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弁当にはだし巻きより玉子焼き。

小学生の頃、遠足とかでお弁当にちっちゃいグラタンが入ってる人がすごい羨ましかった。うちは母親がいなくて婆ちゃんが弁当作ってくれてたんやけど、婆ちゃんに何回も弁当にグラタン入れてほしいって言っても、そんなもん作り方知らんから無理って言われてた。それに婆ちゃんが作る弁当は和食ばっかで、色もキレイじゃなくて、弁当が必要な行事が嫌でたまらなかった。大人になってわかることは、あのグラタンは手作りでもなんでもないただの冷凍食品で、婆ちゃんがいつも入れてくれていたきんぴらごぼうとか、おひたしとか、煮物とかのほうがよっぽど手間がかかって朝から作るのがどれだけ大変かということ。そしてそれに気付けたのは自分が冷凍食品のグラタンの存在を知ったから、自分自身が料理をするようになったからで、それを知らなければ自分は今でも婆ちゃんの弁当をすごく嫌な思い出としか残ってないと思う。アホなまんまでは、無知なまんまでは、誰かやなにかに感謝することも、後悔することもできない。人の気持ちを考えることすらできない。婆ちゃんの弁当、地味やけど好きなものばっかり入ってて本当においしかった。玉子焼きがね、めちゃくちゃ甘いの。多分あれが元祖焼きプリン。でも大人になってから食べた冷凍食品のグラタンもおいしかったなー。婆ちゃんにもいっかい食べさせてあげたかった。そしたら入れてくれてたかもしれんなー。

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