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ねらうところの話。

おとといも 先おとといも来てくれてたひとが、昨日はパンだけ買いに寄ってくれた。
右手にはパン屋さんの袋をさげて、うちのパンも買いに来てくれたらしい、嬉しかった。

たべるもの、コンビニでもスーパーでも、パン屋でも焼き菓子やでも、カフェでもほかの飲食店でも、お客さんがいろいろ選べる環境って良い。

あっちで食べて🍽こっちでコーヒー買って☕️

あっちでパン買って🍞こっちでプリン買って🍮

あっちでラーメン🍜こっちでお菓子かって🍩

あっちでごはんたべて🍚こっちで飲んで🍻

いろんなお店があれば、値段やメニュー、シチュエーション、気分に応じてつまみ食いできるってこと。

お店にとっては競争ってことになるんだろうけど、それぞれが自分のやることに集中できる、つまり全体として分業できるわけだから(なんでも屋さんになる必要がない)、それってお店にとっても都合が良い。

やらなくてもいいことはやらなくてもいい。

極端なことを言えば、自店ターゲット顧客以外はほかのお店に任せておけばいいのだし、

そのお店を使いたいか使いたくないかはお客さんの自由意志に任せておけるので
(そこしかお店がないので仕方なく使うという状況がないから)

そうして選択してもらえるならお客さんは途切れないだろうし、逆に選ばれなければ淘汰されるだけだ。

そう割り切ってやっていかないと、「選ばれる」方にはなれない。

メニューのすべてがなんとなく幅広く対応できそうなものなのだけど、でも、あとひと押しが足りないような.... ぼんやりとしたお店。

凡庸性があって便利なような気もするけど、実際は「この時使いたい!」という動機に至るまでの決め手に欠ける。

いろんなメニューがあってどれもそこそこの味だってレストランより、
カレーしかないけど飛び抜けてイケてるカレーショップの方がなんか惹かれるでしょ?

まぁ、うちのお店はいろんなメニューやっているから「凡庸性たかい」って思ってるひともいるかもしれないけど、その実、
使い勝手とか目的から見るとわりとターゲットが絞られていることがわかる、そう知ってるひとも多いと思う。

さて、パンです。

段階を経て、トライを繰り返しているやつ。

ぱっと見 ふつーの食卓パン。

何とあわせても合いそうな、間食にぱくり、というのもよさそうな丸パン。

長く説明すると、

ふんわりで、でもしっとりしてて、だけど歯切れがよくて、ソフトなんだけどしっかり目が詰まってて、ちゃんと食べた感がある、そしてその食味が長くつづく食卓パン。

焼き戻すと皮目がうすくパリッとして美味しい、そのままでもやわらかでおいしい。

何度か焼いて、配合や作り方を頭の中で組み立てて、そうしてイメージに近づいてきた。

これには元のイメージがあって、それはむかーし働いてたイタリア料理店のパンなのだ。

シェフのつくるピッツァ生地、スイートなフォカッチャ、プチパンは繊細で美味しかった。

レシピは知らないし、作ってるとこも見る機会がなかったから(その頃生地類は二号店で仕込んでいて、一号店に運んでくるスタイルだった)、どうつくるか詳しく知らないけど、その味はよく覚えてる。

もうそのお店はない。
シェフは小麦粉アレルギーになって、現場に立てなくなってしまったからだ。

パンを焼くとき、いつもそのパンを思い出しながら作っている。
フランスのパンとは全く違う、イタリアのリーンな生地で、それを日本のテイストで繊細に作りこんだパンだった。
それを毎日食べてたけど、この先も毎日食べていたい、そう思うパンだった。

で、今回はとてもイメージに近い仕上がりになった!
で、さらに、いままではふつーーの小麦粉(と、あと国産全粒粉と、ライ麦粉)を使っていたけど、昨日はイタリア粉とパン専用粉を仕入れたので、今日からそれを使って焼くことにした。

もちろん、今まで通りサワー種をもとにした中種も使う。

できあがったら、むかーし、そのレストランに食べに来てくれた姉家族に食べてもらうんだ。

その頃ちいさかった甥っ子が、「あのピッツァは美味しかった」って言ってたって聞いてから、ずっと、いつか再現して食べてもらいたいなって思ってた。

これは、ほかの生地の根幹イメージにもなる。

パンをあれこれ売りたいなら、ぱっと目を惹く組み合わせや、見た目のよさ、そしていろんなものを巻き込んだり、と案はいろいろあるのだけど、
プレーンな生地にこだわって、そこをしっかりと作り込む。
きっと、それがわたしのスタイルになる。

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