うまぴの台本②森の話

これは少し前のこと…今よりどれくらい遡るんだろうか?(ナレーション部分)

とある国のとあるところに深い深い森があった。
そこへと数日前に迷い込んだ私はただただ只管出口を求めて歩いていた。

どれくらい歩いただろうか。あまりに木々が高くて昼と夜の境がわからない。
星も見えないほどの森の懐の深さに少しずつ気持ちも落ち込み始めた。

だから、目の前に光がフワッと現れたとき、どれだけ気持ちが安らいだか。

「誰かいるの?」(ちょっとシリアスに)

そう声をかけて近づいてみたけれど、光は一向に大きくならない。
やっぱり何かの幻覚なのかな…と思ったころ、その光は目の前に止まった。

「ねえ、お姉ちゃんどこに行くの?」(うまぴさんそのままの声)

羽の生えた小さな人間…これはもしかして妖精?
少しまぶしく光る羽に目を顰めながらも、私はその子と目を合わせる。

「迷い込んじゃったんだけど、森の出口ってわかるかな?」(疲れた声)

ちょっと不機嫌そうな声だったけど、何せ数日前から寝ずに歩き続けてる。
何も食べてないし、何も飲んでなかった。
だから先にそっちを聞けば良かったかななんてことも少し思った。

「ふーん、そうなんだ」(うまぴさんそのままの声)

妖精は少し関心のなさそうな声で答えた。
もしかして森に迷い込んだ時点でダメだったのか…?

「教えてあげるけどさ、僕と友達にならない?」(うまぴさんそのままの声)

あれ、妖精にも男の子がいるのか…と今なら思うけど、その時はそこまでの気力がなかった。

「いいよ、友達になってあげるからここから出してくれない?」(かなり疲れた声)

そう言うと彼は嬉しそうに「わかった!こっちだよ」と森の奥へとさらに導いてくる。
疑いも一瞬頭を擡げたが私の疲れもピークで、藁にすがる気持ちでそのあとをついていく。

どれくらいの時間あるいただろうか。
少しずつ明かりが差し、森の外の景色が見え始めた。
少しの感動と共に現れる…不思議な形の建物。

「なんだろ…これ…」(倒れそうな声)

そう呟くと急激に意識が遠のいていった。
遠くで「おい、大丈夫か」と言う声が聞こえる…

それからどれくらい経っただろうか。
助けてくれた男が言うに、私は1週間は寝続けていたらしい。
我ながらそんなに寝るか?とも思ったけど、よほど疲れていたんだろう。

男が言うには森から光が飛んできて、その先を見たら私が倒れていたらしい。
なるほど、やっぱりあの妖精が私を助けてくれたんだ…

「ところで…あんた名前は?」(ウマザワ)

「私は…あれ、なんて名前だっけ…」(ちょっとぼんやりした声)

数日間歩いていた疲れからか、名前が思い出せない。
いや、あの森に入る前は何をしてたのかも思い出せない…

「私は…えっと、名前は…」(少しシリアスな混乱した声)

「そうか、色々と忘れちまったんだな」(ウマザワ)

男はそう言うと「じゃあ、色々と思い出すまでここで寝泊まりして良いぞ」…と
悪いなとも思ったが、記憶も何も忘れてしまったから頼ることにした。

「ところであなたの名前は…?」(少し落ち着いた感じ)

「ああ、ウマザワって呼んでくれればいい」(ウマザワ)

それが”未確認動物”である私と彼の出会いだった。
今からどれくらい前のことだろうか、全てはここから始まった。(ナレーション部分)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?