自殺計画、失敗

先月、須磨海岸で飛び込み自殺をしよう、と考えた。結局、しなかった。しなかったからこの文章を書けている訳だが。

ホルモンバランスと、気圧と、気にかかる事案が重なって、そのような考えに至った訳である。海での飛び込みを選んだ訳は、かっこいい、かつ迷惑が掛からなさそうな方法だと思ったからである。家で首を吊ったらその家が大島てるに掲載されてしまい、マンションの所有者に多大なる迷惑が掛かるし、電車に飛び込むと遅延になり、賠償金がかかる可能性がある。それに、私は海になんとも言えないロマンを感じる質であった。そんな単純な理由であった。


まず、カフェでお世話になった人への感謝の文章を残そうと思った。だが、案外思い浮かばない。「今までありがとうございました」以上に言えるものが無い。結果、3人に2文ぐらいの短いメッセージをアイフォンのメモに残した。

実は、この時点ですでに悩んでいた。須磨海岸に行くか、プリキュアプリティストアに行ってグッズを爆買いするか。自殺するという道だけではなく、好きなものを買ったら気持ちを落ち着かせられるのではという気持ちがまだ少し残っていた。

いざ、当日。
当日はひどい雨だった。
雨の中で海に飛び込むのは実に見栄えが良く無い。しかも、絶対に流される。怖すぎる。そう思った。
海に飛び込むなんて、そりゃ流されるに決まっている。にも関わらず、流されることを恐れるなんてバカみたいだ。そんなバカな考えのおかげで、結局自殺は中止した。プリキュアプリティストアで1万円以上の買い物をし、ケーキを食べて帰宅した。
天候と同じく、心模様も目も相変わらず雨のままだった。でも、買い物をしてケーキを食べたことで、ほんの少しだけまだ生きてみようと思えた。


今まで、何回「自殺しよう」と思ったことがあるだろうか。数えきれない回数であると思う。でも、いつも決行には及んでいない。
死にたいと考える人間は、生きるのは怖いが、死ぬのも怖い。「死にたい」と思ったままに死ぬことができたら、どれだけ楽だろう。

生活とは、そんな感じなのかもしれない。子供の頃は、サッカー選手や芸能人といった、憧れの職業につき、波乱万丈かつ華やかな毎日を送ることを夢見ていた。しかし、多くのものはそんな生活などしない。毎日同じ職場に行きながら、帰りに買うミスタードーナツや、毎週放送されるアニメをささやかな楽しみにして、生きている。実際に波乱万丈な生活などすると、それこそストレスで死んでしまうかもしれない、などと思う。

今日も明日も、頑張って生きます。

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