2024東京六大学野球秋季リーグ戦 第3週終了時点での展望
東京六大学野球秋季リーグ戦は9/28からの第3週を終えて、全6チームが2カードを戦い終えた。次に全チームが同じカード数を戦い終えるのは最終週の早慶戦終了時点。そのため、この第3週終了は折り返し地点ではないが、開幕後の各チームの戦いぶりを比較するには好適なタイミングといえる。2カード消化して順当な戦いぶりなのか、それとも誤算が生じているのか、全くの個人的主観だが振り返ってみたい。
早稲田大学
5試合4勝0敗1分 勝ち点2
春秋連覇を目指す今シーズン。開幕の東大戦は順当に連勝。初戦は20-0といきなり容赦ない展開で攻守に隙なし。法政戦は初戦を引き分けたものの連勝し、2カード終わって負けなしで勝ち点2と秋も優勝戦線の中心にいる。
今季はなんといっても吉納の打棒。ここまで.389 4HR15打点と、特に東大戦で3HR9打点と大暴れしたが法政2回戦でも1HR5打点と手のつけられない絶好調ぶり。他にも石郷岡.462、印出.429、前田.421、小澤.353と好調打者がズラリと並ぶ。気になるのは尾瀬.267、山縣.188と春に打線を牽引した1・2番がここまでもう一つだがこれから上がってくるだろう。
投手陣も、エース伊藤樹が3試合2勝0敗、防御率1.71と春の疲労を感じさせない安定ぶり。リリーフは春の中心だった香西・安田に、田和が復帰し3試合登板。高橋煌も2試合登板と新たな戦力が加わり厚みを増している。
秋も投打に充実の早稲田。対抗馬はやはり明治か。第6週、両チームとも4カード目となる対決がまさに今秋の天王山となるのは間違いない。
明治大学
5試合4勝0敗1分 勝ち点2
今秋最初のカードは東大戦。初戦は10-0と大勝したとはいえ、先発渡辺に封じられ8回までは0-0と決して楽な展開ではなく、2回戦も3-0。宗山が復帰したにも関わらず打線に不安を感じさせたが慶應戦も連勝。結果的には引き分けを挟み4勝負けなしと順調なスタートを切った。
チーム打率は.284。直井.421、杉崎.350とトップバッターと4番が好調で、春ほぼ欠場した宗山も.333 2HR7打点と好調。ライトは横山スタメンが続き.333と結果も出ているが慶應3回戦でスタメン起用した榊原が1HR3打点と相変わらずチーム内競争も激しい。木本・小島・飯森はいずれも.222だがこれから上げてくるだろう。下位では光弘が規定打席未満だが.417とこちらも好調。
投手陣もチーム防御率0.78と好調で、打線に火がついていないなかで盤石な試合展開となっている。春防御率1位の高須を、開幕のカードでは無理せず登板を避け慶應1・3回戦に先発起用。12回2/3とまだ、6回くらいが起用の目処のようだが1.42と好投を見せスタミナ以外の不安はなさそう。今季は毛利を今のところ先発に固定して2試合12回を無失点。浅利・大川・松本直がリリーフに控えて強力だが、春のリリーフの中心となった左腕千葉がベンチ外なのが気になる。
慶應義塾大学
6試合1勝4敗1分 勝ち点0
開幕カードは立教に勝ち点を許し、次の明治に連敗。勝ち点2つを落としたのは痛いが今度巻き返しなるか。
やはり今年は、前年の広瀬などのような強打者が乏しく、打線が慶應らしからぬ湿りっぷり。注目の清原も明治1回戦で劇的な同点アーチは放ったがそれきりに終わっているのが厳しいところ。また主将本間も不振でスタメン落ちし、吉野・二宮・渡辺憩も結果が出ておらず例年になく打線は低調だが今後どう巻き返すか。
投手陣はエース外丸が4試合登板で防御率4.32と苦しんでいるが打線の援護不足も影響しているか。渡辺和が1.42、広池が3.27と2年生コンビが先発・リリーフで好投しているのは明るい材料。木暮・前田も短いイニングだが抑えている。とにかく打線の復調次第だがリーグ戦を面白くしたい。
法政大学
7試合2勝3敗2分 勝ち点1
開幕のカードの立教戦は先敗しながらも連勝と逆転で勝ち点。優勝争いの点で注目の早稲田戦は初戦を引き分け。しかし連敗し勝ち点奪えず。厳しいスタートとなった。
エース篠木は早くも4試合登板し3.48。早稲田3回戦で7回125球5失点で防御率を下げたが、9/23立教3回戦で9回132球完投勝利してから中4日で9/28早稲田1回戦を7回102球3失点。そして中1日で9/30早稲田3回戦と、8日間で23イニング359球を投げており流石に負担が大きすぎたのでは。篠木なら無理を押して登板するくらいの闘志を持っていそうだが、首脳陣がそれに乗っかってしまっているのではないだろうか。
チームとしても立教戦が4回戦までもつれ込む激戦となり、2週連続のカードは中3日で早稲田戦と日程的にはかなり負担がキツい並びとなってしまった。初戦引き分けのあと連敗。日程的にキツイとはいえ力の差を見せられた格好。もう1枚の左腕エース吉鶴が立教戦・早稲田戦で打ち込まれたのも痛い。安達は4試合登板し防御率0.00と今季も好調。リリーフでは、倉重、山城も好投しているが2回戦先発は今後も吉鶴か、もしくは野崎・山城など別の投手を抜擢するか、要注目。
打線は姫木.357 4打点、中津も.333 4打点と好調なだけに他の選手の復調が待たれる。今季からスタメンショートの石黒と中津でチャンスメイクして内海・松下の主軸右打者が走者を還すパターンを確立したいところ。
ショートに石黒を起用し中津はセンター。二塁は熊谷と中村騎。捕手は中西と新たに下級生を起用し吉安、武川がスタメン落ちしている。吉安は早稲田戦で代打でヒットを放ち意地を見せたが、最上級生の奮起は見られるか。下級生がメンバー入りした影響か、ベンチで常に大声でナインを鼓舞する元気者の大川がベンチ外なのは寂しい。
立教大学
7試合3勝3敗1分 勝ち点1
開幕の慶應戦は初戦を延長戦の末にサヨナラ勝ち。2回戦は敗れたが3回戦は小畠の好投で勝利し2016年春以来の慶應からの勝ち点。続く法政戦は初戦引き分け。2回戦を先勝し2カード連続勝ち点の期待が高まったが連敗で勝ち点ならず。
慶應1回戦はエース小畠6回4失点の不調を小林誠・竹中のリリーフが好投してカバー。打線もこれまでは慶應の投手・守備を崩せなかったのが西川・丸山のタイムリーでリードを奪う展開。追いつかれはしたが逆転を許さなかったリリーフ陣の奮闘で最後は落合がサヨナラヒットのラッキーボーイぶり。3回戦は小畠が8回無失点の圧巻の投球を見せた。小畠は既に、法政篠木の31イニングに続く30イニングを投げており防御率も1.80と今季も鉄腕ぶりを見せている。リリーフでは竹中と小林誠が3試合登板防御率0点台。竹中は法政3回戦では先発し7回1失点の好投。先発としても計算できるのは大きい。慶應戦ではクローザーとして勝ち点ダッシュに大いに貢献した吉野が法政戦では2戦抑えに失敗。メンタル面も含めて4週の早稲田戦は真価が問われる。
春は貧打に泣いた打線はトップのルーキー小林隼が.333 2HRとまさに切り込み隊長として牽引し、鈴木も打点は0ながら.350と好調。逆に4番西川は.192ながら4打点と勝負強さが光る。今後は.222の柴田、.231の戸丸もそうだがなんといっても.071と不振に苦しみスタメン落ちも続いている菅谷が復調しチームを勢いづけたい。
東京大学
4試合0勝4敗。
開幕の早稲田戦はいきなり0-20の大敗。4試合中3試合で2桁失点と投壊が止まらない。特に本来エースの平田が3試合で20.77と壊滅的に打ち込まれている。しかし渡辺が明治1回戦で8回0封。鈴木も明治2回戦で7回2失点とようやく先発陣に光が見えてきた。しかし投手もそうだが打線と早稲田・明治の強力投手陣に封じられ4試合でわずか1得点とこれでは勝ちは難しい。今後、平田の起用法などどう出るか注目。リリーフ陣は前田・森岡・佐伯あたりに期待できそう。
打線の不調も深刻で4試合で僅か1得点。これでは勝機は見えてこない。杉浦の.300と、府川が代打中心だが6打数2安打1打点している以外は軒並み1割から0割台の打者が並ぶ。春の怪我から復帰した酒井も、ベストナイン獲得の大原も沈黙しているが、今後息を吹き返してもらうしかない。この秋からショートスタメン定着している小村は打撃は.200(5-1)と苦しんでおり非力さは否めないが守備では軽快な動きでスローイングもよく安定してしている。いい守りも見せるが送球が乱れるのも散見された青貝よりも堅実なのでは。春、1試合2近くの失策とエラーが多発した守備は4失策。うち2つは捕手の杉浦なので、野手陣は守備では堅実に守っている。先発投手が渡辺と鈴木太で目処がみえてきただけに、あとはとにかく打線しかない。