても勝利の経験とデータ分析への理解に長けた人材を探していたパドレスにとっては、アナリティクスの本家であるアスレチックスを最初の10年で6回もプレーオフに導いたメルビンは最高の人選だろう。2020年の球団史上6回目のプレーオフ進出まで球団創設から52年もかかっているパドレスは、リーグ屈指の名将と共に来季7度目のプレーオフを目指す。

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