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業種分析【ガス】

 今回は、主に東京ガスを中心にガス業を調べてみた。
 まずはガス業の定義から。

【定義】

 ガス業とは,一般の需要に応じ導管によりガスを供給する事業所,一定数量以上の需要に応じ て導管によりガスの供給を行う事業所,及び自らが維持し運用する一定規模以上の導管でガスの 供給を行う事業所をいう。(統計局から引用)

 ガスの供給が事業の中心となっている。これはイメージ通り。

【売上の半分が工業用。景気敏感株。気候にガスの使用量が左右される。為替の影響も受ける。】

 供給先は
「工業用(40~50%)」
「業務用(20%)」
「家庭用(20%)」
「卸(10%)」
 カッコ内の数字は大まかな割合になる。

 工業用の割合が多いので、景気の影響を受けやすい業態だ。
 工場の稼働率が下がればガスの使用量は下がり、外食に温泉やプールなども客足が遠のけばガスは使用されなくなるだろう。
 生活インフラという点では強いが、景気の動向には要注意。

また、家庭用の説明に「気温が高くガスの使用量が伸びなかった」との旨の一文があり、その年の天候が業績予想に影響を及ぼすようだ。
 ちょっと面白い。
 因みに2023年は温暖だったため、家庭向けのガスの使用量が予想を下回り苦戦していた。

 今季も来期予想はともに「原料費調整に伴う単価減等」による減収だ。これは為替差なので、今の円安基調は苦しい。

【GXやDXに中東情勢にロシア・ウクライナ問題まで課題を抱える】

 ガスは天然資源なので、いまの中東情勢やロシア・ウクライナ問題による先行き不透明感は他業種よりも深刻だ。
 ガス業といいつうも、電力や風力など他のエネルギー業にも事業を拡大している。
 売り上げはガスが約1.7兆円に対してガスは約6000億円(いずれも2023年実績)と、電力も結構割合が高い。
 
 GXという用語がたくさん出て来るが、GXをそもそも知らない。DXも聞いたことがあるレベル。という訳でググった。 

【GXとDXとは】


 GXとはGreen Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略語。 化石エネルギー中心の産業・社会構造を、クリーンエネルギー中心の構造に転換していく、経済社会システム全体の改革への取り組みを指します。

 DXとは企業が、ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立すること。

 特にGXを推しているのは決算資料みると分かるけど、これって事業の足を引っ張らないだろうかと疑問を感じる。具体的な数値よりも理想が先行している印象が強い。
 GXが理想なのは分かるけど、事業の成長性と合ってないと前々から感じている。あくまでも個人の感想。

 以前、風力発電を調べた時に、国内で強風が安定的に吹き続ける場所が無いから風力発電は伸びないという疑問が自分の中で払拭出来なかったことがあった。クリーンエネルギーを推す会社を見ると、ちょっと距離を取る自分がいる。
 「エネルギーの安定供給と脱炭素化両立」を掲げているが、これの難易度が高いように思うが、どうなのだろうか。
 
上手く行くと思うのなら投資対象になるのだが…。

 DXは良いと思う。東京ガスも大阪ガスも新しいことに挑戦する企業風土が作られつつあるという意見を見た。それが良い方向に作用しているのかもしれない。

【来期もその翌年も業績予想はイマイチ】

 来期は売上減+費用増加で減益予想。2025年も減益予想が続く。円安基調では苦しい。


【現状では投資対象にならないかな…】

 先日、同じエネルギー関連のENEOSの決算を見た時はネガティブなイメージを持たなかったが、ガス業は厳しいようだ。
 この違いはなんだろう…。いずれその理由も分かったらいいな。
 ガス業は来期以降は厳しい状況が続くことが予想され、個人的にちょっと懸念点が多いように感じられた。
 
 国内の景気、天候、為替レートの動向、天然資源の供給状況、クリーンエネルギーの動向、これらの状況が良くなったら投資候補に入れたい。


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