偏愛映画「人狼 JIN-ROH」
アニメの映画が好きだ。
そのなかでもひと際偏愛しているのが押井守作品である。
彼の作品は独特の長セリフ(ファンはそれを押井節と呼ぶ)と、実写に基づく精巧なレンズ描写、そして難解な物語によって形成される。
うる星やつら、パトレイバー、攻殻機動隊、と言った名だたるマンガ原作もことごとく"押井作品"につくりかえてしまうのだ。
そんななかでも僕が一番好きな押井作品は、沖浦啓之監督、押井守は脚本、という布陣で臨んだこの「人狼 JIN-ROH」という映画である。
すでに話した彼独特の要素は存分に含んでおきながら、しかし全体の趣きが今までのそれとはすこし違う。そこはおそらく沖浦監督の采配によるものなのだろう。
押井監督の好物である、マニアックな火器による戦闘、すぐには把握し難い組織、遠回しの台詞、そんな男臭い物語を、どこか線の細い女性のような軟らかいニュアンスが全体を包みこむ。
そういうところはヨーロッパ映画の繊細さにどこか通ずるところがある。衝撃のラストと相まって、僕はこの映画の虜になった。
その後も何度観返したかわからない(そもそも一度や二度観ただけでは全体を把握することができない)僕にとって、映像作品に対するひとつの答えとも言える作品である。
実写映画が好きという方にこそおすすめしたい、僕の一押しアニメ映画だ。
ここで断わりを入れておくが、本当に時間のあるとき、最低でも二日連続の休みのある、休みに入る前の深夜に観て欲しい。
初見のときは寝てしまう、何度も観ないとわからない、など理由はいろいろあるが、なんと言ってもその物語の重さと、衝撃から立ち直るさいに必要となる"間"的な意味でも、ぜひ時間に余裕のあるときに鑑賞していただきたい。「ダンサーインザダーク」級の衝撃といえば伝わるだろうか。
以下はyoutubeで見つけた予告
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