うまぴの台本①寿司BAR

「へいらっしゃい、カウンター席へどうぞ」 (ノリノリで)

ここはうまぴの寿司BAR。 (ナレーション部分)

あれ、いつものすやすやBARはどうしたって?
今日はちょっと気が乗らなかったからお休みをした。 (ラノベの主人公っぽく)
その代わりちょっと気分転換で寿司を握ろうかと思って…ね。 (しっかり間を取る)

いつもお店に足繫く通ってくれるリスナーは戸惑っているだろう。
そりゃそうだ、目の前にはグラスやリキッドではなく生魚が並んでいるんだ。
私は私でガッチリ和食の、これぞザ・板前な姿をしてお茶を注いでいる。

さすがの歴戦のリスナーだとしても、これで戸惑わないわけがない。 (ちょっとワクワクな感じ)

「えーっと、じゃあコハダで」 (棒読みっぽく無機質に)

そんな私の予想を覆すように、驚くそぶりも見せず、あっさりと注文を入れてくるリスナー。
しかもコハダからって、通かよこいつ。 (ちょっとイラっとした感じで)

動じないリスナーに少し同様しつつ、絶品の寿司を握る。
もちろん中には大量のワサビ…も仕込まず、普通に食べてもらうか。

こうなったらこっちも意地だ。
突飛なことしなくても味で驚かせてやる。

「へい、コハダお待ち」 (大人な板前っぽく)

スッと下駄の上に置くや否や、リスナーは私の手ごと握らんばかりのスピードで寿司を摘まむ。
そして口の中へ… (ナレーション部分)

どうだ…うまぴの料理だぞ、さぞ美味かろう? (ちょっと野心家っぽく)
目を細めてそう思う私を肩透かしするように次の注文を出すリスナー。 (ナレーション部分)

目を輝かせて「はぁ~ん、美味しい!蕩けちゃう!!」みたいな反応ははなくてもさあ…
せめて軽く頷くくらいしてくれよ… (ノリノリだけどあきれてる感じで)

などと思いつつも、次の寿司を握る。 (ナレーション部分)
しかし何故こいつはコハダの次に上寿司をセットで注文するんだよ。
何ならそこにコハダもう一個入ってるわ。 (ちょっとイラっとした感じで)

そうしてリスナーとの我慢比べは続いたが「じゃあお愛想」の一言であっさりと幕を閉じた。
お代を言うと彼は徐に紙幣を出し「美味しかった。赤スパだ、取っときな」と、おつりも貰わず帰っていった。 (淡々と読み上げる)

一体何だったんだよアイツ… (ちょっと悔しい感じ)

でもその小さな一言が次のやる気を引き出してくれるのは間違いない。(明るいナレーション部分)
さて…次はどんな店にするかなあなんて思いつつ、私は暖簾を仕舞った。

いつも、ご来店ありがとうございます。 (思いっきりデレて)

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