あいつは大輔だアピール

大輔という名前の人には共通点がある。

大輔さんを第三者とした場合、

周りがやたらとその人が大輔だという「あいつは大輔だアピール」をしてくることだ。

もちろん大輔さん本人が悪い訳では無い。

むしろ周りの「あいつは大輔だアピール」をしてくる人達が悪い訳でもない。

ただ「あいつは大輔だアピール」という物がこの世に存在するということを、

頭の片隅に留めておいていただきたい。

「榎木原（えのきばら）大輔」

という人物がいたとする。

その榎木原を第三者とする場合、

かなりの確率で

「榎木原大輔」とフルネームで呼ばれる。

その確率というのは、

「榎木原雄輔（ゆうすけ）」が「榎木原雄輔」と呼ばれるそれより圧倒的に高い。

ただ、

「中村大輔」という人物が、

「中村大輔」

と呼ばれる理由はまた別にある。

というのも、「中村」という名字の者は多く存在し、

複数の人物が該当する可能性の高い名字の人を呼称する際は、

話を円滑に進める為に姓名で、フルネームで

という暗黙の了解があるからであろう。

韓国人の方がフルネームで呼ばれる理由と同じだと思っていただいて良いかと思う。

この法則に則ると、

「中村大輔」と「中村雄輔」の

フルネームで呼ばれる確率は同じである。

フルネームな理由が、

名字の「中村」の方にあるからだ。

ただ念の為に此処に記しておきたいのは、

「中村大輔」と

「中村惨殺丸（ざんさつまる）」

の、

フルネームで呼ばれる可能性は同じではないという事だ。

ただこの理由についてはまたの機会に触れることとする。

今回は、そういう例外もあるということを頭の片隅に留めておいていただきたい。

さて、

話を榎木原（えのきばら）に戻そう。

もうお解りだと思うが、

　　

「榎木原大輔」が

「榎木原大輔」

と呼ばれることが「あいつは大輔だアピール」たる最大の理由は、

名字が「榎木原」だと言うことだ。

榎木原は榎木原しかいないのである。

クラスに1人、

アルバイト先に1人、

区役所に1人、

榎木原はあらゆる空間に0〜1人の可能性が圧倒的に高い。

榎木原大輔は本来「榎木原」で十分なのだ。

もし榎木原がある空間に2人以上現れたとすると、

その榎木原2人はかなりの可能性で血縁関係があると思っていただいて良いだろう。（もし血縁関係が無いとするならば、RPGのモンスターである可能性も示唆される。）

そしてその血縁関係がある場合は、

「榎木原」と「榎木原の弟」

という風に呼ばれるのが普通だ。

ただその榎木原が「榎木原大輔」であった場合、そこには「あいつは大輔だアピール」が発動してしまい、

「榎木原大輔」

と

「榎木原大輔の弟」

と呼ばれるという悲劇が起こる可能性が低くない。

ここで、

私には「大介」についても述べる義務が生じたことと思う。

「大輔」と「大介」は似て非なるものであり、

「榎木原大介」であった場合は「榎木原大介」とは呼ばれることはない。

「榎木原」と呼ばれることだろう。

「大輔」とはうって変わり、

この「大介」がフルネームで呼ばれる確率は通常の名前と同じだと思っていただいて良いだろう。

これにより「あいつは大輔だアピール」の起源には、

「大輔」という音の響きでは無く、「大輔」という字面が影響を及ぼしていることが推測できる。

もうお解りかと思うが、

これまでの話から私が「大輔」という名前に強い憧れを抱いているということが安易に推測されることが容易であり念入りに繊維を分離することが原理である。

従って、

肉うどんの肉汁が出汁と混ざる味はあまり好みではないので、

なんとか別皿でいただきたい。

そんな夜を探している。