私は子ども時代、ずっと1人で本の世界を泳いできた。1人で、本の世界を楽しむことが当たり前だと思っていた。
聾学校の図書室は、いつ行っても誰もいなかった。
自分しかいない図書室で、私はゆっくりと図書室内を回りながら本を物色した。6畳ぐらいの広さしかない図書室だったので、あっという間に一回りできてしまう。そこに新刊という概念はなく、そこにある本は何年も変わっていないように思えた。
私はいつも1人でふらっと図書室に寄り、1人で本を物色し、1人で貸し出しカードを書き、1人で読んだ。聾学校からの帰り道、本を読みながら帰った。そして1人きりの図書室で、本を返した。誰とも本の感想を言い合うこ