見出し画像

私の人工言語、これまでの軌跡

初めに

こんにちは、noteは初めて書くスヮドゥン語族たんことツァルたんことRhemestry(りめすとり)です。Twitterの方はこちらから。(@rhemestryは同一人物ですが無関係なので悪しからず。)

ことろで、人工言語を作るうえで避けて通れないと言われているものがあるのを皆さんはご存知でしょうか?その名は「ガラリ」。せっかくこれまで作ってきた人工言語をガラガラと瓦解させてしまう界隈の妖怪です。(とどのつまりはあまりにも大規模な、時には白紙に戻すのにも近い規模のテコ入れを指す言葉です)

かく言う私もこの妖怪ガラリの被害に何回か遭っているのですが、私の進捗状況を把握するのにガラリによって失われてしまった過去の言語の姿をこうやって記録として確認できた方が分かりやすいと思い立ったのでこのnoteを書くに至りました。

長くなるかもしれませんが最後までお付き合いください。また、このnoteで私の作っている人工言語に興味を持った方がいらっしゃいましたら是非Twitterの方もフォローお願いします。(進捗状況をツイートしています)

①母胎となる言語

私の作っている言語の源流は@wikiにてツァルフィス(後述)の言語のリファレンスを公開していた時期よりもさらに前に遡ります。この言語に関する情報は公開されておらず、また手元にあったデータは昔のパソコンに幽閉され、手書きのメモなどはすべて処分されているので確定的な情報は書き綴れませんが記憶から呼び起せる限りのことを書くつもりです。

まずこの言語は、典礼言語として(「架空世界で使われている典礼言語(人工言語)」という設定の言語として)作られており、非自然言語的な要素がふんだんに使わています。これは、現在の方針と大きく異なる部分です。

まずこの言語の根幹をなす要素の一つが、「セフィロトの樹型文法」です。これは文に含まれる項が「セフィラ」上に配置されていく文法形式であり、接辞として「パス」を通っていくことによってそれを標示する二次元的な構造を持った文法体系です。

セフィラはチャールズ・フィルモアの提唱した格文法に強く影響されており、動作主格、経験者格、道具格、対象格、源泉格、目標格、場所格、時間格の八つに、動詞格と冗長格(語調を整えるためにある格で、対人モダリティを表していた?)を加えた10のセフィラがありました。(Da'atに対応する概念はありません)

ここで注目していただきたいのが、動詞格は他の項と同じ扱いを受けているということです。ここにスヮドゥン語族の言語の特徴の一つである、「動詞と名詞の区別が曖昧で、またそれらを修飾する語も形容詞という一つの品詞にまとめられる」という特徴の面影を感じ取ることができます。

もう一つの独特のシステムが「ゲマトリア加算複合」になります。このシステムはその名の通り子音(字)一つ一つに数価が割り振られており、複合語を作るときに「子音の二つの数価を足し合わせた数価を持つ文字が使われる」というシステムです。

例を挙げましょう。今、b, c, d, f, gにそれぞれ1, 2, 3, 4, 5という数価が割り当てられているとします。そこで"bd"という語根と"cf"という語根を合成した単語を作ることを考えますこの場合(1, 3) + (2, 4) = (1, 3+2, 4) = (1, 5, 4)という演算がなされ、"bgf"という単語になります。

このシステム自体はナンセンスな感じですが、この頃から「複合語がパッと見で複合語と分からないような言語」という方針は大きく変わっていないとも言え、スヮドゥン語族の諸言語に通じるところがあります。

②前期ツァルフィス

ここから先は私のハンドルネームの一つにもなっている「ツァルたん」の基となっている言語、「ツァルフィス」の解説に入ります。ツァルフィスは①で述べた典礼言語の流れを汲む言語で、やはり自然言語には見られない特徴を多々含んでいます。

まず、文法は①の言語の流れを汲んでおり、「改良版セフィロトの樹型文法」と呼ばれるシステムが存在しました。これは旧来のセフィロトの樹型文法のセフィラの数や配列を、言語として運用しやすいように形を崩したものです。見出し画像にも使われているやつですね。

主な改良点としては樹の右側の肥大化(肥大化し過ぎてもう一本の幹が生えてきているようにも見えますが)、そして関連した意味のセフィラを位置的にも紐づけたことですね。

そして、ゲマトリア加算複合は失われたものの、それに代わるシステムとして、「ウムラウト式母音交替」が導入されました。例えば、本を表す"twef"という語根に対して、"-ia"という接尾辞を付けることで「本」という名詞として使うことが出来るようになるのですが、この時-iaのiが削除されると同時にtwefのeが高舌化し、twifaとして実現されます。

また、項になれるもの(名詞、動詞)は辞書形、名動詞(be Nの意味)、属格、遊離文(分詞構文のようなもの)の四つの形に屈折し、これは接尾辞の形の変化として現れ、-iaの場合は-ia, -aon, -eal, -∅と変化し、"twef"を例に挙げると、twifa, twafon, twefal, twefという風に変化します。

しかしこの体系は一つ目の母音が脱落する理由が不明瞭であったり、二重母音が許容されていない体系なのに接尾辞はほとんど全て二重母音を持っているなど問題点も多く、後期になると改定されています。

またさらに、どの接尾辞がどのように変化するかには一貫した規則性はなく完全にランダムで、これが一種の名詞クラスのようになってました。今考えると意味不明ですね。

音韻面で言うと、かなり子音に偏っているイメージです。当時の特徴的な点と言えば、流音が三つあったことですかね。TwitterのIDが@tsarfisではなく、@tsarhfisになっているのはこれの名残です。(決してstarfishのアナグラムにするためではないです。)また、子音クラスタも結構気持ち悪いのがあって、おそらくpthryarnstみたいな構造まで許容されていたような気がします。

また当時はツァルフィスをラテン語的な立ち位置で捉えていて、その娘言語を作る予定だったようです。

③後期ツァルフィス

話は変わりますが、人工言語を作る目的の一つは、小説家になろうにて連載していた小説に使うことで、典礼言語という設定もそれに合わせたものでした。しかし、後ほどなくしてなろう作家としては筆を折り、ツァルフィスは自然言語としての性格を獲得していき、製作方針はリアリティ志向へと転向していきました。

文法面では旧来の不合理なセフィロトの樹型文法を捨て、純粋な膠着語になっていきました。セフィラの概念は格へと置き換えられ、動詞は時制、相、法、疑問か否か、証拠性を表す接尾辞が付いていき、強い複統合語性を示すようになります。

そして、問題の多かったウムラウト式母音交替は「簡素化母音交替」に置き換えられました。このシステムはatwikiにて確認できますので、詳細は割愛します。(しかし、このシステムもまだ自然なものとは言い難く課題として残り続けました)

このように様々な改革が行われた後期ツァルフィスですが、音韻面は前期ツァルフィスから特に手は加えられておらず、流音が三個ある状況も特に変わらず残っております。(これはtsarhfisという言語名を維持するためのものだったかもしれません)

この時期に議論されていた話題と言えば、「一音語根を許容すべきか否か」だった記憶があります。複合語が多く、自然と音節数が多くなってしまいがちな傾向に対処するために、子音一音のみからなる語根を認めてしまおうという流れです。

結局これは実装されなかったわけですが、この考察が音韻構造の再考のきっかけを生み出し、スヮドゥン語族たんと己の名を改めるに至る「大ガラリ」に繋がっていきます。

④そしてスヮドゥン語族たんへ……

前述の通り、音韻構造、特に音節の構造に関する考察を深めることにより、長らく手を加えていなかった音韻構造に手を加える決心を固めたことからこの「大ガラリ」が 始まります。

また前回のガラリの際は小説のために言語を作っていた頃の空気感をまだ捨てきれていない感じが否めませんでしたが今回のガラリは筆を折ってから長く時間が経っており、これが前回より大規模なガラリを決行するのを助けました。

このガラリの最大の関心事は、簡素化母音交替にきっちりとした合理的な歴史的な意義を与えることでして、簡素化母音交替を最大限再現した「アクセント式母音交替」が導入されました。これは祖語に*a, ə, i, uを建て、アクセントのある位置で、*a, ə, i, u > a, e, i, u、アクセントのない位置で、*a, ə, i, u > a, o, e, oとすることで簡素化母音交替のi vs. e、u vs. o、e vs. oを再現しています。

このアクセント式母音交替のもたらしたものは新しい母音交替のシステムだけではありませんでした。これまでとは違い「ツァルフィス以前の言語の形」という概念が導入され、これまで無視されてきたアクセントに目が向けられるようになったのです。

そして、通時的な視点を用いて子音インベントリの整理し、その過程で流音が三つから二つに減らされ、tsarhfisという名前も変更を迫られました。また新たな母音交替のシステムを考えるうえで"tsa"という並びも不都合であり、「ツァルフィス」に固執する必要がないことに気づいたため、ツァルフィスという言語は消滅し、「スヮドゥン語族たん」として生まれ変わったのです。

最後に

大雑把にですがこれまでの私の人工言語製作の歴史をなぞってみました。

スヮドゥン語族のデータは現在mirahezewikiにて公開されております(wikiの情報は今ではすでに古いものとなっている上、未完成なのは悪しからず)

また、製作が軌道に乗ってきたらnoteにても情報を公開していく所存ですので、どうかnoteの方もフォローお願いします。

では。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?