ふるさと納税の「ポイント付与」なぜ禁止?総務省に聞きました
ふるさと納税の「ポイント禁止」を受け、楽天グループが撤回を求めるべく、オンラインで署名活動を開始するなど波紋が広がっています。「ポータルサイトの販促」は寄付額の増加に大きく寄与してきたとみられますが、なぜ禁止するのか。総務省自治税務局市町村税課の長谷川雄也課長補佐に真意を聞きました。
――松本剛明総務相が、6月25日の記者会見で「自治体の払う手数料からポイントを付与するのはおかしい」という趣旨のコメントをしたのに対し、楽天の三木谷浩史社長はXにおいて「ポイントは『弊社負担』だ」と反発しています。なぜこういった食い違いが出たのでしょうか。
「われわれもポータルサイト運営者が出しているポイントを、直接地方自治体が負担しているとは思っていません。ただ、ここは水掛け論になるかと思いますが、一方で自治体は少なからぬ手数料を支払っているわけで、例えば楽天の売り上げの中にはその手数料が含まれており、そこを前提として営利活動を行っていることは事実でしょう。大臣のコメントは、そこから踏み込んで自身の認識として発言したと捉えてください」
――楽天側は「ポイント付与はふるさと納税プロモーションのための企業努力だ」と言いたいのでは。
「楽天がそう主張することについてわれわれは否定しないですよ」
――しかし、ポイント付与を禁止するということは主張を否定しているのと同じでは。
「いや、われわれはポイント原資がどうこうと言いたいわけではありません」
――つまり、ポイントを与えること自体が問題だと?
「そうです。そもそも、ふるさと納税の趣旨は『ふるさとやお世話になった地方団体に感謝し、もしくは応援する気持ちを伝える』ために行うもの。通販とは全く違うもので、返礼品やポイントを目的に『節税』する制度ではありません」
――三木谷さんは「コンセンサスも取らず」と激怒しています。なぜこのタイミングでの改正なのでしょうか?
「ポイント競争が加熱しているからです。もちろん急に思いついて急に改正したわけではなく、これまでも楽天含めて運営事業者に投げかけをし、議論をしてきました」
――ポータルサイトが寄付者にたくさんポイントを付与するのは今にはじまった話ではないのでは?
「付与率がどんどん上がって、制度の趣旨にそぐわない状態が増してきたとは言えるのではないでしょうか。(ポイントを与えることで)寄付者の自主的な寄付の選択を阻害してはいけない」
――ただ、現実問題として「2000円払うだけで返礼品がもらえてたくさんポイントも付く」という理由で寄付をしている人が多いですよね。
「もちろんそれは承知しています。やはりそこは『制度の趣旨を尊重する』ために、適宜運用を変えていかなければいけない。譲れないのは、通販とふるさと納税は全く違う趣旨のもとで運営されるべきもの、ということ。恐らくそこで(楽天などのEC事業者とは)相容れない部分があるんでしょう」
――「楽天で寄付と同時に買い物をするとお得だから」という理由で納税するのはおかしい、と。
「『ポイント付くからここで寄付しよう』というのは、制度の趣旨には沿っていないということです。特殊な税制なので、全体の相互理解があってこそ制度が成り立つことをご理解ください」
――いっそ制度をやめればいいのでは?
「それを言ったら元も子もない。税の使い道を自らの意思で決められるようにする、というのも制度の趣旨ですから」(インタビューの続きは7月18日発行以降の通販新聞本紙に掲載)