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幻想的、哲学的、それでいて愉快@牛腸茂雄の写真展

写真展「はじめての、牛腸茂雄。 」(2022.10.7. - 11.13. ほぼ日曜日 渋谷PARCO8階)

この展示に行きたい!と思ったきっかけになった写真(下)です。

霧の中に消えていく子どもたち。
とても幻想的で、少し怖い印象を持ちましたが、
実はこれは花火大会で、花火の煙が立ち込めるグラウンドなのだそう。
そうは見えない…!
写真集 <SELF AND OTHERS> の一番最後の写真。

そして、ほぼ日刊イトイ新聞に掲載された 「牛腸茂雄を見つめる目。」(2016)という記事を読んで、より一層この展覧会に行きたいと思いました。

写真家・三浦和人さんは、36歳でお亡くなりになった牛腸さんのネガフィルムを保管し、今も現像をされています。その関係は、牛腸さんと同じく若くして亡くなった青木繁の作品を世に出そうと動いた坂本繁二郎、その2人の関係に似ていると感じました。

ところで、今回の写真はアクリル版で保護されておらず、三浦さんが一枚一枚現像されたプリントを間近に見ることができます。現像されたてのような瑞々しい質感に感激しました。

今まで写真作品をみても被写体にばかり注目してしまい、「どうしてカメラマンの方はこの写真を撮ったのだろう」という風に、撮影者について考えることがありませんでした。

ところが牛腸さんの写真は見ていると、ふふふっと心がほぐれていき、なんとなくその写真を撮りたくなってしまった気持ちが伝わってくるのです。

たとえば…

ちょっと楽しい形の飛行機雲
男の子が愉快
この子たちも愉快
ヘリコプターの写真かと思いきや(左)
よくみると子どもふたり(右)
写っている人の表情もだけれど、
窓越しに撮っている関係性も楽しい
こんな看板のひとつみたいなストレッチがあるのか
壁に向かっているだけなのになぜか面白い

動物の写真も可愛らしくて、こういう写真を撮る牛腸さんはきっとやさしい人なのだろうと思いました。

こっち向いてる
愉快

展示の中には、牛腸さんが読まれていた本や、新聞の切り抜き、ノートなどもありました。気がつくと写真よりも見入ってしまい、わたしはこういった資料を見るのが好きなのだ、という発見もありました。作品を生み出した人物を作っているものが知りたいのかもしれません。

牛腸さんの愛用品などの展示の一部

まとめ

三流程度の写真家で終わるようであったら僕は写真をやめたい
そうでなければ僕にとっては生きるという意味がなくなってしまう

NHK日曜美術館より一部抜粋

牛腸さんは生前に、自費出版で写真集を3冊出されています。
そして、写真はもちろん「いろんなことをやってゆきたい」とおっしゃっていた牛腸さんは実際に、映画を撮ったり、詩を書いたり、絵本を作ったりされました。

「扉をあけると」は、インクプロットという技法で作られた絵画作品

20歳までしか生きられないと言われていた牛腸さん。
わたしが同じ状況になったとき、牛腸さんのように意欲的に活動できるだろうか…

おまけ1

熱心に年表を見られている年配のご夫婦の奥様が、「あら!今日、牛腸さんのお誕生日だわ!」と旦那様に嬉しそうにおっしゃっていて、展覧会に行った日が牛腸さんの誕生日だと知りました。なんたる偶然だろう!

おまけ2

植物で顔が隠れた写真が何枚か。気になりました。

 以上です。

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