プロセス主本経済#2

前回に続き、尾原和啓さんの著書「プロセスエコノミー」を読んで参考になった部分をご紹介します。前回の記事を読んでからの方が分かりやすいので、リンクを下記に貼らせていただきます。

■最強のブランド「宗教」に学ぶ
キリスト教の聖書も仏教の経典も、イエスや釈迦が自分で書いたものではなく、イエスや釈迦が生きている間は口承によって教えを広げていった。その教えを弟子たちが口々に語り継ぎ、やがて弟子の中の知恵者が文書として記録した。教祖や開祖が自分の口で語った言葉、信者に見せていた生き様を何百年でも何千年でも循環できるように経典に落とし込みながら現在に至る。
そうしてキリスト教や仏教は世界宗教として広がっていった。
ここで重要になってくるのは、人間は「感情脳」と「論理脳」のうち、どちらが作用するか?ということ。多くの人は「感情脳」によって、直観的な衝動を刺激される。歌い、踊り、みんなで一緒に祭りを楽しむ、宗教とは「Why」を引き継ぐ価値を持っているから何千年と多くの人の救いになり続けている。
この事が示しているのは、人々は「What」にお金を払うわけではなく、「Why」にお金を払うということ。人は強いコンセプト(Why)で大きく動き、正解が見えない中で大事なのは、「Why」へ腹落ち感である。
ブランドを育てていくうえでのポイントは3つ。
①自分ならではのこだわり
②やりきる責任感
③弱さの自己開示

■BTSから分かるプロセスエコノミーの実例
BTSが世界市場で突き抜けた理由
様々な要因があるが、作品やメンバーに対してガチガチな縛りをかけていないことから、熱狂的なファンの活動により成長していった。ファンたちがメンバーの写真を使って広告をしたり、ダンス動画をアップしたりと自発的に応援・宣伝してくれるファンたちを増やしていった。
縛りがあった場合、この流れは生まれなかったと考えられる。
そして、彼らが歌う歌詞にはドキッとするほど哲学的なフレーズが書き込まれてたりする。ただ楽しく歌って踊って幸せになるのではなく、口ずさんでいる人が「あれ、これって私たちの問題でもあるよね?」とハッとする。
Whyが一人一人の人生のストーリーにしっかり落とし込まれていきながら、プロセスを共有しBTSのファンは一緒に歩んでいくようになる。緻密な戦略によって作りこまれたBTSがブレイクしたのは必然の結果と言える。

■自分を大事にして常に「Why」に立ち寄る
プロセスエコノミーのメリットばかりを説明してきたが、デメリットや危険性も存在する。
たとえば、注目を浴びるのが得意の人がプロセスを上手に開示することによって、実力以上に資金やファンを集めてしまう。するとどんどんプロセスの刺激を増やしていかないと、次に続かなかくなってしまう。しだいにより大きなチャレンジを掲げるしかない。そしてどんどん過激になっていく。
チャレンジのインフレ、みたいなものを招く結果になってしまう。
次第にチップを投げてくれた人に応えようとして、自分の中心軸にしてきた「モノサシ」がブレて、視聴者側により過ぎてしまう。創作活動の手段としてのプロセス配信だったはずが、プロセス配信自体が目的化してしまう。
Whyも視聴者のコメントや配信に合わせるようになってしまう。作家がこれまで培ってきた軸がブレるようでは、最初は喜んでいたファンも違和感を覚えます。その人の軸である「モノサシ」がブレないからこそ、プロセスに価値が出る訳である。観客主体になっていくと、魅力的な自分を見失っていき、気付けば観客が創り出した虚像を生きるようになってしまう。焦って自分の身の丈に合わない挑戦をしてしまい、取り返しのつかない結果を招いてすまう危険性があることを認識しておく必要がある。
ただし、身の丈に合わないチャレンジが悪いということではない。
危険性を十分に認識しながら、自分が大切にしているのは何か?何のためにやるか?を常に自問自答することが重要である。

■影響力の危うさ
それなりに影響力が増すと、周りに称賛者が増えてくる。友達になりたいとか、肯定的な意見しか言わないというイエスマンも増えてゆく。批判や反対意見が耳に入らず、気付けば裸の王様状態になってしまう危険性がある。自分の外部をとりまく情報にフィルターがかかると、たちまち偏りが生じ、一面的な情報があたかも常識かのように勘違いをしてしまう。心地の良い情報しか入ってこなくなると、さらに先鋭化し、思考様式が凝り固まっていく。
自分のプロセスに同行してくれる人が増えれば増えるほど、「自分の見ている風景が世界のすべてだ」と勘違いをしてしまうリスクがある。
ときどき外に踏み出して、自分が置かれている環境を客観視できるようにすると良い。

■正解がない時代の中で
難しい課題を正しく解決するよりも、楽しく解いていくという意識をもつことで、これまで価値を感じていなかった人たちにも届き、色んな人を巻き込んでいくことが出来る。
まずは得意なことをしっかり楽しむということを目的にすることで、やがては利他的な価値の創出に繋がっていくのである。
このプロセス目的的な生き方は変化の早い時代の中でとても大切である。
昭和の時代は、ないものをあるに変えていくタイミングだったので、安くていい車を作るとか、他社よりもコンパクトなパソコンを作るとか「結果目的的」だった。変化の多い時代は何処にゴールがあるかわからないので、ただ走っていることが楽しいあら走るということが大切で、そういった人が結果を残していく。

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