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博物館学

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博物館学に関する記事を纏めています。
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#民俗学

「男山」「木綿屋」「哥麿之名取酒」: 男山株式会社 男山酒造り資料舘

館の所在地域 男山酒造り資料舘は、北海道上川総合振興局管内の旭川市に位置します。  旭川市は、大雪山地麓の扇状地末端に位置し、冬季寒冷な気候の為、大雪山地からの雪解け水が豊富である事に加え、主要河川沿岸の砂礫が堆積する地域は地下水に鉄分がほぼ含まれていないことから、上質な醸造水を確保するのに適した条件を有します。一般的に、明治期の北海道産米は品質が極めて粗悪で評判が悪かったものの、旭川では、稲作技術の改良や新品種の育成が積極的に行われた他、石狩川・忠別川等大小の河川を活用した

時を超えて語り掛ける伝統工芸作品: 平取町立二風谷アイヌ文化博物館

館の所在地域 平取町立二風谷アイヌ文化博物館は、北海道日高振興局管内の沙流郡平取町に位置します。  二風谷は、自然豊かな沙流川流域に位置し、冬季も積雪が少なく過ごしや易い環境です。旧石器時代には既に人類が生活しており、「カンカン2遺跡」「二風谷遺跡」等、先史時代から中近世に至る迄の文化遺産も多く所在します。また、奥州から逃れた源義経が居館を構え、アイヌの人々から神として慕われたという伝説も残されています。  現在、平取町では農業が盛んで、びらとり和牛、ニシパの恋人(トマト)等

人類と自然 一万年の営み: 標津町ポー川自然史跡公園

館の所在地域 標津町ポー川自然史跡公園は、北海道根室振興局管内の標津郡標津町に位置します。  標津町は、西部は知床連山から続く根釧台地が、東部は標津川・忠類川等の河川沿いに低湿地が、それぞれ広がっており、豊かな自然環境に恵まれています。約1万年前には既に人類が生活しており、標津遺跡群からは、縄文・続縄文・擦文・アイヌ各文化期の遺物が多数出土しています。  現在、標津町は農業や漁業が盛んであり、サケ・マス・テンサイ・畜産品等が名産品として知られています。 館の沿革 同館は、

アイヌ文化と植生: 旭川市博物館分館 アイヌ文化の森伝承のコタン

館の所在地域 アイヌ文化の森伝承のコタンは、北海道上川総合振興局管内の旭川市に位置します。  旭川市は、石狩川・牛朱別川・忠別川・美瑛川等の合流地である上川盆地に位置しており、気温の年較差が大きい内陸性気候となっています。縄文時代には既に人類が生活しており、中近世以降には、石狩川と忠別川の氾濫原付近を中心に、主に漁業を生業とする上川アイヌの集落が発展しました。神居古潭等、アイヌ関係の文化遺産や信仰の場が多く遺されているのも特徴です。  現在、旭川市は、道庁所在地の札幌市に次ぐ