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価値観のすり合わせとか自立とかの話。


いわゆるハードブレッド、

苦手意識があってなかなか手が出なかったんだけど、ひさしぶりに「やるかー!」ってなったら、できた。

一般的な作り方に従って、その通りにやっていっただけなんだけど.....

きっと、
まえはそのひとつひとつのこと、捏ねの具合や、工程の順番の意味がわかってなかったし、生地の状態の見極めができてなかった。

強力粉と準強力粉、ライ麦粉、それぞれに扱い方が違う、生地の仕上がり方も、その活かし方も違う。
それがだんだん感覚として身についてきたと思う。

まあそれも、ドイツパンであれこれ試してるうち、知らないうちに身についてたみたいでw

一段階うえの複雑さとか、むつかしさとか、そういうのに頑張ってトライしてるとできるようになるってほんとだなって。

ガリッと硬く焼き込んだクラストを、包丁でノコギリのようにガシガシとスライスして、切ったそばから口に放り込む。

香ばしい皮と、モイスティでふわっとしたクラムのギャップが最高にグッとくる。
時々歯に当たるフィグの種が小気味良い音を立てて弾けていく。

記事の中で水分を含んだレーズンはふっくらとしてジューシーだし、
表面で焼けすぎたレーズンは、チューイーでねちっとした食感で、ぜんぜん違う顔が楽しい....

しかし、こーいう無骨な不恰好な佇まいをみて、「わあ!カッコいいー!」って思ってしまうのは何でなんだろう、と、ふと。

人によって、形がピシッと揃ってるほうがカッコいいとか、ふんわり優しい色の方がステキとか、それはそれぞれだよな....

なんて、一瞬考えてしまうことがある。

「この、『これがカッコいい』っていう価値観はみんなと共有できるんだろうか?」

........

料理を作る時もそうだ、

『この辛さとのバランスは一般的なレベルなのか?』とか
『この量は一人前として適正範囲なのか?』とか
『この甘さ(塩辛さ)はちょうどいいのか薄いのか?』とかいった具合に。

考え続けてても仕方ないので、あるとこで「ここだ!」と決めて、提供し始める。

何人か、オーダーしたひとの食べてから帰るまでの流れや、終わったお皿の状況をちらりと見たりする。

塩を振ってたり、水をやたら飲んでたり、
箸が進まなかったりしてないか、
どういうコメントをくれるか、やっぱり最初の頃は特に気になる。

自分がいいなと思ったもの、それを受け取る側により「いいな」と思ってもらえるようにするためには、感覚のすり合わせも必要になることがある。

例えば、本場の味を知っていながら
日本の感覚や、その土地の嗜好に合わせた味に変えて出す、というのもそうだ。

きっと、人によっては、「これは本物の味じゃない」って言うだろう。

だけど、その人も分かってるだろう、
「それじゃ店の売り上げが成り立たない」ってこと。

お店をやって商品を売る、それで収入を得るってことは、
求める人がいるから価値がうまれる、
価値があるものを売るから数字が成り立つ、
それだけのことだったりする。

それでも、そういう「本物の味」「自分の良いと思ったものだけを信じてやるスタイル」っていうのに憧れることは多い...

お店をやるほうも、お店に来るほうも。

エスニコ、はイタリア語でエスニックという意味らしい。

タイやベトナムの酸っぱ辛いサラダをイメージして作ったまぜそばで、ラープガイみたいな感じ。
「辛いのが苦手な人もいるしなーーー」って、なかなか思いきれなくて、昨年までは辛くない味付けにしてた。
スパイスも、好き嫌いがありそうなので使わなかった。(なのに、エスニックw)
にんにくも、入ってるだけで避ける人がいるからってほとんど使わなかった。


だけど、今年は思い切って酸っぱくて、辛くて、スパイスもつかったやつにした!
し、にんにくもたっぷりつかって、スパイスやハーブと一緒に発酵させたソースも作った。

今年はひき肉も入ってないし、ラープガイというよりヤムウンセンって感じかも。

見た目はあんまり変わらないw

クミンと、グリーンカルダモンと、パクチーと、パセリにディル。グリーンチリ、ガーリック、オニオン、セロリ、レモンにナムプラー。
カリカリに炒った小海老と、酒煎りした海老。

いっぱい入ってて楽しい!
誰がって、私が!笑 っていう感じの、私好みの方向に振った一杯になってるから、機会があったら食べてみてほしい。

これは、エスニコが主力商品じゃないからできる試みでもあるし、ほかのメニューが増えたり育ったりしてるからトライできることでもある。

合うかあわないか?それはわからないけどw
これは私にとっての、今年のチャレンジだ。

で、「あ」って途中で思いついたら変わっていくかもしれない(し、変わらないかもしれない)、その成り行きもどうぞお楽しみに。


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