かけっこゲーム。

娘の持っているおもちゃに「ヒーリングステッキ」というものがある。これは今、毎週日曜朝8時30分から放映しているアニメ「ヒーリングっど♡プリキュア」のおもちゃで、主人公たちが変身したり、戦ったりする時に使うアイテムである。

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こちらでございます。

このおもちゃは遊び方が「Aモード」「Bモード」とあり、「Aモード」はアニメの効果音そのままに、主人公になりきって変身したり戦ったりするモード。「Bモード」はこのステッキをつかっていくつかのミニゲームが楽しめるモードである。ちなみに「i モード」はかつてドコモがやっていた携帯電話のインターネットサービスである。余談だが私は昔、まだインターネットの定額使い放題などない時代、この「iモード」でエロ画像を見過ぎてしまい1ヶ月の携帯電話代が4万になったことがある。パパ、まじですまん。そんでめちゃくちゃどうでもいいなこれ。みんなすまん。

話を戻そう。時を戻そう。

娘はちょっと前からこの「Bモード」のミニゲームのひとつである「かけっこゲーム」にどハマりしている。これはスタートの合図とともに、ヒーリングステッキにある2つの肉球のボタンを交互にテンポよく押して、ゴールを目指すというゲームである。おそらく、「◯秒以内に◯回以上押せたらゴールできる」みたいな仕組みなんだと思う。そのゴールした達成感が嬉しいみたいで、パパやママを誘っては一緒に手を添えてもらい、いつも2人でかけっこゲームを楽しんでいた。


でも、家事やら仕事やらで毎回一緒にできるわけではなく、そんな時は娘がひとりで挑戦しているのだが、ひとりではなかなかテンポ良く交互にボタンを押すのが難しく、なかなかゴールが出来ずにいた。はじめは機嫌良くやっていた娘も、なかなかゴールできないとイライラして怒りだしたり、泣きだしたり、ヒーリングステッキを叩いたり。そうなるとさすがに親も黙っているわけにはいかず、叱ってしまったり。でもそんな叱っちゃうパパだって子どもの時、スーパーファミコンのマリオカートでコンピュータに勝てない時、コントローラーぶん投げてたんだ。ごめんね。ここでひっそりと謝っておく。ごめんあとカセットも投げた。電源コード噛んだりもしたかも。なんかあの…本当にごめん。うん。本当にごめん。

話を戻していいでしょうか?

この間の土曜日の夜。みんなでご飯食べた後、お風呂に入るまでの間に3人でダラダラしていた。嫁と2人でテレビ観ていたら、娘がヒーリングステッキの「かけっこゲーム」をやり出した。いつものように最初はなかなかゴールできず、娘もちょっとずつ怒りだしてたんだけど、何回目かの時だった。今までにないスムーズさで肉球ボタンを押し出して、ボタンを押した時の効果音がとてもリズミカルに鳴り出した。パパもママも思わず娘の方を向いて、無言で見守っている。効果音は止まることなくリズミカルに鳴っている。

「ゴール!!」ヒーリングステッキは高らかに、娘のゴールを宣言した。娘はパパとママの方を見て満面の笑みで「やった!できた!!」と喜んでいる。その瞬間、私は号泣してしまった。

正直に言おう。娘に何度か「一緒にかけっこゲームしよ!」と誘われた時、私は家事をしたかったり、ちょっとめんどくさかったりした時に「ひとりで頑張ってみ?じゃないと上手にならんよ?」と、もっともらしい理由をつけて断ったことがある。なんの根拠もないのに。なかなかゴールできずに泣いたり怒ったりする娘に対して「そんなに泣いたり怒ったりするなら辞めたら?」と言ったことがある。

でも、娘はそれでもめげずに、諦めずに、ずーっと「かけっこゲーム」をやり続けた。そしてある日、やっとゴールすることができた。そのゴールした喜びを、こんな私たちと分かち合おうとしてくれた。それがもう嬉しくて、申し訳なくて、一緒に遊ぶのを断ったことがある自分に腹が立って、いろんな感情が一瞬でぶわーっと出てきて、よく分からなくなって号泣してしまった。娘と嫁は若干引いていた。ですよねって思うし、若干で良かったなって思う。


娘はこれからも、ちっちゃな挫折や失敗、ちっちゃな立ち直りや成功を繰り返して大きくなっていく。今のうちにそれらを沢山経験することで、成長したときにいろんな壁にぶち当たった時、その壁を乗り越えるようになれるんだと思う。その時に自分たちができることは何か。してはいけないことは何か。親だって、ちっちゃな失敗もちっちゃな成功も繰り返していかないといけないよなと改めて思った。じゃないと本当に、娘の成長のスピードにあっという間に置いてかれてしまう。娘はもう、当たり前のようかけっこゲームをゴールし続けている。娘ちゃん。ねえねえ。あの、きみ、それ、いつまでやるん?

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