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写真は垂直に

石内都写真展 / 横浜美術館

石内さんの写真展、ここのところの写真、代表作になっている、大型のプリント群です。展示スペースが各テーマごとに分かれていて、とても見易い。

天井が高いトコロのスペースには、古い着物(銘仙やら)が天地方向に拡がっていて、ああいいなあ。この銘仙という着物、ボクが小さい頃は、少しバカにされた様な言い方で、

「メイセンだけど」なんて言われた着物。今見ると自由闊達な柄でびっくりする。それにしても、広島市の「ひろしま」展でも感じたのですが、石内さんの写真、天の方向への拡がり、どこまでも昇っていく突き抜けていく感じ、いいなあ。ロウアングルというのとは違うでしょうが。横方向とも、奥行き感とも違う、垂直感。横浜という土地の感じも石内さんには良かったと思いました。

横浜中心近く、山下公園のすぐ近くに今はもう取り壊された古いアパートメントの写真集を、展覧会に合わせる感じでデザインしました。まだまだ横浜らしい感じが残っている一角で、小さい時友達といつもブラブラしていました。小さな輸入関係の商社やらがありました。最近の横浜は晴れがましいトコロにどんどんなっていて、とりとめが無い感じ、横浜特有の後ろめたい感じがドンドン減っていって、街全体があからさまな観光地。今回大桟橋にも所用で行ってみたのですが、ずい分前から変わっていてあの大桟橋はもう無いのです。

石内さんの写真、昔を懐かしむとか、ある種のメランコリーな感じとは無縁です。今ある、それこそ残された物への石内さんのイメージとして、再現されている様に思いました。

原 耕一 2018.1

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