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変わることについての話。

昔は「ぜっっっっったいにホールにはでない」って宣言してた隊長、ある年から出るようになった。
出るようになったというか、最初は出ざるを得なくなって出たって感じだけど、
最近ではちょろちょろ片付けに出たり、お客さんに話しかけたりもしてて、おおーすごい変化だなと思いながら眺めている(実際は作業に追われているあいまにちらりと目をやるくらいだけど)。

ふたりでやってると、それぞれの作業の分担ができてきて(もちろん共通にやる作業もあって、途中でスイッチングしたりもするけど)、わたしが厨房で中断できない作業にはいると、隊長が外に出てお客さんを迎え入れたり、オーダーとったりしてくれる。

何年か前は絶対NGだった、
それが人って変わるもんだ。
ほんとにすごいことだな、と目にするたびに思う。

人はそうそう変わらない。
変わろうと思ったってなかなか変われないんだから、他人が何言おうが、外部からの圧力で変わることなんてあんましない。
中身や考え方が変わらないままなのに、変わったふりをするから心が壊れてしまうんだ。
または、変わることが誰かの命令に従うことのような気がして、屈辱感を感じることもある。

だから、わたしは「こうするようになってよ」とか、「こうしないとダメだよ」とか言わないようになった。

人が変わるとき、それってなにかこう、こうしなきゃって強い思いができたり、考えが変わったりしたときなんだろう。

隊長にとって、それはなんだったんだろう。

きっと、そんなこと聞いても答えてくれないだろう。だから聞かない。


きのうも今日もお客さんに話しかけてた。

いつも来てくれるけど、会話することもない、
会話することはないけど、お店についてくれている、
親しみを感じるけど、何も知らない、
何も知らないけど、その人に対する安心感がある、
そんな人にふらりと近づいて、ふと話しかける。

わたしはそれをちらりと見る。

何を話してるのかわからないけど、それでいいのだと思う。

帰り際、私にでなく、厨房に手をあげて(または目をやって)挨拶する。

そういうのっていいな、と思いながら、またいつもの作業に戻る。


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