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いろいろあんだよ

『いろいろあんだよ』

これは私が社会人3年目に言われた上司の言葉。

それは「俺らの立場じゃどうにもなんねぇんだよ」の意味だったり、「人それぞれ事情があんだよ」の意味だったり、いろいろな捉え方が出来る便利な言葉。

飄々としているけどめちゃくちゃ仕事のできる上司は、これが口癖でよく言っていた。

当時の私は白黒つけないと気になってしまう性分だったのと、自分も出来る上司のようになりたくて、上司の口癖は私にとっても口癖になった。

いろいろあった今も、それは今も変わらない。

夫婦生活が限界だった時は、誰にも相談できず、もう前にも後ろにも進まず、考えるのも生きること自体をやめる方法すら考えていたこともある。

あの時は、結論は白か黒しかないと思い込んで決めつけて、自分を追い詰めていたと、今になって思う。

当時の私は、いつも何かに気を遣っていて、我慢していて、修行みたいな気持ちで毎日を過ごしていた。

我慢しなきゃ、でももう限界、でもやめるなんて許されない、でももう辛い…

毎日、負の自問自答を繰り返した。


ただ、私にとって有り難かったことは、カウンセリングの方や友人に話すことが出来たことだと思う。

”話すことが出来た”というのは、ただ愚痴を聞いてもらうのではなく、解決の糸口を一緒になって探してくれるということだ。

一緒に探してもらえたことで、自分以外の考えに触れられ、新たな視点で考える機会が持てた。

そうか、私は自分のことばかり考えていたな、
自分の気持ちは言わないと伝わらないんだな、
今の自分は相手に伝えようとしていなかったな…

そこから自分の気持ちをゆっくり見つめなおしていった。

一度きりしかない私の人生を、わざわざ苦しめて何を我慢する必要があるんだろうか。
誰かにいい顔をして、我慢すれば後でいいことがあるのだろうか?


もっと自分のしたいように、人生を動かしたい。
今の決断をよかったと思えるように、今を楽しみたい。

それに気付いて、私は再スタートを切った。

子供もいる身で離婚というのは、とても悩むことだし、出来ることなら夫婦二人が楽しく子育てするのが、子供にとっては一番だと今でも思う。

しかし、離婚したことを引け目に感じることはないと思うし、決断したことを良くも悪くも出来るのは自分しかいない。

皆、いろいろありながら生きている。

「いろいろあんだよ」の口癖を胸に、今日もただ生きる。







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