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博物館学

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博物館学に関する記事を纏めています。
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2023年4月の記事一覧

「國稀」「北海鬼ころし」「初代泰蔵」: 國稀酒造株式会社 國稀酒造資料室

館の所在地域 國稀酒造資料室は、北海道留萌振興局管内の増毛郡増毛町に位置します。  増毛町は、ほぼ一年中積雪のある暑寒別山系に三方を囲まれており、良質な醸造水を得るのに適した地理的環境を有しています。また、江戸時代より海運の要衝として発展した増毛港からは、「北のウォール街」とも呼ばれた小樽市への日帰りが可能である他、鉄道網の発展により、札幌圏・旭川圏という北海道二大都市圏へのアクセスが容易であるという交通条件により、開拓期を通じて國稀酒造を始めとする諸産業が発展しました。  

「男山」「木綿屋」「哥麿之名取酒」: 男山株式会社 男山酒造り資料舘

館の所在地域 男山酒造り資料舘は、北海道上川総合振興局管内の旭川市に位置します。  旭川市は、大雪山地麓の扇状地末端に位置し、冬季寒冷な気候の為、大雪山地からの雪解け水が豊富である事に加え、主要河川沿岸の砂礫が堆積する地域は地下水に鉄分がほぼ含まれていないことから、上質な醸造水を確保するのに適した条件を有します。一般的に、明治期の北海道産米は品質が極めて粗悪で評判が悪かったものの、旭川では、稲作技術の改良や新品種の育成が積極的に行われた他、石狩川・忠別川等大小の河川を活用した

古代オホーツク文化の集落: 網走市郷土博物館分館 モヨロ貝塚館

館の所在地域 モヨロ貝塚館は、北海道オホーツク総合振興局管内の網走市に位置します。  網走市は、能取岬南東の内湾した場所に位置し、冬季の激しい北西風を避けるのに適した地形を有します。内陸部は森林や農村地帯が広がり、市域は「網走国定公園」の一部に指定されています。オホーツク文化期を中心に、縄文・続縄文・擦文・アイヌ各文化期に渡り、人類が生活した集落の痕跡が市内各地に残されているのも特徴です。  現在、網走市は水産業が盛んで、すり身発祥の地としても知られています。また、故高倉健さ

時を超えて語り掛ける伝統工芸作品: 平取町立二風谷アイヌ文化博物館

館の所在地域 平取町立二風谷アイヌ文化博物館は、北海道日高振興局管内の沙流郡平取町に位置します。  二風谷は、自然豊かな沙流川流域に位置し、冬季も積雪が少なく過ごしや易い環境です。旧石器時代には既に人類が生活しており、「カンカン2遺跡」「二風谷遺跡」等、先史時代から中近世に至る迄の文化遺産も多く所在します。また、奥州から逃れた源義経が居館を構え、アイヌの人々から神として慕われたという伝説も残されています。  現在、平取町では農業が盛んで、びらとり和牛、ニシパの恋人(トマト)等

日本最大の湿原: 環境省 釧路湿原野生生物保護センター

館の所在地域 釧路湿原野生生物保護センターは、北海道釧路総合振興局管内の釧路市に位置します。  釧路市は、年間を通じて冷涼な気候ですが、春夏期は漁業に、秋冬期は山猟に、それぞれ適した風土となっており、先史時代より人類の生活地として発展しました。  現在、釧路市は、釧路空港・釧路港を有する交通の要衝であり、諸外国の領事館や国際機関も置かれる同東地方最大の都市となっています。 館の沿革 同館は、湿原及び野生生物の保護・管理に関する取り組みについてのモデル施設として、平成5年に開

人類と自然 一万年の営み: 標津町ポー川自然史跡公園

館の所在地域 標津町ポー川自然史跡公園は、北海道根室振興局管内の標津郡標津町に位置します。  標津町は、西部は知床連山から続く根釧台地が、東部は標津川・忠類川等の河川沿いに低湿地が、それぞれ広がっており、豊かな自然環境に恵まれています。約1万年前には既に人類が生活しており、標津遺跡群からは、縄文・続縄文・擦文・アイヌ各文化期の遺物が多数出土しています。  現在、標津町は農業や漁業が盛んであり、サケ・マス・テンサイ・畜産品等が名産品として知られています。 館の沿革 同館は、

アイヌ文化と植生: 旭川市博物館分館 アイヌ文化の森伝承のコタン

館の所在地域 アイヌ文化の森伝承のコタンは、北海道上川総合振興局管内の旭川市に位置します。  旭川市は、石狩川・牛朱別川・忠別川・美瑛川等の合流地である上川盆地に位置しており、気温の年較差が大きい内陸性気候となっています。縄文時代には既に人類が生活しており、中近世以降には、石狩川と忠別川の氾濫原付近を中心に、主に漁業を生業とする上川アイヌの集落が発展しました。神居古潭等、アイヌ関係の文化遺産や信仰の場が多く遺されているのも特徴です。  現在、旭川市は、道庁所在地の札幌市に次ぐ

擦文・オホーツク文化の交響曲: ところ遺跡の館

館の所在地域 ところ遺跡の館は、北海道オホーツク総合振興局管内の北見市に位置します。  北見市は、東西が約110kmに及び、北海道最大の市域(全国4番目)を有します。市内各地には、縄文時代からアイヌ文化期に至る迄の遺跡が数多く残されており、先史時代より狩猟採集社会が発展していたことが知られています。  現在、北見市は農業や漁業が盛んであり、タマネギや白花豆は日本一の生産量を誇り、ホタテも名産品として知られています。また、同館の所在する旧常呂町はカーリングのアスリートを多数輩出