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キャッチコピーを提示しない@20世紀のポスター[図像と文字の風景]

東京都庭園美術館で開催中の「20世紀のポスター[図像と文字の風景] ービジュアルコミュニケーションは可能か?」展。

構成的ポスター

主な展示は、幾何学的な形象文字のみでつくられた「構成的ポスター」です。

たとえば、音楽会のポスター

スクリーンショット 2021-04-05 15.29.35

幾何形態を利用して音楽のリズムや響きが表現されており、一切の具象がありません。

わたしはこの展覧会を通してスイス派というものを知り、その成り立ちがとても面白いと思いました。

スイス派とは

以下、「20世紀のポスター ギャラリートーク」での佐賀一郎先生のお話を少しまとめてみます。

<スイス派の特徴>
ミニマリスティックな表現
キャッチコピーが提示されていない

ポスターには、誰がみても同じに受け止められる客観的な情報だけ(音楽会の名前、開催場所、日時等)が掲載されています。

<客観的な情報だけを伝えるスタンスをとるようになった理由>
➡︎戦争を引き起こすようなコミュニケーションではなく民主的なコミュニケーションを目指した

第二次世界大戦前・中、
命令形のポスター
××すべきだ、という答えが決まっている形のポスター
が数多くみられました。

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異なる立場で異なる正義を振りかざすポスターは、国の利益に直結する答えを導き、それが高じて戦争が起きる ー 永世中立国であるスイスは、そういったポスターのデザインを脅威として、だれよりも客観的にみる立場にありました。

そこで、伝える情報に対する判断を受け手に委ねること、つまり、客観的な情報だけを伝えることで、情報の送り手と受け手が対等な立場になるようにしたのです。

本展覧会の魅力

デザインの背景にある歴史を知ること自体が面白い
色や形が一体何を表現しているのか考えるのが楽しい
抽象的な物(音楽など)が、シンプルな図形によって表現可能であることに感動する
図像と文字の配置がかっこいい

ギャラリートークをみてから展覧会に行くと、[図像と文字の風景]を存分に楽しむことができると思います...!


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