浮乃ちゃん歌蓮ちゃん42「うきのとかれんの料理ちゃんねる」

東郷湖畔、はわい温泉街..

はわい東郷浮乃と三朝歌蓮は、浮乃の部屋でくつろいで…おらず、キッチンにいる。

「こんにちは。はわい東郷浮乃です。」
「…誰にあいさつをしてるんですか?」
「『うきのとかれんの料理ちゃんねる』をご覧の方に向けてだよ。」
「…いつから始まったんですか?」
「今からだよ。」

ゴンッ!
歌蓮が、調理台に頭を打った。

「テーブルの時より音が大きいね。」
「変な感心をしないでください!」
「じゃあ、歌蓮ちゃんもあいさつをしてよ。」
「えっ、私もですか!?…こ、こんにちは。三朝歌蓮です。」
「それでは、今日作る料理は…。」

「『ゼリー』です!」

…。

一瞬、沈黙が流れた。

「…浮乃ちゃん。」
「何?」
「ゼリーって、すぐに作れませんか?」
「うん、すぐ作れるよ。」
「じゃあ、すぐに終わらないですか?」
「うん、すぐ終わるね。」

ゴンッ!!
歌蓮がまた、調理台に頭を打った。

「すぐに終わったら、話にならないでしょ!」
「大丈夫だよ、ちゃんと考えてるから。」
「本当ですか…?」
歌蓮が、赤くなった額を押さえながら言った。

「それでは、ゼリーの作り方です。」

(ゼリー4個分の分量)
①よく溶かす
ボウルに某ゼリーの素1袋を入れ、 お湯(80℃以上) 200mlを 加え、よく溶かします。さらに水200mlを加え、よく混ぜます。
②冷やし固める
ゼリーカップに流し入れ、冷蔵庫で2時間以上冷やし固めます。

「以上で、ゼリーの出来上がりです。」

…。

また、一瞬沈黙が流れた。

「…浮乃ちゃん。」
「何?」
「すぐに作れましたね?」
「うん、すぐ作れたね。」
「すぐに終わりましたね?」
「うん、すぐ終わったね。」

ゴンッ!!!
歌蓮がまたまた、調理台に頭を打った。

「だから言ったでしょ!」
「いやいや、歌蓮ちゃん。これは基本的な作り方だよ。ここから、入れるものにアレンジを施していくんだからさ。」
「えっ、何を入れるんですか?」
「鳥取県の名産品を、3種類それぞれ入れたゼリーを作ります。」
「名産品…ですか?」
「そうだよ。まずは、梨を入れたゼリーを作ります。」
「梨のゼリーは、さっぱりしていて良さそうですね。」
「おみやげ品にもあったりするけど、手作りの良さもあると思ってね。」

浮乃が、梨をサイコロ切りにした。

「では、次は…、柿を入れたゼリーです。」
「柿のゼリーですか?」
「おいしいと思うから、一度作ってみたかったんだよ。柿は固いものではなくて、柔らかめの柿を使ってみようか。」

(やっと、まともになりましたね…。)
歌蓮は心の中で安堵した。

「そして、最後は…。」
「最後は?」
「しじみです!」
ドンッ!
浮乃が勢い良く、ボウルに入ったしじみを調理台に置いた。

ゴンッ!!!!
歌蓮がまたまたまた、調理台に頭を打った。

「浮乃ちゃん!食べ物でふざけないでください!!それに、いつまでこのパターンを繰り返すんですか!!私の額も限界ですよ!!」
「いやいや、ちょっと聞いてよ。歌蓮ちゃん。」
「何を聞くんですか!」
「これは、甘くはしないよ。しじみのだしを効かせて、しじみを楽しめるようにするんだよ。」
「えっ、…だしも入れるんですか?」
「うん。湯梨浜町には、『しじみ味噌汁アイス』があるでしょ?それと似た路線の、しじみ汁ゼリーを作ろうと思ってね。」

湯梨浜町には、アイスにしじみの味噌汁が入った「しじみ味噌汁アイス」なるものがある。

「確かに、ありますけど…。まあ、ふざけた考えでないなら、作ってみましょうか。」
「それでは、以上の3種類のゼリーを、…えー、さっき説明したやり方で作ります。」
「適当が過ぎます!」

「はい、それでは完成しました!」
テーブルの上に、梨、柿、しじみの入ったゼリーが並ぶ。

「じゃあ…、何から食べましょうか?」
「一番確実な、梨からいこうか。」
「自分で言わないでください!」

『いただきます。』

浮乃と歌蓮が、梨のゼリーを食べた。
「うん、おいしい。」
「梨は風味がさわやかですから、ゼリーにしてもおいしいですね。」
「食感も良いしね。」
「鳥取県は、梨を使った銘菓やスイーツが本当にたくさんありますからね。」
「それだけ、鳥取県を代表する果物として、認知されているってことだしね。」

続いて、二人は柿のゼリーを食べた。

「こっちもおいしいね。」
「そうですね…、でも、柿のゼリーって、商品として売られてますか?見た記憶がないですね。」
「うーん、確かに…。干し柿くらいで、柿のスイーツって、少ないよね。」
「取れる期間の短さや、加工がしにくいとか、というのがあるんでしょうけど。」
「鳥取県の果物として、もっとメジャーになって欲しいんだけどな。」

最後に、しじみ汁のゼリーを…食べた。

「うーん、…しじみだね。」
「そのままじゃないですか!」
「でも、食べられなくはないでしょ?」
「食べられますけど、スイーツとは違うでしょ?」
「そうだね…。これは煮こごりとか、料理の方だね。」
「それに、やっぱりスイーツなら、甘くしないとダメじゃないですか?」
「じゃあ、これは『しじみの煮こごり』ということで。」
「料理名を変えないでください!」
「これ、松江しんじ湖しじみちゃんに食べてもらったら、何て言われるかな?」
「…めちゃくちゃ怒られると思いますよ…。」
「いやいや、チャレンジ精神を買ってもらえれば…。」
「本当に怒られますよ!というか、一回ぐらい怒られなさい!」

「さて、それでは『うきのとかれんの料理ちゃんねる』第一回もそろそろお別れの時間が来ました。」
「つっ、続くんですか!?」

歌蓮が驚いて、浮乃に聞いた。

「うん、続ける予定だよ。これを書く人のネタが尽きた時に。」
「内情をバラさなくても良いですから!」

終わり。

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