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聾学校時代

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幼稚部から中学部まで13年以上通った聾学校時代のNoteをまとめています。 ※マガジン分類は今後変わることがあります
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2020年3月の記事一覧

私には小学生に上がる前の記憶がほとんどない。驚きにあふれた世界で、子どもらしく生きること。

聾学校幼稚部の年長のときだったと思う。 教室の棚にセロテープがあった。セロテープの歯にそっと人差し指の腹を当ててひっかくと、うっすらと縦何本かのひっかき傷ができる。だが血は出ない。 これを「発見」した私は興奮した。この驚きを誰かに伝えたかった。近くに、1つ下の子がいたので呼び、喜び勇んで教えた。その子も、おおおと驚き、セロテープの前で、2人で興奮していた。 幼稚部にはホールがあって、ホールに3つの教室が面していた。教室への出入りには、ホールを通ることになる。 セロテープ「発

かつて聞いたことのない声を発音する難しさ。私は「うがい」が嫌い。

わたしは苦手な発音がたくさんある。とくにカ行を苦手としていて、これは幼少のころから周囲に何度も指摘されていたのだけれど、何度訓練をしてもできなかった。 カ行の発音訓練では、必ずといっていいほど、うがいをする。うがいをするときの舌の動きがカ行と同じらしいのだが、私には未だによくわかっていない。 私はうがいが嫌いだ。うがいを何度もやって、うがいの途中に水を飲みこんでしまい、むせたことも数えきれない。うがいをしているのか発音練習をしているのか分からなくなり「正しい」うがいができな