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中庸的な、という話。

食事パン、心揺さぶるワード。

お酒はいろいろ楽しむし、食事も、甘いものも、その他諸々、幅広く好きな方だとおもうけど、自分が作るなら食中にあうものがいい。

日本酒を飲み始めた頃、好きだな〜〜って思った日本酒は、日高見、喜久酔、伯楽星....

そのとき働いてたお店のラインナップからになってしまうけど、そういうふくよかさや滑らかさがあって、でも料理より前に出ない、そういうのが好きだった。

尖ったもの、ソウルフルなもの、爆発的なもの、退廃的なもの、民族的なもの、音楽もいろいろ聞くほうだけど、お店でかけるならきっと、ポップミュージックだ。

だから、料理も角がないのがいい。
毎日でも食べられるような、おにぎりや味噌汁みたいな洋食がいい。
ときどき個性的なのがスパイス的に出てくる、それくらいの感じ。

自分が個人的に好きなのは、ピシッと個性が出たものなんだけど、仕事となると中庸主義になる。

私がいま菓子パンを焼かないのは、そういう訳がある。

パンを焼くならまず食事パン。そう思ってた。

...........

いつか、2005年ごろだったか、近所にビストロができて
そこに行ったとき、最初にでてきたパンがおいしくてびっくりした。

胚芽かふすまか、プチプチしたのがはいってて、ふんわりしたまるいパン。

ビストロって、こんなやさしいパンも出るんだ!

頼んだリエットやパテ、サラダ、どれもおいしくて....
ブルゴーニュのワインにそっと寄り添うような味だった。あんまり詳しくないけど.........

店内はざっくりとして、打ちっ放しの無骨な風合いで、無口で金髪のシェフが立ってて、
わー、かっこいい店だな、って思っていた。

以前、イタリア料理店のパンの話をしたけど、
このパンも大好きなパンで.....
こういうパンをお店で出してみたいなって思っていた。

わたしの憧れていた店。

そして、憧れていたお店のパン。

それはいつも私の胸の中にある。

そのひとのかたちとは違うけど、
そういうような、私のかたちのパンができた。

誰かに紹介したくなるとびきりのうまさ!というのじゃなく、ただそこにある、
炊きたての白米に塩を振ったような、
素朴で、さくさく食べてしまう、
だけど、またすぐ思い出してしまう、そんなやつ。

そして、再現可能なやつ!

家についてふと思った。

少なくとも2ヶ月前はこんなの焼けなかったわけで、できるようになったことって多くあって、毎日毎週真剣にやった意味はあったなって。

できないからな〜〜って先延ばしにしてた部分もあったし、パン焼いても売れるかな〜〜ってもぞもぞしてた部分もあった。

その前哨戦として、パウンドケーキやクッキーに取り組んでたけど、なかなか踏み出せなかった。

だけど、蓋を開けてみればお菓子とおなじか、それ以上に売れてるし
(何百個も焼いてるわけじゃないけど.....)
もっとできるかなって、おもうことができた。

飲食っていいよね😂

だって、すぐフィードバックが来るもの。
しかも、ダイレクトに来るもの。
サイコーだよ。

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