#day105 2022/3/10 手術後101日目 転院84日目 午前リハの先生とお別れ

1時過ぎに目が覚める。色々とやっていたら眠れなくなり3時半まで。そこからの目覚めは5時過ぎ。三度寝は諦めて昨日の日記の続きを書く。

6:10に外の景色を撮影。明けの明星(モーニングスター)とブルーモーメントを久しぶりに見た。


洗髪とヒゲ剃り。
やってることはこれまでと変わらないけど、あと数回と考えると少し感慨深くなる。


8時になって朝ごはん。


リハビリ前の検温。37.0℃。
足の調子は悪くない。


8:35から午前のリハビリ。

今日もいつも通り。ただ、今日は午前の先生の最後のリハビリなので、これまでのお礼と感謝の気持ちを伝えないといけないし伝えたい。エゴなのは分かってるけど。問題は伝えるタイミングと内容。先生がお話ししてくれそうな雰囲気だったら、リハビリ始めに伝えることも考えたけれど、いつも通りだったのでリハビリ終わりに伝えようかな、と決める。

リハビリ内容は、ここ最近とは違い、仰向けでのストレッチから。うつ伏せになって大腿四頭筋のストレッチまではこれまでにやってもらったことがある流れ。

そこからは初めてやってもらうマッサージに移行。背中側の首からつま先までマッサージしてくれた。あまりにも気持ち良すぎて寝てしまいそうになる。リハビリ最終日なので、今日は疲労が残るようなトレーニングは行わず、身体のケアだけで終わるのかな、と思い始める。

起きて靴を履くように指示される。靴を履くと、いつもよりも離れた場所に先生が立っていて手招きをされる。いつもの歩行練習かな、と思って歩き始めると、先生は先導するかのようにリハビリ室の外に向けて歩いていく。先生が向かった先は階段。階段上り下り練習かな。

今の私よりも数段歩くのが速い先生が待つ階段入り口までたどり着くと、先生は階段を降りていく。階段の下は1階。コロナ感染の可能性もあって、外来患者の出入りする1階への立ち入りは、レントゲンなど特別な場合を除き、入院患者には禁じられている。

そんな場所に降りていく先生を見て、今日のリハビリは終わり、先生は1階に用事があるから降りていってるだけ、なのかと思って
「今日はもう終わりですか?」
と投げ掛ける。

手招きする先生に困惑しながら、後を追って1階に降りる。

1階で待っていてくれた先生に追い付くと、先生は自動ドアを通って病院の外に出ていく。

おいおいマジか…。

++++++

病院の外を歩くのはリハビリのメニューの1つだ、ということを知ったのは、私が転院してきた当初に同室だった先代のお隣さんから教えてもらった時だった。先代のお隣さんはコロナ重症化からの回復期にあって、体力を付けるリハビリを中心にされていた。病室での日常会話の中で、彼がリハビリの一環として外歩きを毎日されているということを知った。

転院前の広い病院と比べて、転院後の狭い病院での軟禁生活に飽きて来ていた当時の私は、一時的にでも病院から外に出ることを渇望していて、その話にかぶりついてしまった。先代のお隣さんは午前の先生との関係が良好で、ものすごく楽しそうに見えていたのも、その理由の1つかもしれない。

先代のお隣さんがそのことを午前の先生に伝えてくれて、まだ車椅子生活だった私は午前の先生と「歩けるようになったらね」と約束を取りつけることが出来た。

ただ、その後に私の回復具合が先生の計画通りに進まなくなり、数週間前に「入院期間中に外を歩くことはもう無い」と告げられていた。私がやらかしたせいで、先生との関係性を悪くしてしまっていた影響もあったかもしれない。

そんな経緯があったので、入院期間中に外を歩くことなんて考えないようになっていた。

++++++

一足先に自動ドアの外に出た、先生の赤い髪が風になびくのを見て、病院の外は風が吹いているのが分かった。3ヶ月ぶりのエアコン以外の風は、自分にとってはもはや日常では無く、非日常のものになっていた。

先生は後ろを振り返ることなく、無言のまま病院の敷地を出て一般道を歩いていく。歩く速度は私よりも速い。私より少し前を行く先生に何とか追い付いて、横に並んで話しかける。

今日のマッサージは気持ち良くて眠りそうだったこと、先生の新しいジャケットのこと。話の触りとして聞いてみる。反応が良くなかったので、お礼だけを伝えることにする。

昨日、午後の先生に伝えたのと同じ内容を話し始めると、「午後の先生から聞いた」と遮られる。そうか。もしかしたら、今日急に外歩きに連れて来てくれたのは、お礼を伝える機会を与えてくれるためだったのかもな、と思った。違うかもだけど。

伝えたいことの大枠は既に伝わってるようなので、午前の先生に感謝したいことだけを伝える。

関係性が悪くなる前までは精神面のケアも含めて色々と助けてもらったこと、関係性が悪くなってからも治療を続けてくれたこと、色々とやらかして迷惑をかけたこと。

私がやらかしたせいで杖は取り上げられたけど、杖を取り上げても良い時期だと判断できる程度には見ていてくれたこと、杖を取り上げられた結果、病棟での杖無し歩行の許可をもらえたことで結果的に歩行の練習になったこと(嫌味じゃなく本当に感謝してる)。

そんな感じのことを伝えた。

先生からも、言葉を色々ともらった。話しかけても返事をもらうことも難しい状況が続いていたので嬉しかったのと、堪らえて返事をしてくれてるんだと思うので有り難かった。

  • 自分が頑張った成果だから自信を持って

  • もう戻ってきたらダメ

  • もし戻ってきても担当から外してもらうわ。もうコリゴリだわ。

って言葉をもらった。もうコリゴリってのは本心だろうけど、半笑いで言ってくれたので少し別の意味も入ってるようにも感じて、ありがとうと笑顔で返した。


病院に戻ってきて、病室まで送ってくれた。

病室に戻る途中で、嫌われてしまってからは対応し続けてもらうことに申し訳なく思ってた、と伝えると、嫌いでは無くて「無」の存在になっただけ、と返してくれた。先生にとって、病院の患者で「無」になったのは私が初らしい。ある意味すごいよ、とも。


病室で最後の挨拶と、元気でね、という言葉をやり取りしてお別れ。先生は御礼の品を受け取りに来られたのかな、とも思ったけど、それは明日帰るときにナースステーション経由で渡すことにしてるので、今日手渡しするのはやめておいた。

これでお世話になったお二人とはおしまい。
本当に感謝してます。


お隣さんとお話タイム。

前からお隣さんと話している、午前の先生は本当は良い子で性格も良い、仲間を守る意識が強い、って話をもう一度する。私がやらかしたせいであんな関係になってるけど、本当はああじゃないんだよ、って感じで。


話が終わってから、背筋と腹筋と左肩の外旋チューブ引き。回数はいつも通り。
病院でやるのはこれが最後かな。


12時になって昼ごはん。



今日の午後のリハビリは14時からなので病室で待機していたら、看護師さんが回診に来られたのでそのまま検温。37.0℃。低い…。

これは物議を醸すかもなぁ…。
足の痛みを我慢しながらナースステーションまで歩いていく過程で体温が上がるのかな。いまだによく分からない。

14時から、午後のリハビリ。
午後の先生は午後休みなので、担当はピンチヒッター新人男性先生。

メニューはいつも通り。
ベッド上での筋トレ(右足の開脚アイソメトリック、お尻上げ、横になっての膝開脚)、フロントランジ、踏み台昇降運動、歩行練習10分間、エアロバイク10分間。

彼とも今日でお別れ、ということもあって、メニューの間の会話が自然と長くなってしまう。前から少し話してはいたけど、彼と私は似たような境遇にあったりするので、お互いに大変だね、なかなか難しいね、という話をする。まあ頑張ってれば道は開けるよ、って感じで話は落ち着いた。

リハビリ間の休憩中にリハビリ室内を見渡す。病室内の見える範囲に、以前担当してもらった先生4人のうち、3人がいるのが分かる。いない1人(スラムダンク好きサッカー先生)は今日はお休みのようだ。

歩行練習中に、以前担当してもらったノースフェイスガールにお礼を伝える。リハビリ終了後に病室へ戻る途中で、TWICE先生と出会ったのでお礼を伝える。残りの一人、空手家先生は患者さんとお話し中だったので、声をかけるのを諦める。まあ仕方ない。

新人男性先生によると、退院時に先生にお礼を伝える人の方が少ない、とのことだった。そんなものなのかな。

リハビリ後に病室まで送ってもらって、彼ともお別れ。お世話になりました。



ベッドで横になってお隣さんとお話していたら、廊下の方から整形外科医の声が聞こえてきた。30分ほど待っていると、整形外科医が病室まで来られた。


前回に引き続き、整形外科医は満面の笑みで、

  • 前回のレントゲン写真を見た時はどうなることかと思った

  • 今回のレントゲン写真では仮骨がかなり形成されていて安心した

  • まだ完全では無いが、退院しても問題ないと思う

という説明をされた。
前回の診察時に少し不信感も抱いてしまっているので、素直に聞き入れられなくなってしまっているのは否定できないが、お世話になったお礼を伝えてお辞儀をする。


レントゲンの写真を見ると、整形外科医の先生が言われる通り、骨の隙間がうっすらと白くなってきている。でもまだまだ。油断は禁物。



挨拶し忘れた人はいないかなぁ、と考えながら、出会った看護師さんや補助の方、患者さんに挨拶したり会話したりする。

今日の担当の看護師さんたちにはひと通りお礼を伝えた。いや、看護師長さんに伝え忘れたわ。
ナースステーションの向かいにあるロビーには、車椅子に縛り付けられた年配の患者さんたちがいる。彼ら/彼女たちは、程度の差はあるけれど、ほぼ痴呆を持たれている。今までお話させて頂いたことのある4人の方のうち、一人を除けば、私のことを覚えている人はいないと思う。それでもお礼とお別れを言いたくて、あえて話しかけた。完全にエゴかもしれないけど。

最初は、つい先日お話しした、年配の女性二人組。お一人は自分が現役の看護師だと思われている方、もう一人はホテルにお茶を飲みに来ていると思われている方。
お二人からは、私が「ホテル(この病院のこと)のボーイ」と思われているので、このホテルから別のホテルに転職することになりました、お世話になりました、お元気で、と伝える。お二人は私の言葉に何の疑問も持たずに、どこのホテルに転職するの?元気で頑張ってね、と笑顔で後押ししてくれた。これで彼女たちの夢の中の世界ともお別れ。

次は、以前の日本代表サッカー戦の時にお話しした、いつも靴を脱いだり履いたりしている年配の男性。
彼からは、私が「学校(この病院のこと)の住み込みの用務員さん」と思われているので、この学校から別の学校に転勤することになりました、お世話になりました、この学校は別の用務員が火事にならないように管理するので安心してください、離婚の話で色々とアドバイスを頂いて有難うございました、と伝える。彼は何の疑問も持たずに、私のアドバイスが役に立ったなら嬉しい、元気で頑張ってくれ、と後押ししてくれた。

次は、顔を合わせるたびに、笑顔で「元気?」と投げかけてくれる年配男性。この中では一番お話した感じはしっかりされていて、痴呆があるのか分からない程度。ただ、いつも私に車を買ってくれようとするくらい。
彼からは、私がどう見えているのか聞いたことが無かったので、普通にお礼とお別れの挨拶をさせてもらう。お酒の話を色々と聞かせてくれたお礼も。

「ケガしたのはサッカーで、だったっけ?」

いえ自転車なんです、と答えると、ああそうだったか、危ないから気を付けてね、と返してくれた。

車を買ってくれようとするのはいつも通りで、

「退院するんだったら、連絡が付くようにだけしておいてくれ。車を買ってあげられるように」

と言われた。

お気持ちだけで有難いです、若い看護師かリハビリの先生にでも買ってあげてください、と言うと

「君に車を買ってあげるのは、私が退院した後に運転手としての仕事をあげるため、っていう目的もあるんだよ」

と返ってきた。
彼のリハビリ時の動きを拝見する限り、退院はまだ遠そうで、実際に退院できるのかすら分からないけど、退院する意欲があるのは伝わってきた。

彼には申し訳ない気持ちだけど、連絡先は看護師さんには伝えずに、お別れの挨拶を交わしてロビーを後にした。

完全なる私のエゴ。だけど、今まで接してくれた人に何も言わずに背を向けるのは何となく出来なかった。



ロビーから病室方向に歩いていると、最近よく話をさせてもらってる年配の女性と会った。彼女とは整形外科医に悩まされているという共通の悩みがあって、今日もその話になった。彼女の退院はまだ先だと思っていたけど、私の二日後に決定したよう。彼女の表情は明らかに明るくなっていて、いつも以上に饒舌になられていた。
話し込むうちに、彼女と旦那さんとの馴れ初めや結婚生活、彼女と旦那さんの結婚前の恋愛遍歴まで、こちらから積極的に聞き出した訳では無かったけれど、聞かせてくれた。結婚前に遊んでないと結婚後に問題が起こったりする、って話に落ち着いた。


18時になって晩ごはん。

ここで晩ごはんを食べるのも、これで最後。



セーフスをやっていないことを思い出して、慌ててやる。昨日は、やるのをすっかり忘れていた。


その後はお隣さんとのお話タイム。いつものようなお話をしてるうちに、あっという間に消灯時間になっていた。


消灯後は、お隣さんが寝てから行動開始するつもりにしていた。
お隣さんの寝息が聞こえてくるまでは暗闇の中でジッと待った。
寝息が聞こえてきたので、さあ今から動くか、と思っていたら、寝息のリズムが心地よく、そのまま寝落ちしてしまっていた。
wordleもやってない。

21:15ごろ就寝。

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