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日記32 EDO↔TOKYO

おはようございます。目覚ましを一つかけ忘れていたようで、ちゃんと機能したもう片方が鳴らなかったら寝過ごして延長料金を払うところでした。焦りに焦った江古田のホテルから2日目がスタート。

今日は特に確定した予定もなく、日付が変わる直前に東京駅のバスターミナルに行って帰りのバスに乗るだけ〜というノープランデー。行き当たりばったりを楽しみつつ、やり残したことがないように東京を満喫していこう。


Chapter6:WBCの余韻が……

東京駅にキャリーバッグを残していざ出発。都営とメトロの1日券を購入してどこへでも行ける態勢を整え、この日夜に行く場所の下見をしつつまずはこの場所へ。

(イマイチ伝わらない)

東京ドーム、読売ジャイアンツの本拠地だ。一応、中で試合を見たこともある。しかし今日は別に試合を見に来たわけではない。(ちょうどこの日はドリカムワンダーランドが開催されていたので人はめっちゃいた)この日のメイン(実際はお目当てではなかったが、おもしろそうだったので…)はこちら。

野球ファンの聖地

プロ・アマ問わずあらゆる野球の歴史が学べる野球殿堂博物館。一度来たことがあってすごく面白かったので今回も立ち寄ることに。するとなんと、ちょうど今春に日本を熱狂させたWBCの特別展が開催されているということで、喜び勇んで見に行くことに。

Champions Medal

展示品は撮影OKだったが、選手の写真なんかは権利の関係で映せず。またnoteのようなSNSに載せて良いかも調べたけどよくわからなかったので、恐る恐る1枚だけ。そう、WBCの優勝メダルである。

まだWBCフィーバーが冷めやらなかった4月の終わり頃から、WBCの優勝トロフィーやら優勝メダルやらが日本のプロ野球本拠地を順番に廻って展示会が行われた。かくいう自分もバンテリンドームナゴヤの観戦日と見事に被ったので行ってきたが、もう信じられないぐらいの混雑。スタートと同時に並んで2時間ほどかけてようやく数秒の写真撮影ができる程度で、出てきた時にはなんと4時間待ちという恐ろしさ。それだけ日本が盛り上がったからいいんだけどな……と思ったことを覚えている。 

(その時はこれが限界)

しかしなんと、この日の野球殿堂博物館は休日の昼間ではあるが空いていて、トロフィーもメダルもかなり近づいて撮影できる。細かい意匠までよく見えて、あの感動が蘇る。それ以外にも、実際の日本戦で使われたベースやオオタニサンが準決勝の9回に2塁打を放った際に1塁ベース上でぶん投げたヘルメット(?「実使用ヘルメット」の文字とその時の写真が添えられていたのでたぶん…?)やら着用ユニフォームやら………とにかくあの感動の一番近くにあった品々がこれでもかと並ぶ。

またWBCの歴史ということで、過去の優勝トロフィーやイチロー選手のユニフォームなんかも飾られている。そんな展示にいちいち興奮し、結局あると知らずに行った野球殿堂博物館でかなりの時間を過ごした。間違いなく日本野球の歴史に残る瞬間となった感動の全てがそこにあった。

Chapter7:めくるめく都営交通

思わぬ形で湧いてでた感動の余韻を引きずりつつ、時間も押してきたので次の目的地へ。次の目的地……というか「目的」は、都営交通を楽しむ!というもの。東京都交通局はちょっとおもしろくて、よくある「バスと地下鉄」以外にも、「新交通システム」と「路面電車」を運営している。そしてこの2つにかなり長いこと乗っていなかったので、久々に乗りに行くことにした。

トップバッターは新交通システムの日暮里舎人ライナー。JRと接続する日暮里駅から見沼代親水公園駅まで、鉄道空白地帯の荒川区〜足立区を南北に駆け抜ける。開通したばかりの時期に一回乗ったか乗っていないか程度のものだったので、かなりお久しぶりだ。

熊野前駅

かなり混雑していたので写真どころではなかったが、改めて車窓を見ると面白い。地平線の向こうまで、途切れることなくビルやらマンションやらがびっしり。名古屋でも多少川が見えたり木々が見えたりするものなのに、見事なまでに街、街、街。これが世界有数の人口密集地域にして日本の首都、東京の「住」の姿なのだなと実感する。

高速道路と駅。このごちゃごちゃ感も都会らしい。

西日暮里から熊野前まで、数分の空中散歩を堪能。地上に降りて、今度は路面電車の都電荒川線へ乗り換える。都電荒川線、通常東京さくらトラムには乗った記憶がなく、もしかしたら初めてかもしれない。東京の下町を貫く路面電車とはどんな景色なのだろうか。

熊野前電停。意外と狭くて怖い。
前面展望

のってみると、やはり時間帯(土曜昼)的にも地元の足らしく敬老パスを持ったおじいちゃんおばあちゃんの利用がほとんど。地域密着型の鉄道という感じがする。走り出す時にはベルを鳴らし、下町らしい景色が広がりつつも遠くにスカイツリーが見える……という、江戸と東京の境目を縫うような小旅行だった。

レトロ!

熊野前から揺られること十数分、終点の三ノ輪橋に到着。周辺は大正〜昭和あたりの面影を再現した飾り付けになっており、とってもおしゃれ。

広告もナイス
三ノ輪橋商店街

下町下町と言ってきたが、ここはまさしくその真骨頂のような場所。駅前の商店街は開通当初の面影がなんとなく感じられるような空気感でタイムスリップしたような景色。実は当初は三ノ輪橋と逆の方向に乗るつもりでいたのだけど、アドリブの方向転換が結果としてとてもナイスな場所に連れてきてくれた。

さて、その方向転換がなぜ起きたのかというのが次の目的地と関係している。地図を眺めていたとき、三ノ輪橋と浅草がちょうど南北の位置にあることに気づいたのだ。浅草も長らく行っていないし、行ってみたい場所もあったのでこのルートに決定。

これも都営交通。

これもいつぶりに乗ったかわからない都営バスで南へ。最近、バスの楽しさに気づくと同時に、旅先でも積極的にバスをルートに組み込むようになった。バスは電車と比べてもより生活感が強い交通機関だし(主観)、街の景色がよく見えて楽しい。数分のバスの旅を楽しみ、いよいよ浅草へ。

Chapter8:浅草、寺、神宮

これぞ浅草。

浅草に着いたのは14時頃。やりたいことはあるけど、まずはお昼を食べることにする。「そういえば江戸前そばなんてのもあったなぁ…」と思い出し、バスの中で見つけたちょっと良いお蕎麦屋さんの「尾張屋」さんへ。160年の歴史を持つ名店。基本的にはそばが美味しいが、この店は天ぷら、特に海老天がすごい。いい値段だが、めちゃくちゃ分厚くて美味しそう……昨日そばをもう食べていたので、思い切って天ぷら定食を頂くことにした。

最高。

この迫力、写真ではなかなか伝わらないがものすごい。間違いなく過去の人生で食べた中でも最上の海老天。天つゆにつけて一口食べると、カラッとした衣と海老のプリプリな食感が混ざり合って感動が生まれる。味付けも素晴らしい。こんな名店に一人でいることに若干気後れしつつも、伝統の味にテンション上がりまくりだった。

さて、腹ごしらえも終わったので浅草を散策。訪れてみたいと思っていたのはここ。

浅草演芸ホール&東洋館

浅草の芸能の中心、浅草演芸ホール。行くまでは場所を知らなかったので驚いたが、ナイツやツービートを生んだ漫才劇場の東洋館もすぐ隣にあり、ちょうど自分が着いた時間帯にはナイツがネタを終えたあたりだったらしい。若手芸人さんが一生懸命ビラ配りをしていた。本当は中まで入りたかったが、この後の予定により断念(もっとも、この後の予定というのが……)。ここまでの道にも浅草寺の観光を楽しむ人達が沢山いて、観光の目玉浅草の空気感を存分に楽しむことができた。

駅に移動して銀座線に乗り込み、浅草を出発。次の予定の前に少し寄り道することにした。その行き先が……

慌てていたのでピントが……

東京ヤクルトスワローズの本拠地である神宮球場。この日はタイガースとのナイターゲームが行われるところで、球場周辺は両チームのファンで賑わっていた。グッズショップを軽く見た後球場まで歩き、写真を撮ってすぐに駅へ。この日、全然関係ないイーグルスのTシャツを着ていたので逃げるような観光(?)ではあったが、東京まで来た以上行っておきたかったので良かったことにしよう…。


Chapter9:ニッポンの話芸

銀座線で渋谷、そこから副都心線に乗って新宿へ。ここが本日のメインイベントの最寄り駅である。そのメインイベントがこちら。

トリの師匠方への旗も。

先程訪れた浅草演芸ホールと並ぶ落語色物寄席、新宿末廣亭。今をときめく人気講談師の神田伯山先生のYouTubeをきっかけに落語(寄席)に目覚め、ずっと来たいと思っていた寄席についに来ることができた。末廣亭は基本昼席と夜席の2公演ありそれぞれ演者も違うが、今回は「9月上席(夜の部)」に間に合うように、16時を少し過ぎた辺りに到着できた。チケットを買うとすぐに中に通されたので入ってみると、まだ昼の部のトリである三遊亭笑遊師匠の高座中。(寄席は基本的に昼夜入れ替えがないので、チケットを買えばその日は昼の部から夜の部までずっといられるのだ)終わり際だったので数分ではあったが、伯山ティービーで観ていた笑遊師匠を生で観られて既に感動。ネタは「蝦蟇の油」かな?

無事に昼の部が終わり、慌ただしい転換を観つつ席へ。自由席なので、ちょっと日和りつつも割と前の方の席を陣取る。プログラム(番組表と言う)では16時45分開演だが、実際は顔付に含まれていない前座さんの出番がその10分前ぐらいから始まる。この日は前座の三遊亭ば馬さんから始まり、番組表のトップバッターである三遊亭遊七さんからいよいよ本編(?)スタート。遊七さんは伯山ティービーでも観たことのあるクールな女性落語家というイメージだったが、ネタの「元犬」で登場する犬をめちゃくちゃ可愛らしく演じていてギャップに驚いた。

そこからは寄席らしく、落語や色物(マジックや漫談など)が入れ替わり立ち替わりに披露される。全員の感想も別で書いたがあまりに長いので省略。個人的には、マジックの北見伸先生や動物モノマネの江戸家まねき猫先生、仲入り前の三遊亭遊三師匠(笑点でおなじみ小遊三師匠の師匠)の熟練芸が特に素晴らしかった。

寄席にいて思うのは、かなり客席と舞台の距離が近く、演者さんがデカく見える。過去に行ったことのある落語会は基本的にホールだったので、どうしても広い舞台にぽつんと一人、という印象が強かった。ところが寄席はおそらくどの席からでも距離感が近いので、マイクを通さない生の声までよく聴こえる。落語を芯から楽しむためには、やはり寄席が一番いいのでは?とすら思えた。

仲入り(休憩)後のラインナップは特に素晴らしかった。仲入り明け(要は後半の部)のトップバッターだった春風亭柳雀師匠は伯山先生をアドリブでイジるウィットさを披露し、この日たまたま代演で出られた活動写真弁士の坂本頼光先生は伯山ティービーで観てからずっと一度は観てみたいと思っていたので感動。続く柳亭小痴楽師匠もやはり伯山ティービーの常連で、「画面の向こうの人達」を間近で見られて大興奮。もちろん芸も素晴らしかった。トリの三遊亭遊喜師匠までたっぷり4時間ほどだったが、本当に来てよかったと思える充実の時間だった。これは、東京に来るたびに寄席に行かないと満足できなくなってしまったかもしれない…。

楽しかった!


Chapter10:夜景見ても一人

末廣亭を出たのは20時30分を少し過ぎた頃。しかしバスの時間はかなり遅いので、もう一イベント楽しむことに。新宿三丁目駅から地下鉄を乗り継ぎ、神谷町へ。あまりにも空腹だったので近所の吉野家で牛丼をかきこみ、最後の目的地まで急ぐ。

TOKYO TOWER

2日にわたる東京旅行のトリを飾るのは東京タワー。これまで東京に来た時は基本的に夜になると帰るか、ホテルにいるかの二択だったので、そういえば東京タワーからの夜景を見るのもいいな…と思ったわけだ。当然周りはカップルとインバウンドしかいないことは明白…だが、過去に一人でスカイツリーに登ったことで鍛えたメンタルを引っ提げいざ展望台へ。

つ、伝わらねぇ……

これ、伝わらないけどめっちゃキレイ。想像していたよりずっとキレイだ。スカイツリーほどの高さはないけど、その分建物の高さ感覚も近くていい感じ。周りは言うまでもなくそういう人たちしかいない中であまりパシャパシャ撮っていても気持ち悪さが増大するだけなのでなるたけ控えめにしつつも、やはり感動してしまう。

お台場を望む(わかるか!)。

プロジェクションマッピングをやっていたり展望室も基本暗くしてあるがどうしても部分的に明るいところがあってそこだと反射で館内が映り込むなんてこともあったが、肉眼で見る分には問題なし。昨日歩いて渡ったレインボーブリッジもライトアップされて美しい。100万ドルとは言わずとも、それなりに見るべき景色だと心から思える素晴らしさだった。


Chapter11:Good Bye, TOKYO!

東京タワーを後にして、東京駅へ。激込みの東京駅鍛冶橋駐車場を予定通りに出発したバスは深夜高速を駆け抜け、西へと走る。東京の余韻を残しつつ、次来た時はあそこに行こう(主に野球か寄席)、あれに乗ろう……とか考えていたらほぼ一睡もできなかった。

ともかく、初日は空(?)も海も大地も駆け抜けて、2日目は歴史ある江戸と100万都市東京とをタイムスリップするように満喫した2日間。弾丸旅行だったけどすごく楽しかった。こういう、体を使って心を休めることって普段はなかなかできないもので、でもすごく大事だなと実感した旅でした。


EDO↔TOKYO