とくべつな日のケーキ
我が家では誕生日やお正月などのとくべつな日には、決まってケーキを食べる。
違う味のピースを四つ買ってきて、
みんなで箱の中をぐーっと覗き込む。
「わぁ〜美味しそう!」
母と姉と私は反射神経で顔をほころばせる。
父は家族の中で男性として三対一で圧倒的マイノリティなので、
「ほんとだぁ〜」
と言いながらする小さな拍手が否応なしに身体に染み付いている。
みんなの待ち遠しさを一心に抱えて迎えられた
赤ちゃんみたいなケーキたちは
誇らしげにそれぞれのチャームポイントを光らせている。
選抜メンバーに選ばれる、こいつは確定だろうと言う人は必ず1人はいる。
AKBの選抜選挙や韓国アイドルのオーディション番組のようなかんじで。
うちのケーキ総選挙で必ずランクインするのは
モンブランだ。
いくつキューブをもらったか数え切れないほどだ。
パパはモンブランが大好きだ。
(パパはジェーワイパークなのかもしれない、、)
もしかしたら、パパはモンブランが好きという
家庭内でのパブリックイメージを背負っているのかもしれない、、、と不安に思ってしまうこともあるが、もう大人だしあまり好きじゃなくなったら言ってもらおう。
でも、その心配も束の間、自分で選んだケーキを食べるのは全体の三分の一、というところだろうか。
うちの赤ちゃんケーキたちは、団塊世代の地域で育てられる子どもたちのように、みんなで食べられる。
基本的に容赦なく自分の思うがままにケーキを食べるのだが、ショートケーキのイチゴや、
モンブランの栗など、そのケーキの核となる部分は持ち主が食べる。
最期まで責任を持ってるのはその子の親って感じで。
ケーキが食べおわってしまったら
とってもかなしい。
もう宴は終わりであるも同然、、
衰退しかない、、
きっとローマ帝国も滅亡前はこんな感じだったのだろう、、
だが心配は無用だ。
もちろんケーキ総選挙はとくべつだから
終わってしまうのはかなしい。
でも、ケーキは毎日のあたたかさの
形にすぎない。
いつもみんなの中にある
ほわほわしたぬくもりが、時々形になって
現れてくれるだけで
ケーキはその確認にすぎない。
ケーキはみんなのお腹にはいって
またもくもくとしあわせを膨らませる
素敵な23才をありがとう!
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