外販にあんまり力をいれなかった話(つづき)


厨房の力不足のほかにも理由はあった。

うちのお店は「その場で出来立てを食べる」設定で作っているので、「ある程度時間が経ってから食べる」場合でも“買いに来る価値がある”のか、わからなかった。

冷めてからもおいしい、価格から考えれば十分である、日持ちする、など
それを超える価値があるのか、加えて「わざわざここまで買いに(取りに)来る」という労力を合わせても、妥当だと思ってもらえるのか。
持ち帰りに適したメニューを作るべきか。
でもそれって、店内のメニューと併用できるんだろうか。
オンメニューすることはできるけど、店内で売れるんだろうか。
別々に用意すればそれはまたロスにつながるし、場所も取るし、管理が難しいという問題がある。

それに、店内での皿のボリューム感を再現すると価格をさげることはできない。
価格にあわせて設定すると、お店を利用していた人が買った時に「ボリュームが違う」となってしまう。のではないか。

どっちに合わせるか? 
そういうので悩んでしまって、結局「店内のメニューをボリューム感そのままに持って帰ってもらう」というのに決めた。

それが一番わかりやすくて混乱しないし、オペレーションも基本的には変えずに行える。
安いとか手頃とかである商品は用意できないし、たくさんは売れないだろうけど、それでいい。
無理せず続けよう。

そういうわけで、特に持ち帰りを強く打ち出すことはしなかった。


たぶんうちのお店のテイクアウトを使ってくれていた人たちは、「ちょっと新しいお店を試してみよう」とか「テイクアウトやってるみたいだから買ってみよう」というフリーなお客さんではなくて、「いつも(時々)来てる、この店のこれが食べたいけど、外食控えてるし仕方なくテイクアウトする」ってモチベーションだったと思う。

あっ、ゆいいつ頑張って挑戦したことがあるんだけど、それは麺の持ち帰り。
いままでやったことのないラーメンやまぜそばのテイクアウト🥡

麺はどうしたらいいか、スープと合わせるかべつにするか、どのくらいの時間、食味を(一定の線まで)保てるか。
あと当店のラーメンはスープが多めだ(と思う)ので、容器もなかなか合うのがなかったから、
麺テイクアウト用の容器をいろいろ探して特大サイズというのを買った。

それがすごく良いのかどうか聞いたことはないけど、お客さんはリピートしてくれるので、きっと悪くないのだと思う。


コロナがありふれた感染症になる日がいつか来ると信じて暮らしてるけど、それはまだ先の話だし、テイクアウトはきっとコロナ前よりも利用頻度が高いままで止まるだろう。
選択肢として持ち帰りがあって、それがお客様さんの選択肢に入っているのが普通になる。

いままでなら、絶対にかわらなかった意識の部分が変容していく。
すごいなと思いながら日々過ごしている。

今後も宅配には参加しないだろうけど、持ち帰りは続けるし、こまごま改良していこう。

おわり。

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